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[2020.04]バリと沖縄のコラボレーションで 魅せた新たな芸能の可能性

文●岡部徳枝

 2019年12月1日、沖縄県の西原町交流センター「さわふじ未来ホール」にて、バリの男性舞踊家イ・マデ・ステジャ(以下:ステジャ)の招聘公演が開催された。1974年生まれのステジャは、「芸術の村」として有名なバトゥアン村出身。祖父は伝説の仮面舞踊家、父は舞踊家で画家という芸能一家で、幼い頃から舞踊と絵画を学び育った。バトゥアン村は、バリの儀礼に欠かせない古典舞踊劇「ガンブー」を受け継ぐ希少な村。ステジャは、その継承者として名高く、儀礼の時期になると踊りの依頼が殺到するそうだ。踊りの指導者としても支持が厚く、日本人の生徒も多い。今回の沖縄公演は、その生徒のひとり、日本人の歌手・舞踊家で、現在はバリに住むナビィの呼びかけから始まった企画だという。ナビィが師匠ステジャと実現したかった企画は、沖縄の伝統芸能「組踊」の演目「二童敵討」をバリのガンブー劇スタイルで上演すること。「初めてバトゥアン村のガンブー劇を観たとき、組踊とそっくりだと思った」ことを機に発案し、沖縄のバリガムラン&舞踊グループ「マタハリ・トゥルビット」のメンバーへ相談を持ちかけた。メンバーの與那城常和子、仲本久乃もまたステジャの生徒であり、バトゥアン村でガンブー劇を鑑賞した経験から、ナビィの想いに共感。ガンブー劇でバリの古語「カウィ語」を語るように、組踊でも琉球王朝時代から約300年続く言葉を語ること、同じ古典芸能というジャンルであること、さらに伴奏音楽のあり方、劇の持つ重厚感など、さまざまな面から組踊とガンブー劇の共通点を見い出した上で、ナビィと共に企画実現に向けて動き出した。伴奏については、組踊の音楽の要となる歌三線を大切にしたいという思いから、琉球古典音楽奏者とガムラン隊が共演する沖縄とバリのコラボレーションという編成に。歌三線奏者は、日頃から組踊の舞台で地謡(伴奏者)として活躍する大城貴幸、仲嶺良盛の2人。ガムラン隊は、マタハリ・トゥルビットの6人に加え、日本在住のバリガムラン演奏家イ・プトゥ・グデ・スティアワンというメンバーに固まった。

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