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Web版 2023年7月

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2023年7月に新規にアップした記事のみが収められているマガジンです。こちらでアーカイブ記事は読めませんので、アーカイブ記事も購読するには定期購読マガジンの「ラティーナ」(月額9… もっと読む
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記事一覧

[2023.7]【境界線上の蟻(アリ)~Seeking The New Frontiers~10】V.A./中村とうよう 「世界こぶし巡り」+「こぶし地帯を行く」(MELISMATA - A GREAT CIRCLE OF GRACE NOTES)

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  2011年7月に音楽評論家の中村とうようさんが亡くなってから今年で13回忌を迎えたのを機に、かつてご自身のレーベルである≪オーディブック≫から発表していたコンピレーション盤が立て続けに復刻されている。青春篇/源流編/放浪編に分けられた3CDでボサノヴァの多角的な魅力に迫った『ボサ・ノーヴァ物語』、86年にLP2枚組の2セットで発表されていたものに新たな音源を追加して90年に3枚のCDとして新装リリースされていた同名の大著

[2023.7]【追悼】 ジェーン・バーキンを抱きしめて

文●向風三郎  暗い日曜日。2023年7月16日朝、パリ6区アサス通りの自宅アパルトマンの中で食事の準備で来たヘルパーの女性が死亡した状態のジェーン・バーキンを発見した。二人の娘(シャルロット・ゲンズブールとルー・ドワイヨン)の翌日発表したコミュニケによると、16年という長い年月ジェーンは病気と闘っていたが、その数日間は再び歩けるようにもなっていて、キャンセル続きになっていたコンサート活動も再開に向けて気力が戻っていて、もう24時間看護はいらないと、ひとり暮らしを再開したそ

[2023.7]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ⑤】 タンゴとエレキギター その2

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 前回に続いてタンゴとエレキギターの界隈を歩き回る。ただし、ちょっと予定が狂って前回予告した内容を全部カバーしてはいない。ピアソラのところに長居をしてしまったのだ。 オールマイティなギタリスト、カチョ・ティラオ1960年代にアストル・ピアソラが五重奏団を結成して以来、彼のアンサンブルの中でのエレキギターは他の楽器 (主にピアノ) とのユニゾンや三度のハーモニーで主旋律を弾いたり、ピアノの左手やコントラバス

[2023.7]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2023年7月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Hiram Salsano · Bucolica レーベル:Hiram Salsano [9] 19位 Frigg · Perintö / Heritageレーベル:Bafe’s Factory

[2023.7]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㊱】 Maria Luiza Jobim『Azul』

文:中原 仁  アントニオ・カルロス・ジョビンの末娘、マリア・ルイーザ・ジョビンが6月23日、セカンド・リーダー・アルバム『Azul(アズール)』をデジタル・リリースした。  マリア・ルイーザ・ジョビンは1987年3月20日、父が60歳を迎えた年に生まれた。前年の真夏、父の初来日公演の際、バンダ・ノヴァのメンバーだった母アナ・ロントラのお腹の中にいたことになる。新作にも日本の曲がある。まずは彼女の歩みを簡単に振り返っていこう。  1994年12月、父が世を去る年に発

[2023.7] 【映画評】 夏に観るべき傑作4本 ⎯ 『サントメール ある被告』『CLOSE/クロース』『小説家の映画』『トルテュ島の遭難者たち』 ⎯ 台詞で見せる。映像で語る。

夏に観るべき傑作4本 『サントメール ある被告』『CLOSE/クロース』 『小説家の映画』『トルテュ島の遭難者たち』 台詞で見せる。映像で語る。 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  今年の夏は、「ミッション・インポッシブル」「インディ・ジョーンズ」シリーズの最新作や、まさかの宮崎駿新作等、大作が話題を集めそうだが、同時に小規模な公開ながら質の高い心に残る作品も多く控えている。そんな中から4本を選んで紹介しよう。  まずは先週から公開が始まった、韓国が世界に誇る