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Web版 2023年10月

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記事一覧

[2023.10]【境界線上の蟻(アリ)~Seeking The New Frontiers~13】 予測不能な底知れなさを秘めている南アフリカ・ジャズ界の異能ギタリスト Sibusile Xaba(シブシル・シャバ)

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  この10年ほどの間に新世代勢が躍進し、ワールドワイドな注目をますます高めている南アフリカのジャズ・シーン。間もなくその発火点となったシャバカ&ジ・アンセスターズがビルボードライブ東京において初来日公演を行い、エスペランサ・スポルティングにも通じる柔軟にしてしなやかな音楽性で独自の世界を深化させてきたキーボード奏者&ボーカリストの Thandi Ntuli(タンディ・ンツリ)もUS現代ジャズの最重要レーベルである≪Inte

[2023.10] 天橋立に降り立ったアフロ・ブラジリアンの宝石 〜ルエジ・ルナ インタビュー

インタビュー・文●中原 仁 協力●KYOTOPHONIE PR事務局  本誌9月号の初来日記念記事で “アフロ・ブラジリアンの宝石” と讃えられた、バイーア出身のルエジ・ルナ。宝石が日本三景のひとつ、天橋立(京都府)の砂浜に到着した。  今年、初開催されたボーダレス・ミュージック・フェスティヴァル「KYOTOPHONIE 2023 AMANOHASHIDATE」に出演したルエジ・ルナのバンドは、キーボード、ベース、ドラムス、パーカッションの4人編成。カーニヴァルで大声で

[2023.10]26年ぶりの来日公演 〜シコ・セーザル インタビュー

インタビュー・文・写真●ラティーナ編集部 協力●KYOTOPHONIE PR事務局  9月の以下の記事でご紹介したように、シコ・セーザルがこの度26年ぶりに来日した。日本三景の一つである京都・天橋立で10月7日(土)・8日(日)の二日間開催された「KYOTOPHONIE ボーダレス・ミュージックフェスティバル 2023 天橋立」に出演した。  シコのステージを待ち望んでいた多くのファンももちろん来場していたが、彼のことを全然知らずにフェスに来たお客さんもいたようだ。シコと

[2023.10]アルゼンチン大統領選また驚きの結果!セルヒオ・マサが1位、ミレイは2位!!!

編集部  10月22日、アルゼンチンにとっては重要な新しい大統領選挙の本戦挙が行われた。PASO(予備選)で、世界を驚かせたリバタリアン候補ミレイがトップ当選したことには、アルゼンチン国内はもちろん、世界が驚いた。そして、大統領選挙の行方に世界の関心が向いていたが、結果は、セルヒオ・マッサが36%以上の得票率で勝利し、自由前進(ラ・リベルター・アバンサ)党のハビエル・ミレイ候補が30%の得票率で2位となった。「変革のために共に」(フントス・ポル・エル・カンビオ)連合のパトリ

[2023.10]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2023年10月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Fatoumata Diawara · London Koレーベル:3ème Bureau / Wagram Music [19] 19位 Bantu · What Is Your Breakin

[2023.10]この夏13年ぶりに来日したLos Van Van 〜リーダー サムエル・フォルメル インタビュー

インタビュー・文●清野史郎  サムエルが「ロス・バンバン」入りして初めてのライブを見たのが92年、バルセロナに住んでいたころ。マジートも加入しての新生バンバンが発進した時期と重なる。「サンドゥンゲラ」や「ティティ・マニア」のヒットが続いた80年代後半のグイグイとくるマッチョな音と明らかに異なる都会的に洗練されたサウンドに変化していた。ライブ後に「ロス・バンバン」が泊まっていたホテルに直行し、フォルメル(父)の部屋で一晩中飲み明かした、その変化について尋ねたら、「新世代、新世

[2023.10]音楽で心を癒す、世界で人気の新世代キューバ人アーティスト、Cimafunk 来日公演レポート

文●斉藤真紀子(キューバ倶楽部主宰)text by Makiko Saito  シマファンクが8月、日本にやってきた。キューバ出身、今をときめく新世代のアーティスト。ファンクを軸に、アフロキューバン、ヒップホップ、R&B、チャチャチャなど様々な要素を取り入れた、独自のスタイルで注目されている。2022年には2作目のアルバムがグラミー賞候補になった。欧米でも人気が高く、世界公演が引きも切らない。今やキューバ本国でもなかなか演奏を聴くことができないのだ。  来日公演は、8月に

[2023.10]どうにも止まらないインフレの中、加熱するアルゼンチンの大統領選挙!

文●本田 健治 texto por Kenji Honda  2023年8月、アルゼンチンの冬の最も寒い時期、タンゴダンスの世界選手権が始まった。寒さがあまり嬉しくない身体を慣れさせるために、少し早めだが、真冬の8月9日にブエノスアイレスに入ることにした。昔、長く滞在した頃は必ずアパートを借りていたが、今年もほんの少しの間だが、アパート暮らしの感触を思い出したい、と、サンテルモのタンゴ街のすぐ近くにアパートを借りてみた…  今回の取材も、想像以上のイベントづくめになったが

[2023.10]【書評】評伝『ヴィラ=ロボス ブラジルの大地に歌わせるために』 (木許 裕介/春秋社) ・ 著者講演会のご案内

文●岸和田 仁   「ストラヴィンスキー、ドビッシー、ショパン、ヴィラ=ロボスが僕にとっての師匠だった」と語っていたのがボサノヴァの創始者カルロス・ジョビンであったし、「世界で一番優れたパーカッショニスト」と評されたナナ・ヴァスコンセロスが入院中、病室で繰り返し聴いていたのが、ヴィラ=ロボスの三枚組CDであった。  こうしたエピソードを列記するまでもなく、ブラジル音楽界の巨匠、天才的作曲家として知られるヴィラ=ロボス(1887-1959)に関しては、多くの研究や評伝が書か

[2023.10]ショーロクラブ インタビュー 〜6年ぶりの最新作『Caleidoscópio』リリース!

文●中原 仁  結成34年を迎えた、笹子重治(ギター)、秋岡欧(バンドリン)、沢田穣治(コントラバス)の弦楽トリオ、ショーロクラブ。一時期、3人のうちの2人の健康上の問題で活動がストップしていたが、病が癒えて2022年晩秋からライヴ活動を再開。2023年9月27日、6年半ぶりとなるオリジナル・アルバム『Caleidoscópio(カレイドスコーピオ)』を発表した。オリジナル・アルバムとしては12作目、企画アルバムを加えれば26作目となる。  全14曲、すべて3人がそれぞれ

[2023.10]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㊴】 Gaia Wilmer, Jaques Morelenbaum 『Trem das Cores』

文:中原 仁  ブラジルのマリア・シュナイダーか、挟間美帆か。注目のサックス奏者/作編曲家/指揮者、ガイア・ウィルメルが、ジャキス・モレレンバウムと組んでカエターノ・ヴェローゾの作品集を発表。CDもリリースされた。  ガイア・ウィルメル(ネイティヴにヴィルメル、英語っぽくウィルマーと表記されるケースもあり)は1985年、ブラジル南部フロリアノーポリス生まれ。リオに出て敬愛するエグベルト・ジスモンチと共演。その後、バークリー音楽院とニューイングランド音楽院に留学した。201

[2023.10] 【映画評】秋を彩る個性豊かな邦画2本 ⎯ 『白鍵と黒鍵の間に』 『愛にイナズマ』

秋を彩る個性豊かな邦画2本 『白鍵と黒鍵の間に』『愛にイナズマ』 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  この秋から冬にかけて、小~中規模ながら個性豊かな邦画が続々と公開される。ここではそんな作品の中から、自由奔放な表現で観る者を困惑させながらも、強い印象を残すであろう、10月に公開される2本の異色作を紹介しよう。