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Web版 2023年9月

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記事一覧

第20回タンゴダンス世界選手権レポート2 ブエノス市内で連日開催された夥しい数のイベント

レポート●本田 健治 texto por Kenji Honda  Tango BA festival Mundial 2023の間のブエノスアイレスは、寒い中の野外の決勝はなかなか辛かったが、今年も存分に「タンゴ・ダンス」に熱く沸いた。世界中から集まってきたファンたちも朝早くから夕方までレッスン、夜は「タンゴ」のイベントを楽しみ、夜中23~24:00頃には、必ずどこかで開かれているMilongaに出没する。タンゴダンス・ファンにはたまらない2週間だ。しかし、フェスティバル

[2023.9]【境界線上の蟻(アリ)~Seeking The New Frontiers~12】 “ユーラシア・ルート” からのブラジル音楽〜Yotam Silberstein, Soyuz, Enji

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  ブラジル音楽が世界中で奏でられていることは、日本の音楽シーンを見渡してみても明らかなことであり、ラテン音楽やスカ、アフロビートなどと同様に世界各地に様々な形での〝フォロワー〟を生んできた。90年代にクラブ・ジャズ隆盛の流れでダンサブルな60~70年代ブラジル音楽の掘り起こしが過熱化した時にも、本国のものと同時にヨーロッパ各地で盛んに奏でられていたブラジリアン・フュージョン系の良作がDJたちによって再発見され、東欧、バルカ

[2023.9]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ⑦】 泣き虫と猫の話

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 私事だが、9月24日は横浜市緑区民文化センター みどりアートパークホールにて行われた映画 “Pichuco” の上映会&バンドネオン・トークライブに行ってきた。 映画は「ピチューコ」ことアニバル・トロイロの楽団のスコアをデジタルアーカイブで残すという取り組みを追いつつ、彼にゆかりのあった多くの人の証言で彼の生涯、彼がタンゴにもたらしたものを振り返る、というドキュメンタリー。この映画の日本語字幕制作に尽力

[2023.9] 「シコと再会しよう」 ─ 1997年以来、26年ぶり2度目の来日。シコ・セーザルの待望の再来日公演、迫る

文:編集部  記憶も新しい。2023年4月から5月にサリフ・ケイタ、ルカス・サンタナを突如、招聘しワールドミュージック(グローバルミュージック)ファンをざわつかせ喜ばせた「KYOTOPHONIE ボーダレス・ミュージックフェスティバル」。  同ミュージックフェスティバルが、この秋、今度は、ブラジルから2人の才能、シコ・セーザルとルエジ・ルナを招聘する。  10月7日(土)・8日(日)の2日間開催される今秋の『KYOTOPHONIE』は、今度は、京都市内から、日本三景の一つで

[2023.9]Z世代のMPB黄金期到来か!?ルイーザ・ソンザの最新アルバムに大注目!

文●島田愛加 「Eu sou foda」  カエターノ・ヴェローゾといえばこのフレーズ。  自身が制作したドキュメンタリー映画『O Cinema Falado』に関するインタビューで、自分らのアンチに対して「シコ・ブアルキはfoda、俺はfoda!ミルトン・ナシメントはfoda!ジルベルト・ジルはfoda!ジャヴァンはfoda!」と言い放ちました。  この「foda」という言葉はポルトガル語のスラングの中でも非常に強い言葉。英語のFワードに値しますが、ポルトガル語の場合

[2023.9]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2023年9月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Bilja Krstić & Bistrik Orchestra · Biljurレーベル:Jugoton Croatia [-] 19位 Fatoumata Diawara · London K

[2023.9]悲報!アンデス音楽を運んでくれたマエストロ、レネ・カレアーガ逝く!

文●編集部  このところ、ラテン音楽の歴史を作ってきた大物音楽家たちの逝去の報せが多く、寂しい限り……。  と、今度は、1970年代の日本で、若い学生層から火がついて、長い間フォルクローレのブームを牽引してきた「コンドルカンキ」のレネ・カレアーガ(「コンドルカンキ」のリーダーで、チャランゴ奏者)が、現地時間9月18日15時52分逝去との報が届いた。  レネ・カレアーガ・メンドーサは1936年1月6日、ボリビアのラパスで生まれ、生後1カ月で父を、8歳で母を亡くした。生まれ

[2023.9] 祝! ルエジ・ルナ初来日 ─ 「アフロ・ブラジリアンの宝石」と讃えられる歌姫

文:編集部  記憶も新しい。2023年4月から5月にサリフ・ケイタ、ルカス・サンタナを突如、招聘しワールドミュージック(グローバルミュージック)ファンをざわつかせ喜ばせた「KYOTOPHONIE ボーダレス・ミュージックフェスティバル」。  同ミュージックフェスティバルが、この秋、今度は、ブラジルから2人の才能、シコ・セーザルとルエジ・ルナを招聘する。  10月7日(土)・8日(日)の2日間開催される今秋の『KYOTOPHONIE』は、今度は、京都市内から、日本三景の一つで

[2023.9] 廉価版シリーズの待望の続編!─ 「ブラジル音楽の秘宝」シリーズCD全16作品9/6リリース!

文●編集部  ブラジル音楽の豊富なカタログを有する Sony Music(RCA、 CBS )の音源から16タイトルが厳選され、定価1400円(税込)という購入しやすい価格で販売される「ブラジル音楽の秘宝」シリーズが9月6日にリリースされました。大変話題になった2016年7月の「ブラジル・コレクション1000」以来、Sony Musicから、7年ぶりに登場したブラジル音楽CDコレクションです。  選盤はブラジル音楽ガイドブック「MUSICA LOCOMUNDO」で、世界中

[2023.9]第20回タンゴダンス世界選手権レポート その1 〜 オベリスコ下の厳寒野外ステージで、興奮の20周年決勝戦!!!

222レポート●本田健治  texto por Kenji Honda  オベリスコ下の厳寒の野外ステージで、興奮の20周年決勝戦!!!  (↑アルゼンチン最大クラリン紙の写真で見る世界選手権のページ)  真冬の野外での決勝はなんとかならないか…のお話から。    第20回を迎えたタンゴダンスアジア選手権。場所は、コロナ前までのルナパークではなくなって2年ほどになるが、コロナの影響といわれたが、どうもそれだけではないらしい。  ルナ・パークは、市が管轄するものではある

[2023.9]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㊳】 Bebel Gilberto『João』

文:中原 仁  ジョアン・ジルベルトの没後4年を迎えた2023年8月、愛娘ベベウ・ジルベルトが亡父のレパートリーを歌ったトリビュート・アルバム『João』 を発表。デジタル、LP、CDのフォーマットでリリースされた。  1980年、15年以上のUSA生活(一時期はメキシコでも生活)を終えてブラジルに帰国したジョアンは、テレビの公開収録番組をレコード化したライヴ盤『João Gilberto Prado Pereira de Oliveira』を発表。当時14歳のベベウも参

[2023.9] 【映画評】この秋に観るべき傑作2本 ⎯ 『熊は、いない』『バーナデット ママは行方不明』

この秋に観るべき傑作2本 『熊は、いない』 『バーナデット ママは行方不明』 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  先月紹介した2本の映画は、フィクションとドキュメンタリーの境界が曖昧になるような作品だったが、イラン映画『熊は、いない』はそんな虚実の皮膜がより複雑かつ効果的に作用し合い、観る者がめまいを覚えるような面白さと深さを持った作品で、昨年のヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞している。  その妙味を存分に味わうためには、まず監督のジャファル・パナヒその人自