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アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い|中村安志

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e-magazine Latina の人気連載「アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い」をまとめました。
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#ワールド・ミュージック

[2022.8]【アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉘】 眼と眼が合えば - 《Pela luz dos olhs meus》

[2022.8]【アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉘】 眼と眼が合えば - 《Pela luz dos olhs meus》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 ジョビンが、女性歌手ミウーシャ(シコ・ブアルキの姉。ジョアン・ジルベルトの妻でもあった)とのデュエットで「結婚しなきゃ、結婚しなきゃ」と繰り返しながら笑顔で締めくくる名曲、「Pela luz dos olhos teus(君のまなざしの輝きに)」。この歌が、カネカン劇場のライブなどで喝采を浴びたの

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[2022.7]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉗】幾重にも情熱を歌い上げる - 《Eu sei que vou te amar》

[2022.7]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉗】幾重にも情熱を歌い上げる - 《Eu sei que vou te amar》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 名曲「Eu sei que vou te amar(君が好きになるとわかっている)」は、作詞家ヴィニシウス・ジ・モラエスが書いた愛の告白の歌詞で知られるゆったりとした歌で、1958年にジョビンとの共同作業で生まれました。最初は、翌59年に女性歌手レニータ・ブルーノのアルバムで録音。もともとこのアル

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[2022.5] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉓】ドラマ放映に間に合わなかった歌詞 - 《Anos dourados》

[2022.5] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉓】ドラマ放映に間に合わなかった歌詞 - 《Anos dourados》

文と訳詞 : 中村 安志  texto por Yasushi Nakamura 

 ブラジル最大手テレビ局のグローボ(TV Globo)は、ブラジル全国のお茶の間に向けた数々のテレビドラマを生み出していることでも知られます。日本でもどこかで用いられた「テレビ小説」のような意味の「Tele-novela(テレ・ノヴェーラ)」という名称で広く知られ、高い人気を誇り、同じ言語圏のポルトガルにも輸出さ

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[2022.5]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉒】初のヒット曲に冠された妻の名前 ⎯ 《Tereza na praia》

[2022.5]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉒】初のヒット曲に冠された妻の名前 ⎯ 《Tereza na praia》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução : Yasushi Nakamura

 まだプロ活動を開始していなかった1947年当時、音楽を習っていた恩師から与えられた課題の一環として、20歳のジョビンが作曲した「Imagina」が、彼のほぼ最初の作品ではないかというお話を、この連載の18回目で申し上げました。今回は、その後音楽家としてのキャリアを徐々に築いていった過程で作られ、ジョビ

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[2022.4]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑳】妖女の魅力を引き立てる主題歌 - 《Tema de amor de Gabriela》

[2022.4]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑳】妖女の魅力を引き立てる主題歌 - 《Tema de amor de Gabriela》

文と訳詞●中村 安志 Texto e Tradução por Yasushi Nakamura

 ボサノヴァで世界に名が広まったジョビンも、実は、別なスタイルの音楽をたくさん生み出していることについて、最近の記事で何度かご紹介してきました。

 例えば、時にジョビンは、ブラジルの地元色たっぷりのTVドラマや映画のための素敵な音楽を残しています。今回は、ブルーノ・バヘット監督が1983年に制作し

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[2022.2]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑯】この世のすべてが君と同じだったなら - 《Se todos fossem iguais a você》

[2022.2]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑯】この世のすべてが君と同じだったなら - 《Se todos fossem iguais a você》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 亡くなった愛妻エウリディケを、黄泉の国に出向いて連れ帰りたいという願いを受け入れてもらったものの、この世に戻る未知の最後で後方を振り向いてしまい、エウリディケが消えてしまうというギリシャ神話の主人公、音楽の天賦に恵まれたオルフェウス(ポルトガル語ではオルフェ)。その物語を、リオのスラム街の若者とカ

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[2022.1]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑮】森から立ち去れ:大自然への強い思い を歌ったジョビン- 《Borzeguim》

[2022.1]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑮】森から立ち去れ:大自然への強い思い を歌ったジョビン- 《Borzeguim》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 晩年のジョビンは、リオ植物園を近くに擁し、緑豊かなジャルジン・ボタニコ地区に、自宅を構えていました(市内南部のイパネマなどの地区からやや内陸に寄ったコルコヴァードの山の南側の麓)。比較的静かな一帯で、私も、90年に大阪で開催された花博におけるブラジル出展庭園の設計に従事した人物がこの近くに住んでお

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