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アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い|中村安志

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e-magazine Latina の人気連載「アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い」をまとめました。
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#シコ・ブアルキ

[2023.1]【連載アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉞】ミウーシャを本当に治してしまったという、まじない師への電話 - Dinheiro em penca

[2023.1]【連載アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉞】ミウーシャを本当に治してしまったという、まじない師への電話 - Dinheiro em penca

文と訳詞●中村安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 ボサノヴァ以降のブラジルポップス界で活躍した作詞家に、カカーゾ(本名:アントニオ・カルロス・フェレイラ・ジ・ブリット)という人がいます。惜しいことに、43歳という若さで、心臓麻痺のため他界しましたが、個性的な歌をいくつも残しました。

 長く愛されている作品といえば、例えば、名手エドゥ・ロボとの共作

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[2022.11] 【アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉜】アメリカ生活での出来事を3か国語でユーモラスに表現 - Chansong

[2022.11] 【アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉜】アメリカ生活での出来事を3か国語でユーモラスに表現 - Chansong

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 60年代に入ってからのボサノヴァの世界的ヒット、シナトラなどの著名アーティストとの共演・レコード録音など、華麗な舞台を得たジョビンは、米国で生活する日々も長くなっていきます。そのような中、本人も異国の環境によく適応し、一部作品の英訳詞は自らが制作するなど、芸術と実務の両面で才能を発揮していきますが

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[2022.8]【アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉘】 眼と眼が合えば - 《Pela luz dos olhs meus》

[2022.8]【アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉘】 眼と眼が合えば - 《Pela luz dos olhs meus》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 ジョビンが、女性歌手ミウーシャ(シコ・ブアルキの姉。ジョアン・ジルベルトの妻でもあった)とのデュエットで「結婚しなきゃ、結婚しなきゃ」と繰り返しながら笑顔で締めくくる名曲、「Pela luz dos olhos teus(君のまなざしの輝きに)」。この歌が、カネカン劇場のライブなどで喝采を浴びたの

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[2022.5] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉓】ドラマ放映に間に合わなかった歌詞 - 《Anos dourados》

[2022.5] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉓】ドラマ放映に間に合わなかった歌詞 - 《Anos dourados》

文と訳詞 : 中村 安志  texto por Yasushi Nakamura 

 ブラジル最大手テレビ局のグローボ(TV Globo)は、ブラジル全国のお茶の間に向けた数々のテレビドラマを生み出していることでも知られます。日本でもどこかで用いられた「テレビ小説」のような意味の「Tele-novela(テレ・ノヴェーラ)」という名称で広く知られ、高い人気を誇り、同じ言語圏のポルトガルにも輸出さ

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[2022.2] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑱】おそらく初作と言われる初期の作品 - 《Imagina》

[2022.2] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑱】おそらく初作と言われる初期の作品 - 《Imagina》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 ジョビン・ファンの間でよく知られる後年のアルバムで、彼の還暦を記念し、未発表の録音などを盛り込んだ『Tom inédito(未出のトン)』という2枚組アルバム(1987年)。これに収められている1曲ですが、曲の制作はかなり初期、おそらくこれが最初の作品ではないかとも目されている作品があります。「I

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[2022.1]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑮】森から立ち去れ:大自然への強い思い を歌ったジョビン- 《Borzeguim》

[2022.1]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑮】森から立ち去れ:大自然への強い思い を歌ったジョビン- 《Borzeguim》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 晩年のジョビンは、リオ植物園を近くに擁し、緑豊かなジャルジン・ボタニコ地区に、自宅を構えていました(市内南部のイパネマなどの地区からやや内陸に寄ったコルコヴァードの山の南側の麓)。比較的静かな一帯で、私も、90年に大阪で開催された花博におけるブラジル出展庭園の設計に従事した人物がこの近くに住んでお

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[2022.1]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑭】もう一人の「イパネマの娘」を賛美した歌 - 《Lígia》

[2022.1]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑭】もう一人の「イパネマの娘」を賛美した歌 - 《Lígia》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 前回は、名曲「イパネマの娘」誕生の際のモデルとなった美女が実在し、イパネマのレストラン・バー「Veloso」の常連飲み客であるジョビンとヴィニシウスが、毎日見かけていた人物(エロイーザ)であったというお話をご紹介しました。実は、もう一人のイパネマの娘とでも申しましょうか。イパネマの娘のヒットから6

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