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世界の音楽情報誌「ラティーナ」

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記事一覧

[2024.4]祝初来日!アフロ・バイーアの歌姫、シェニア・フランサ インタビュー

文:中原 仁 協力●KYOTOPHONIE 事務局  フランス出身の写真家ルシール・レイボーズさん、照明家の仲西祐介さんが共同創設者・共同ディレクターをつとめ、京都市内のさまざまな会場で開催、今年で12回目を迎えた「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が、4月13日から5月12日まで開催中。共同創設者の2人は今年、芸術選奨を芸術振興部門で受賞した。  「KYOTOGRAPHIE」の関連企画として2023年にスタートしたKYOTOPHONIE ボーダレス・ミュージック

[2024.4]坂本龍一に寄せて〜 『TIME』『Ryuichi Sakamoto|Opus』

文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  2023年3月28日に坂本龍一が71歳で亡くなってから、もう一年が経った。その間にも、例えば映画音楽を手掛けた最後の作品『怪物』の公開、人生について生前に語った自伝本「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」の刊行、音楽監督を務めた東北ユースオーケストラに書き下ろした交響曲「いま時間が傾いて」を含むアルバム『The Best of Tohoku Youth Orchestra 2013~2023』の発売など、本人が直接関わった多くの作品に触れ

[2024.4]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 ㊺】 『Jota.pê – Se o Meu Peito Fosse o Mundo』

文:中原 仁  ジョタ・ペー(Jota.pê)は、ジャヴァン、レニーニなどの音楽DNAを受け継ぐ新世代のシンガー・ソングライター、ギタリストだ。  ジャヴァンはアラゴアス州マセイオの、レニーニはペルナンブーコ州レシーフェの出身。ジョタ・ペーも北東部生まれかと思いきや、サンパウロ市の衛星都市、オザスコ出身。でも彼の音楽は、バイーア~北東部を基軸にUSAブラック・ミュージックにも呼応する、アフロ・ブラジリアンMPBだ。2024年3月、入魂のセカンド・アルバム『Se o Meu

[2024.4] 【映画評】春に観るべき傑作3本 〜『ブルックリンでオペラを』『パスト ライブス/再会』『異人たち』

春に観るべき傑作3本 『ブルックリンでオペラを』『パストライブス/再会』『異人たち』 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  3月は『DUNE 砂の惑星 PART2』『オッペンハイマー』という、2020年代を代表する超大作というだけでなく映画史にその名を刻むであろう傑作が公開されたが、4月は小規模でも質の高い心に残る作品が多く公開される。そのうちの3本を紹介しよう。  まず先週公開された『ブルックリンでオペラを』(23)は、『50歳の恋愛白書』(10)『マギーズ・プラン

[2024.4] アフロバイーアの歌姫、シェニア・フランサ(Xênia França)初来日! 〜 「KYOTOPHONIE ボーダレス・ミュージックフェスティバル」開催迫る!

文:編集部  昨年4、5月にサリフ・ケイタ、ルカス・サンタナを突如招聘し、ワールドミュージック(グローバルミュージック)ファンをざわつかせ、喜ばせた「KYOTOPHONIE ボーダレス・ミュージックフェスティバル」。 そして昨年秋には天橋立で、ブラジルからシコ・セーザル、ルエジ・ルナを招聘、ブラジル音楽ファンには堪らないフェスだったことも記憶に新しい。  2年目を迎える今年は、なんとブラジルからシェニア・フランサが初来日する!  カタルーニャからジプシー音楽の新たなサウン

[2024.3]【境界線上の蟻(アリ)~Ants On The Border Line〜17】Eda Diaz(コロンビア)

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  コロンビアの音楽といえば真っ先に思い浮かべるのはクンビアだが、最近ではJ・バルビンやカリ・ウチス、もう少し遡ればシャキーラといった世界的なポップ・スターを次々と輩出している国でもあり、そのイメージはもはや世代によって様々だろう。今回に紹介するエダ・ディアス(Eda Diaz)は、フランス人の母親とコロンビア人の父親を持ち、パリとコロンビア第二の都市であるメデジンの間を行き来しながら生まれ育ってきたシンガー兼コントラバス奏

[2024.3]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ⑫】タンゴからタンゴを取ったらどうなる?

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura タンゴがタンゴであるために最も重要なものは何だろうか。大半の人は「リズムだ」と答えるのではないかと思う。歯切れの良いスタッカートで刻まれるリズム、一小節の中で伸縮しながらも一定のテンポを保って進行する粘りのあるリズム、低音部の動きのグルーヴ感を伴うリズム、3-3-2のリズム、など色々なスタイルはありつつも、このリズムがタンゴの要と言って差し支えないだろう。では、タンゴからそのようなタンゴのリズムを取り去っ

[2024.3]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2024年3月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Batsükh Dorj · Ögbelerim: Music for My Ancestorsレーベル:Buda Musique [2] ↓国内盤あり〼。(日本語説明帯付きCD) 19位 Hy

[2024.3]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 ㊹】 『Pérolas Negras – Um Tributo a Luiz Melodia』

文:中原 仁  サンバにブルース、ソウル、ロックをふりかけ、マランドロの服を着たシンガー・ソングライター、ルイス・メロヂーア(1951~2017)、73年のファースト・アルバム『Pérola Negra(黒真珠)』にトリビュート。多彩な歌手が10曲中6曲を歌ったEPが、2月6日にデジタルでリリースされた。

[2024.3] 【映画評】『美と殺戮のすべて』 〜人気カメラマンが巨大企業と美術界に仕掛けた滅法面白い闘争の記録!

人気カメラマンが巨大企業と美術界に 仕掛けた滅法面白い闘争の記録! 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  ナン・ゴールディン(Nan Goldin)をご存知だろうか。1953年にアメリカで生まれ、14歳で家出、18歳頃から共同生活をしていたドラァグクイーンやアーティスト、親しい友人、そして自分自身のスナップ写真を撮ってスライドショーを披露。それをまとめた初めての写真集「性的依存のバラード(The Ballad of Sexual Dependency)」(86 ※同名の

[2024.2]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2024年2月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Luzmila Carpio · Inti Watana / El Retorno del Solレーベル:ZZK [5] 19位 Lenhart Tapes · Densレーベル:Glitter

[2024.2]【境界線上の蟻(アリ)~Seeking The New Frontiers~16】サインホ・ナムチェラク&内橋和久(トゥバ、日本)

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  このコラムのvol. 12でも紹介したモンゴル出身でドイツを拠点に活動するエンジ(Enji)や、鮮烈なインパクトのMVを次々と制作してワールドワイドな注目を高めているシベリアの先住民族チュルム人のメンバーで構成された新世代グループのオティケン(Otyken)など。伝わってくる情報などは少ないながらも、これまでにない感覚を放つ音楽家が次々と台頭してきている感のあるシベリア~中央アジアの音楽シーンですが、80年代末から90年

[2024.2]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ⑪】酔っぱらいとクルド人とカボチャとロマ

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 2023年11月の本連載でタンゴと酒の関係について取り上げたが、その中で紹介した "De puro curda", "La última curda", "El curdela", "Duelo curda" といった曲のタイトルに含まれる "curda" という語 ("curdela" は派生語) が今回のテーマである。 「酔い」「酔っぱらい」を意味するこの言葉、語源が「クルド人」だ、という説を聞いた

~音楽をてがかりにラテンアメリカ地域にアプローチ~ 2024年度立教大学ラテンアメリカ講座受講生募集中!

2024年度立教大学ラテンアメリカ講座受講生募集中!~音楽をてがかりにラテンアメリカ地域にアプローチ~ 「ラテンアメリカ論Ⅰ(音楽)」 講師:石橋純(東京大学教授) *上記の科目は対面とハイブリッド型授業。 遠方の方もオンラインで受講できます。 ◇申込締切:2024年3月25日(月)Web出願 ◇受講料:登録料15,000円(単年度有効) +授業料25,000円(1科目通年、年間授業数25~26回) ◇申込・詳細は講座Webサイトをご覧ください。 ◇問い合わせ先:立教