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記事一覧

[2024.7]キューバ人ミュージシャンの実話に基づいた映画『マンボマン』〜キューバ革命記念日の7/26(金)より配信開始!

文⚫︎太田亜紀 texto por Aki Ota  『マンボマン』は、UKを拠点にラテン音楽をプロデュースするインデペンデント系レーベル、TUMI MUSICの代表モ・フィニと著名なキューバ人作曲家、エデシオ・アレハンドロが共同で監督を務めた映画。両監督にとってこれが初の長編作品となった。 モ・フィニ監督は30年以上前からキューバ音楽の普及に従事し、アフロ・キューバン・オールスターズ、オマーラ・ポルトゥオンド、エリアデス・オチョア、カンディド・ファブレ、ジューサといった

[2024.7]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2024年7月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 V.A. · Congo Funk! Sound Madness from the Shores of the Mighty Congo River (Kinshasa / Brazzaville

[2024.7]アルゼンチンギター音楽の新たな指標〜カルロス・モスカルディーニ 25年ぶりに来日、初のソロツアー開催!

文:森井ヒデ 近年、アルゼンチンはギター音楽を中心とした新たな音楽的スタンダードを確立しつつあるように思える。ソロギターでは、フアン・ファルーは未だ衰え知らずの活動を行ない、キケ・シネシ、リカルド・モヤーノ、ギジェルモ・リソットらの音楽は日本に浸透してきている。すこし範囲を広げると、ACA SECA TRIOのヴォーカルであるフアン・キンテーロがギターの名手でもあるのは周知の事実だし、カルロス・アギーレは近年ギター5重奏団のアルバムをリリースした。 しかし上記に挙げたギタ

[2024.7]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 ㊽】 Badi Assad, Orquestra Mundana Refugi 『Olho de Peixe』

文:中原 仁  アサド兄弟(セルジオ&オダイル・アサド)の妹であるギタリスト/ヴォイス・パフォーマー、バヂ・アサド(ネイティヴにはアサーヂと発音)がオルケストラ・ムンダナ・ヘフージと共演し、レニーニ&スザーノの1993年の超名盤『Olho de Peixe(魚眼)』をカヴァー、いや、リクリエイトした意欲作『オーリョ・ヂ・ペイシ』を5月末にデジタル・リリースした。  バヂは2019年に来日公演を行なった際、J-WAVE「サウージ!サウダージ」に出演してスタジオライヴで弾き語

[2024.7] 【映画評】2024年夏に観るべき傑作3本〜『メイ・ディセンバー ゆれる真実』『めくらやなぎと眠る女』『墓泥棒と失われた女神』

2024年夏に観るべき傑作3本 『メイ・ディセンバー ゆれる真実』 『めくらやなぎと眠る女』 『墓泥棒と失われた女神』 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  去年ハリウッドで長期に渡って行われた脚本家組合と俳優組合によるストライキの影響で、多くの大作映画の撮影が延期された。そのせいか今年の夏は誰もが話題にするような注目作は見当たらないが、それでも小、中規模の質の高い作品が数多く公開を控えている。そんな中から3本を選んで紹介しよう。

[2024.6]【境界線上の蟻(アリ)~Ants On The Border Line〜20】カーボ・ヴェルデ音楽の未来を拡張する2人の才媛~ナンシー・ヴィエイラとカヴィータ・シャー

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  アフリカ大陸西端のセネガルからさらに約500km沖合の大西洋上に浮かぶ大小15の島からなる火山群島国のカーボ・ヴェルデは、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカの三大陸にアクセスが容易な中継地として、1975年に独立するまでポルトガルの支配を受けながら独自の文化を育んできた。ポピュラー音楽では、ブラジル音楽におけるサウダージに相当する〝ソダーデ〟と呼ばれる郷愁の感覚を根底に持ち、ポルトガルのファドにも通じる哀愁味の強いメロディが

[2024.6]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2024年6月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Céu · Novelaレーベル:Urban Jungle / ONErpm [-] 19位 Marjan Vahdat · The Eagle of My Heartレーベル:Kirkelig

[2024.6]【タンゴ界隈そぞろ歩き⑮】G7サミット開催記念、プーリアゆかりのタンゴ人

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 6月13日~15日にイタリアのプーリアでG7サミットが開催されたことは皆様ご存じかと思う。プーリア (Puglia) というのはイタリア南部の州の一つで、イタリアをブーツになぞらえるとかかとの部分に相当する地域である。平地が多くイタリアの穀倉地帯に相当し、ワインの生産も盛んだ。州都はバーリ。 ミラノの人をミラネーゼと言うように、プーリアの人を表す言葉はプーリエーゼで、puglieseと綴る。これをスペイ

[2024.6]カリブ海へ旅する映画祭〜CARIBBEAN FILM FESTIVAL 2024〜開催決定!(読者プレゼントあり!締切7/8)

編集部  今年は、日本とジャマイカ及びトリニダード・トバゴ共和国との国交樹立60周年、日本とカリブ共同体(カリコム:CARICOM)が事務レベル協議開始から30年が経過した年です。それを記念し、2024年は「日・カリブ交流年2024」として、日本とカリブ共同体諸国の交流を深めることを目的とした様々な記念事業が行われます。  その一つとして「LIME records presents カリブ海へ旅する映画祭 〜CARIBBEAN FILM FESTIVAL 2024〜 」が開

[2024.6]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 ㊼】 Moreno Veloso 『Mundo Paralelo』

文:中原 仁  2011年の来日時、東京で嶺川貴子、高野寛と録音した曲を含むリーダー・アルバム『Coisa Boa』(2014年発売)から10年。モレーノ・ヴェローゾが新作を発売した……、と書いたが、実はこの間、もう1枚のアルバムがある。パンデミック期間の2020年、ギターの弾き語りで録音し、USAのアート・ギャラリーのレーベルからCDでリリースされた『Every Single Night』(サブスクでは聴けない)。新作『Mundo Paralelo』は、多彩な共演者と作っ

[2024.6] 【映画評】アウシュビッツが照射する現代の非情 『関心領域』そして『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』と『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』

アウシュビッツが照射する現代の非情 『関心領域』そして『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』と 『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  現在公開中の『関心領域』は、昨年のカンヌ国際映画祭でグランプリ、今年のアカデミー賞で国際長編映画賞と音響賞を受賞している。そしてアウシュビッツを描いた作品として、これまでにない画期的な表現によって映画史にその名を残す傑作になったと言えるだろう。  カメラは強制収容所内で行われていた行為を一

[2024.5]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2024年5月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Yīn Yīn · Mount Matsuレーベル:Glitterbeat [14] 19位 Lass · Passeportレーベル:Chapter Two [-] 18位 Asmaa Ham

[2024.5]【境界線上の蟻(アリ)~Ants On The Border Line〜19】中国の新世代エレクトロニック・ミュージック

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  最近はロックやジャズ系ミュージシャンの来日も相次ぎ、これまでよりも現代的な感覚を持った音楽家たちの動向がダイレクトに伝わってくるようになってきた感がある中国の音楽シーン。テクノ、ハウス、ベース・ミュージックといったエレクトロニック・ミュージックに関しても、2010年代後半以降にHowie Lee、Tzusing、カナダのバンクーバーを拠点に活動するYu Suらがワールドワイドな注目を集めてきたあたりから、クオリティの高い

[2024.5]【タンゴ界隈そぞろ歩き⑭】66年越しのプロローグ

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 恐れのない動き現代のジャズ・シーンを牽引する人物の一人、サックス奏者のカマシ・ワシントンは今月 (2024年5月)、アルバム『Fearless Movement』をリリースした。娘が生まれたことで得た喜びやインスピレーション、自身の人生観の変化などが反映された、従来の彼の作品よりもオープンで親しみやすい印象のアルバムだ。アルバムのタイトルについて、彼はこう語る。 CD2枚にわたる充実した楽曲群のラストに