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世界の音楽情報誌「ラティーナ」

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記事一覧

[2023.11]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ⑧】 タンゴの詞の世界の住人はどんな酒を飲んでいるのだろうか

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 皆さん酒はお好きだろうか。私はかなり好きな方で、ほぼ毎晩飲んでいる。普段は焼酎が多く、食べ物によっては日本酒やワインを選ぶこともある。ビールも好きで、スタンダードなピルスナー、ラガーからホップの香りが強いものや色の濃いエール系、スタウト系まで…まあ要するにに何でも飲むわけである。 ところで、タンゴと関わりのある酒といえば何だろう。普通はワイン、それも赤というのが一般的なイメージではないかと思う。しかし考

[2023.11]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2023年11月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Tinariwen · Amatssouレーベル:Wedge [10] ↓国内盤あり〼。 ↓6年ぶりに来日し〼。(12月に東京・大阪でライヴ開催!) 19位 Ana Carla Maza ·

[2023.11]ミルトン・ナシメントが導く魔法の森の秘密〜映画『ペルリンプスと秘密の森』

文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  ブラジルのアニメーション作家アレ・アブレウ、9年ぶりの新作『ペルリンプスと秘密の森』(2022)がもうすぐ日本で公開される。世界最大規模のアニメ映画祭であるアヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞と観客賞をダブル受賞した前作、『父を探して』(2013/日本公開は2016年)もこのコラムで紹介しているが、その中で “列車が山の間から煙を上げながら現れる” 場面について、「まるでミルトン・ナシメントの『ジェライス』(1976)のジャケットの

[2023.11]アルゼンチン大統領選挙、ミレイが勝利!_現地メディアのミレイ追加情報

編集部  11月19日、大統領選の最終投票が終わり、アルゼンチンの新大統領に自由前進(ラ・リベルター・アバンサ)党のハビエル・ミレイ候補が選出された!8月13日のPASO予備選挙で、予想を大きく覆して圧倒的な人気を得て、トップ当選したミレイだったが、10月22日の第一回投票では現政権のセルヒオ・マサに次ぐ2番手となっていた。しかし、保守派パトリシア・ブルリッチの24%の有権者を引きつけ、リベラル派のマウリシオ・マクリ前大統領(2015-2019年)の承認を得るために、この日

[2023.11]8月の南米ツアー報告~①サンパウロ編 『パンデミアを経た南米のウチナー社会』

文●宮沢和史 写真●Val Ferrer、宮沢和史  新型コロナウイルスが世界を占拠した間、海外渡航はおろか、緊急事態宣言や、蔓延防止法などというものが発出されると、都内からも出られず、公園や河川敷などを散歩して運動不足の解消をしたりしていたものだ。都内はそういった場所ほど混雑していたことがが思い出される。考える事はみな同じなのだ。  当時、世界の感染者数をチェックしてみたら、自分がよく行く国、もしくは行ったことがある国がワーストランキングの上位の多くを占めていて、自分が

[2023.11]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㊵】 Edu Lobo 『Oitenta Anos』

文:中原 仁  8月29日に80歳を迎えたエドゥ・ロボが、その名も『80歳(オイテンタ・アノス)』と題するニューアルバムを発表した。最初にお伝えしておくと、11月リリースなので「2023年ブラジル・ディスク大賞」投票の対象外となる。  自作の24曲、歌は自身のほか、モニカ・サウマーゾ、ヴァネッサ・モレーノ、ゼー・ヘナート、そして28歳のアイルトン・モンタホーヨス。この4人。  プロデュースとアレンジは、ピアニストのクリストーヴァォン・バストス。ジョルジ・エルデル(ベース

[2023.11]『ブエノス・アイレスのマリア』 12月に三度目の公演!〜フル編成で贈る、死と生誕の悲しくも美しいもう一つのクリスマス

文●山本幸洋  text por Takahiro Yamamoto  感動のステージが再び、いや三度戻ってくる。ヴァイオリン奏者の柴田奈穂プロデュースの『ブエノス・アイレスのマリア』が、12月15日にアンコール上演される。  『ブエノス・アイレスのマリア』とは、1960年代半ば過ぎから創作スランプに悩まされていたアストル・ピアソラが68年に放った起死回生のステージそして2枚組LPである。小オペラと名付けられたその作品は60年代の抽象的アートに彩られたファンタジー。出演は

[2023.11] 【映画評】芸術の秋に贈る珠玉の音楽ドキュメンタリー ⎯ 『キャロル・キング ホーム・アゲイン ライブ・イン・セントラルパーク』 『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』

芸術の秋に贈る珠玉の音楽ドキュメンタリー 『キャロル・キング ホーム・アゲイン ライブ・イン・セントラルパーク』 『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  11月に公開される伝説のコンサートを追った1本と、革新的なミュージシャンの人物像に迫ったもう1本の音楽ドキュメンタリーを紹介しよう。

[2023.10]【境界線上の蟻(アリ)~Seeking The New Frontiers~13】 予測不能な底知れなさを秘めている南アフリカ・ジャズ界の異能ギタリスト Sibusile Xaba(シブシル・シャバ)

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  この10年ほどの間に新世代勢が躍進し、ワールドワイドな注目をますます高めている南アフリカのジャズ・シーン。間もなくその発火点となったシャバカ&ジ・アンセスターズがビルボードライブ東京において初来日公演を行い、エスペランサ・スポルティングにも通じる柔軟にしてしなやかな音楽性で独自の世界を深化させてきたキーボード奏者&ボーカリストの Thandi Ntuli(タンディ・ンツリ)もUS現代ジャズの最重要レーベルである≪Inte

[2023.10] 天橋立に降り立ったアフロ・ブラジリアンの宝石 〜ルエジ・ルナ インタビュー

インタビュー・文●中原 仁 協力●KYOTOPHONIE PR事務局  本誌9月号の初来日記念記事で “アフロ・ブラジリアンの宝石” と讃えられた、バイーア出身のルエジ・ルナ。宝石が日本三景のひとつ、天橋立(京都府)の砂浜に到着した。   今年、初開催されたボーダレス・ミュージック・フェスティヴァル「KYOTOPHONIE 2023 AMANOHASHIDATE」に出演したルエジ・ルナのバンドは、キーボード、ベース、ドラムス、パーカッションの4人編成。カーニヴァルで大声で

[2023.10]26年ぶりの来日公演 〜シコ・セーザル インタビュー

インタビュー・文・写真●ラティーナ編集部 協力●KYOTOPHONIE PR事務局  9月の以下の記事でご紹介したように、シコ・セーザルがこの度26年ぶりに来日した。日本三景の一つである京都・天橋立で10月7日(土)・8日(日)の二日間開催された「KYOTOPHONIE ボーダレス・ミュージックフェスティバル 2023 天橋立」に出演した。  シコのステージを待ち望んでいた多くのファンももちろん来場していたが、彼のことを全然知らずにフェスに来たお客さんもいたようだ。シコと

[2023.10]アルゼンチン大統領選また驚きの結果!セルヒオ・マサが1位、ミレイは2位!!!

編集部  10月22日、アルゼンチンにとっては重要な新しい大統領選挙の本戦挙が行われた。PASO(予備選)で、世界を驚かせたリバタリアン候補ミレイがトップ当選したことには、アルゼンチン国内はもちろん、世界が驚いた。そして、大統領選挙の行方に世界の関心が向いていたが、結果は、セルヒオ・マッサが36%以上の得票率で勝利し、自由前進(ラ・リベルター・アバンサ)党のハビエル・ミレイ候補が30%の得票率で2位となった。「変革のために共に」(フントス・ポル・エル・カンビオ)連合のパトリ

[2023.10]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2023年10月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Fatoumata Diawara · London Koレーベル:3ème Bureau / Wagram Music [19] 19位 Bantu · What Is Your Breakin

[2023.10]この夏13年ぶりに来日したLos Van Van 〜リーダー サムエル・フォルメル インタビュー

インタビュー・文●清野史郎  サムエルが「ロス・バンバン」入りして初めてのライブを見たのが92年、バルセロナに住んでいたころ。マジートも加入しての新生バンバンが発進した時期と重なる。「サンドゥンゲラ」や「ティティ・マニア」のヒットが続いた80年代後半のグイグイとくるマッチョな音と明らかに異なる都会的に洗練されたサウンドに変化していた。ライブ後に「ロス・バンバン」が泊まっていたホテルに直行し、フォルメル(父)の部屋で一晩中飲み明かした、その変化について尋ねたら、「新世代、新世