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Web版 2023年8月

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#映画評

[2023.8] 【映画評】 虚実の皮膜を突き抜ける心の叫び 『ミャンマー・ダイアリーズ』『あしたの少女』

虚実の皮膜を突き抜ける心の叫び 「ミャンマー・ダイアリーズ」「あしたの少女」 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  今月も先月に引き続き、小規模な公開ながら質の高い心に残る作品2本を紹介しよう。いずれもフィクションとドキュメンタリーの境界が曖昧になるような表現が興味深い。  先週から公開されている『ミャンマー・ダイアリーズ』は、昨年のベルリン国際映画祭パノラマ部門でドキュメンタリー賞、ブロンズ観客賞、アムネスティ国際映画賞を受賞した作品だ。受賞名で分かるように基本的には

[2023.8]映画 『ジェーンとシャルロット』〜常に時代を先取りした母と葛藤を抱えた娘が、初めて真摯に向き合った、その赤裸々な記録。

文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  2023年7月17日の朝、ジェーン・バーキンが前日に亡くなったことを知らされる。その数日前に本作を観て、まだまだ元気な姿が鮮明なイメージとして残っていたので、とても驚き呆然とすると同時に、図らずも本作の公開が追悼上映になってしまうことが残念でならなかった。2021年には軽い脳卒中で倒れたというニュースも聞こえてきたが、多くのファンは2020年にコロナ禍で中止になってしまった来日公演が、なんとかもう一度実現するよう心から願っていただろうか