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[2022.11]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉟】 上からでも下からでも読める歌詞 — Corrente
文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura
シコ・ブアルキは、ポルトガル語の歌詞を、実に巧妙に操ります。多くの作品において、誰かを批判した内容であるのに、そう見えない歌詞になっていたり、文脈や着眼点次第で二重三重にも異なる意味を感じ取ることができる複雑な作品があったりと、卓越した技を見せてきたことについて、この連載で何度かご紹介してきました
[2022.10]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉞】ブラジルを代表する料理を囲んで — Feijoada completa
文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura
ブラジルに馴染みのある方が必ず思い浮かべる代表的料理といえば、豚の臓物や干し肉などと黒豆をじっくり煮込んだフェイジョアーダ (feijoada)でしょう。ホームパーティーに招かれた土曜の昼下がり、皆で食べ始めたはいいものの、美味さにつられてすっかり重くなったお腹を抱え、ハンモックで昼寝させてもらい
[2022.8] 【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉛】 無念にも先立っていった人への慕情 - 《Pedaço de mim》(私のひとかけら)
文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura
シコが作った演劇『ならず者のオペラ(Ópera de malandro)』の中で歌われる1曲に、とても物悲しい歌があります。息子が軍政時代に罪もなく捕えられ、帰らぬ人となった、ズズ・アンジェルという実在の女性のことを思い書いた「Angelica」という作品(この連載の27回目の中で、ご紹介しました
[2022.6]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉘】ポルトガルのファドの熱帯版とは、これいかに - 《Fado tropcal》
文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura
[2022.3]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉑】 女性のために歌ったが、批判を受け、歌わないことを宣言した作品 – 《Com açúcar, com afeto》
文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura
今年1月の終わり頃、リオから意外なニュースが飛び込んできました。軍政や大規模開発などを通じ、厳しいことの多かった60年代以降のブラジルにおいて、弱い立場にあった女性の身になって歌う歌を長年送り出しヒットさせてきたシコ・ブアルキが、その部類の名作とされるはずの曲の1つについて、フェミニスト運動家たち