マガジンのカバー画像

Web版 2022年4月

16
2022年4月に新規にアップした記事のみが収められているマガジンです。こちらでアーカイブ記事は読めませんので、アーカイブ記事も購読するには定期購読マガジンの「ラティーナ」(月額9…
¥950
運営しているクリエイター

#中村安志

[2022.5]【連載 シコ・ブアルキの作品との出会い㉔】女性を力強く代弁した歌 — 《Sob medida》

文と訳詞●中村 安志  texto & tradução por Yasushi Nakamura  70年代、各国社会において女性が不利な立場に置かれることが多かった中、ブラジルでは男性のシコが女性に成り代わり、一人称で歌う形式の歌をいくつも創作してきたこと。この連載の初期において、そうした例をいくつかご紹介しました。  今回は、女性が遠慮がちに語るかもしれないと想定される場面で、自身の存在や気持ちを、男勝りな勢いで主張してみせた歌、「Sob medida」をお送りしま

[2022.4] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉑】 20年以上世に出ずにいた、かわいいラブソング - 《Ai quem me dera》

文と歌詞対訳●中村安志 texto e taraduão / Yasushi Nakamura  ジョビンに関するこの連載第4回目にご紹介した「数学の授業(Aula de matemática)」というユーモラスな曲は、マリーノ・ピントという、 1927年生まれのシンガーソングライターとの共作でした(1958年)。  このマリーノとジョビンの共作は、少なくとも計5曲確認されており、この「Aula de matemática」のほかに、「Sucedeu assim(こうなっ

[2022.4] 【連載 シコ・ブアルキの作品との出会い㉓】ならず者たちと、失われた彼らの美学に光を当てた歌 - 《Homenagem ao malandro》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  ブラジルの日常において、特に親しい者どうしの会話では、マランドロ(malandro)という存在がよく口にされます。気軽な例でいえば、仲間の誰かが次々と女性に迫りよくモテるプレーボーイであるのを指し、「あいつはマランドロ(=ワル)だ」と称したりしますし、普通には解決しにくい問題を巧みに(時にずるい方法で)切り抜ける人間を指し、「抜け目ない奴だな」といった意味で、マランドロと呼ん

[2022.4]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑳】妖女の魅力を引き立てる主題歌 - 《Tema de amor de Gabriela》

文と訳詞●中村 安志 Texto e Tradução por Yasushi Nakamura  ボサノヴァで世界に名が広まったジョビンも、実は、別なスタイルの音楽をたくさん生み出していることについて、最近の記事で何度かご紹介してきました。  例えば、時にジョビンは、ブラジルの地元色たっぷりのTVドラマや映画のための素敵な音楽を残しています。今回は、ブルーノ・バヘット監督が1983年に制作した映画『ガブリエラ、クローブとシナモン』のテーマ曲として、ジョビンが作詞作曲した