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Web版 2022年3月

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#松田美緒

【松田美緒の航海記 ⎯ 1枚のアルバムができるまで③】 Asas ⎯ 失意の果ての空へ ⎯

▼ Asas ⎯ 失意の果ての空へ ⎯ 文●松田美緒  私は大都会にはことごとく向かない人間らしい。特にデビュー当時、いろいろな問題を抱えながら東京で暮らした後、心を病んで、諦めて一度京都に帰ることにした。心の中は人間不信やら自己不信やらに陥っていて、心配した家族がブラジルに送り出してくれた。  当時ブラジルに行けば水を得た魚のように野生が蘇っていたのが、なかなか心の雲は晴れず、バイーアの内陸シャパーダ・ヂアマンチーナに行って、ひたすら大自然を歩くことにした。ガイド付

【松田美緒の航海記 ⎯ 1枚のアルバムができるまで②】 『Pitanga!』 ⎯ 赤い実に魅せられて東西奔走⎯

▼ Pitanga! ⎯ 赤い実に魅せられて東西奔走 ⎯ 文●松田美緒  私の目標だったアンゴラの歌手ヴァルデマール・バストスのアルバムに『Pitanga Madura』というのがあって、彼に「ピタンガって何?」と聞いたら、「とっても美味しい果実なんだ、アンゴラで学校の帰り道によく食べた故郷の味だよ」と答えた。それからブラジルで1作目を作った後、レシフェのカルナヴァルに行った時だったか、ピタンガの木と初めて出会い、その果実を食べた。甘酸っぱくてなんとも言えない甘みと、ヴ

【松田美緒の航海記 ⎯ 1枚のアルバムができるまで①】 『Atlântica』 ⎯ 大西洋は深かった ⎯

▼ 【松田美緒の航海誌 ⎯ 1枚のアルバムができるまで①】 『Atlântica』 ⎯ 大西洋は深かった ⎯ 文●松田美緒  2004年夜な夜なファドを歌い歩いたリスボンの留学が終わる頃、7月にブラジルのミナスジェライス州の冬の音楽祭出演の仕事と、8月にはカーボヴェルデのホテルに歌いに行く仕事をもらった。  ブラジルはポルトガル語圏の国々のミュージシャンが一堂に会するイベントで、カーボヴェルデ、サントメのミュージシャンと赤土の大地300キロを旅した。リオ発着だったため