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Web版 2022年3月

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2022年3月に新規にアップした記事のみが収められているマガジンです。こちらでアーカイブ記事は読めませんので、アーカイブ記事も購読するには定期購読マガジンの「ラティーナ」(月額9… もっと読む
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#ブラジル文化

[2022.2] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑱】おそらく初作と言われる初期の作品 - 《Imagina》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  ジョビン・ファンの間でよく知られる後年のアルバムで、彼の還暦を記念し、未発表の録音などを盛り込んだ『Tom inédito(未出のトン)』という2枚組アルバム(1987年)。これに収められている1曲ですが、曲の制作はかなり初期、おそらくこれが最初の作品ではないかとも目されている作品があります。「Imagina(想像してごらん)」という歌です。  作曲された当初は、「感傷的ワ

[2022.3]【中原仁の「勝手にライナーノーツ⑳」】 Bala Desejo 『 SIM SIM SIM』

 20代の若者たちが、トロピカリアと70年代MPBのDNAを2020年代にアップデート! そうぶちあげよう。気合を入れて書いたので長編になります。  ハイスクール時代からの友人である、現在25歳前後の男女4人が結成したバンド、バラ・デゼージョ(Bala Desejo)。リオのインディー・ポップ第3世代のオールスター・グループが、ファースト・アルバム『SIM SIM SIM』の<Lado A>(A面)を2022年1月に、<Lado B>(B面)を2月にリリースした。  バラ

[2022.3] 【連載 シコ・ブアルキの作品との出会い⑳】多様性溢れる国でのアイデンティティと、マエストロ・ジョビンへの敬意 - 《Para todos》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  日本の面積の22倍半という、広大な国土を擁するブラジル。カリブ海側、赤道をまたぐアマゾンの熱帯から、冬に雪も舞う南部まで、地域ごとの自然、文化、社会などが非常に多様であることは、大きな特徴です。  シコ・ブアルキは、リオデジャネイロという街で暮らしながら、この旧都市に各地から渡ってきた人々と共生する中で、歌を創作しています。実家のお手伝いさんはリオグランデドノルテという北部