マガジンのカバー画像

Web版 2022年9月

14
2022年9月に新規にアップした記事のみが収められているマガジンです。こちらでアーカイブ記事は読めませんので、アーカイブ記事も購読するには定期購読マガジンの「ラティーナ」(月額9…
¥950
運営しているクリエイター

#ラティーナ

[2022.9] 【島々百景 第75回】 沖縄祭り 日本祭り

文と写真:宮沢和史  沖縄県国頭郡金武町出身の社会活動家である當山久三は当時の沖縄の人口増加と食糧難という問題を打開するために、すでに日本では始まっていた海外移民の道を切り開き、1899年に第一回沖縄移民団をハワイへ送り出した。ご存知の通り、その後日系移民はアジア、南北アメリカ諸国へと生活の拠点を広げていった。移民というと海外の国々へ、ということになるが、もちろん、新天地を求めたり、一時的な出稼ぎ目的で日本国内を移動し生活してきた国内移民史がある。  以前、この島々百景で

[2022.9]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㉖】 Carlos Malta e Pife Muderno em GIL『Suíte Viramundo』

文:中原 仁  マルチ・リード奏者、カルロス・マルタが率いる “笛と太鼓のバンド”、カルロス・マルタ&ピフィ・ムデルノの『Carlos Malta e Pife Muderno em GIL』。80歳を迎えたジルベルト・ジルの名曲を約40曲、アルバム4作品にまたがって演奏する壮大なプロジェクトだ。8月上旬に第1弾『Suíte Viramundo』が、9月上旬に第2弾『Suíte Tempo Rei』がデジタル・リリースされ、10月に『Suíte Primazia』、11月に

[2022.9] 【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉝】希望が見え始めた時代 - 《Fantasia》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  権力を批判する歌を多く書いたことで知られるシコ・ブアルキですが、彼が、厳しかった抑圧時代の辛さとその先に見え始めた希望を、権力との対抗を直接示さない形で表現した、「Fantasia(幻想)」という、少し角度の異なる作品があります。この歌は、1979年に上演された男性4人組コーラスのMPB-4のライブ・コンサート「いい天気、そうだよね」(Bons tempos, hein?!)

[2022.9] チン・ベルナルデス (TIM BERNARDES) インタビュー ⎯⎯ チン・ベルナルデスのコントラスト(後) ⎯⎯

 チン・ベルナルデスのコントラスト (Os contrastes de Tim Bernardes)  サンパウロ出身のシンガーソングライターは、 2枚目のソロアルバム『Mil coisas invisíveis』で MPB新世代を代表するアーティストとしての 地位を確立した。 ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ 文:ヂエゴ・ムニス(Diego Muniz|サンパウロ在住、ブラジル人音楽ジャーナリスト)  グループ「オ・テルノ(O Terno)」でデビューして以来、注目を集めてきた

[2022.9] ドリ・カイミ & モニカ・サウマーゾ インタビュー後編 「ブラジルへの愛の宣言」

  アルバム『Canto Sedutor』をリリースしたばかりの作曲家ドリ・カイミ(Dori Caymmi)と歌手のモニカ・サウマーゾ(Mônica Salmaso)へのインタビューの後編です。アルバムのサウンドの構築やテコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)のプロデュースについて、このアルバムでの挑戦についてを語ってくれました。 文:ヂエゴ・ムニス(Diego Muniz) ▼ ── アルバム収録曲の編曲はどうでしたか? ドリ・カイミ まず私が全部編曲を書いて、

[2022.9] チン・ベルナルデス (TIM BERNARDES) インタビュー ⎯⎯ チン・ベルナルデスのコントラスト(前) ⎯⎯

 チン・ベルナルデスのコントラスト (Os contrastes de Tim Bernardes)  サンパウロ出身のシンガーソングライターは、 2枚目のソロアルバム『Mil coisas invisíveis』で MPB新世代を代表するアーティストとしての 地位を確立した。 ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ 文:ヂエゴ・ムニス(Diego Muniz|サンパウロ在住、ブラジル人音楽ジャーナリスト)  グループ「オ・テルノ(O Terno)」でデビューして以来、注目を集めてきた

[2022.9]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2022年9月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Itzhak Ventura · Aligned レーベル:Riverboat / World Music Network [-] ↓国内盤あり〼。 19位 África Negra · Ant

[2022.9]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉚】 子供たちに歌わせても、大丈夫? ─ 《Pra mode chatear》

文と訳詞●中村 安志 texto e traduão por Yasushi Nakamura  ジョビンの作品は、もともと学んだクラシックの作曲の延長として試みた作品(主に初期)、ブラジルの50年代の歌謡曲に沿った伝統的スタイルのラブソングの部類のほかに、ボサノヴァと呼ばれるようになった斬新なリズムと和声が響く作品群の中だけでみても、しっとりと慕情を語る歌、悲しい歌、人間の虚栄心に対する皮肉を込めた歌など、様々な世界を描く作品に分かれていますが、わかりやすい子供向けの歌を

[2022.9] 【映画評】 『3つの鍵』『秘密の森の、その向こう』⎯⎯ 親と子、そして祖父母をめぐるスリリングな群像劇と少女のおとぎ噺。

『3つの鍵』『秘密の森の、その向こう』 親と子、そして祖父母をめぐる  スリリングな群像劇と少女のおとぎ噺。 文●圷滋夫(映画・音楽ライター)  今月は親と子、そして祖父母という三世代をめぐる傑作が2本公開されるが、その2作品の描き方はまるで印象の違うものだ。『3つの鍵』は3つの家族の10年間に渡る様々な出来事を、ほぼ2時間の上映時間の中に盛りだくさんで描いたリアルな群像劇で、メインとなるのは親の世代だ。一方『秘密の森と、その向こう』は8歳の少女を主人公に、母と亡き祖母