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Web版 2023年2月

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記事一覧

[2023.2]【境界線上の蟻(アリ)~Seeking The New Frontiers~5】 アクサク・マブール(ベルギー)

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  コノノNo.1、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、べべウ・ジルベルトなど。もっと遡れば80年代半ばにマハムド・アハメドの音源をリリースして後のエチオピーク・シリーズに連なる流れを作ったりもしているのだが、常に先鋭的なワールド・ミュージックの送り手として数多くの作品を手がけてきたベルギーのクラムド・ディスク。その一方で、80年代には無国籍ニューウェイヴや環境音楽、90年代にはテクノ、ドラムンベース、トリップ・ホップなどのクラブ

[2023.2]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ㉛】 台湾原住民と日本を結んだ歌 ―「サヨンの鐘」の物語―

文●小西 潤子(沖縄県立芸術大学教授)  台湾と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。まずは、身近な海外旅行先? ― タピオカミルクティ、小籠包、大鶏排(台湾唐揚げ)などのグルメが人気ですよね。昭和時代であれば、野球の王貞治、歌手のジュディ・オングやテレサ・テンなど有名人のお名前かも知れません。最近のニュースでは、台湾有事が気になるところ…。飛行機で沖縄本島からだと1時間半、日本最西端の与那国島からだと110kmしか離れていません。それだけに、沖縄とのつながりは琉球王国時代に

[2023.2] 【島々百景 第80回】 ブエノスアイレス② アルゼンチン

文と写真:宮沢和史  南米の国土の広い国々の地図を見ていると、長年培った日本的な “縮尺感覚” が当てはまらずに自分自身のサイズを見失うような感覚によく落ち入る。例えば、川沿いにいくつか集落があったとして、経験値から川幅を参考に集落間の距離を推測してみようとするものの、実際はその何倍もの距離だったなんてことがよくある。  アルゼンチンのブエノスアイレス市は海に面しているように見えるがそうではなくてラ・プラタ川の河口に位置している。そこから海水浴をするために有名なビーチであ

[2023.2]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2023年2月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Dimitris Mystakidis · Morsoレーベル:Fishbowl Music Tank [26] 19位 Payadora Tango Ensemble · Silent Tear

[2023.2]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉟】荒野に拓かれた新首都お披露目の交響曲 - Brasília, Sinfonia da Alvorada

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução : Yasushi Nakamura  ジョビンがその頭角を現していった、1950年代。その後半、彼は、演劇オルフェのための音楽で成功を得た後、ボサノヴァ興隆を経て、世界的に知られる存在へと飛躍していきます。  こうした発展の途次にジョビンが産んだ大作でありながら、あまり知られていない曲があります。熱帯の高原を開拓し、1960年に完成した新首都ブラジリアを主題とする朗読付きの交響曲「Brasília, Sinfoni

[2023.2] 【書評】 大石 始 『南洋のソングライン―幻の屋久島古謡を追って』

文●今福龍太(文化人類学者)  屋久島に伝わる古謡の幽かな響き。その、南の海の島々を結ぶか細い音の糸の謎めいた曲がりくねりを丹念にたどりながら、人々よって守られてきた伝承の、無数のささやき声に静かに聞き耳をたてる旅人。そんな著者の「旅人」としての真摯さと謙虚さにまず印象づけられる。  旅はたしかに現代人にとってはかけがえなき自己探求の手段だ。だがその探求は、自分が何者であるかを知るだけでなく、何者でないのかを知り、さらには自分のなかに潜む得体の知れない他者を見出すことでも

[2023.2] 『ブラジリアン・ミュージック200 - 200 Canções da Música Ppular Brasileira』 出版 著者インタビュー

●ラティーナ編集部  ブラジル独立200周年を記念して、広大で豊かなブラジル音楽の歴史から名曲200曲をセレクトし、その曲についてのエピソードや解説なども交えた名曲事典ともいえる書籍が出版されました。著者は、J-WAVEの人気FM番組「サウージ!サウダージ」のプロデュースを長年手がけ、ラティーナでもおなじみの中原 仁さん。今回、この書籍の出版にあたってお話を伺いました。 ◇ ── 本書を出版することになった経緯について教えてください。 中原 2021年の秋の時点でブラ

[2023.2] 【映画評】 『対峙』『小さき麦の花』『少女は卒業しない』 ⎯⎯ アカデミー賞の話題に埋もれがちな秀作3本を紹介!

『対峙』『小さき麦の花』『少女は卒業しない』    アカデミー賞の話題に埋もれがちな秀作3本を紹介! 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  毎年2月、3月には、アカデミー賞の発表(今年は日本時間3月13日)に合わせた多くの話題作が公開される。今年も作品賞にノミネートされたスピルバーグ監督作『フェイブルズ』やリューベン・オストルンド監督作『逆転のトライアングル』、そして本命と目されるダニエルズ(同じ名前の二人による)監督作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワン

[2023.2]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㉛】 『Sambas de Enredo Rio Carnaval 2023』

文:中原 仁  ブラジルのカーニヴァルは、コロナ禍で2021年は完全中止。2022年はリオのカーニヴァルのメインアクト、サンボドロモでのエスコーラ・ヂ・サンバのパレード・コンテストだけ、時期を4月に移して開催されたが、ストリート・カーニヴァルは引き続き中止となった。  2023年は、リオ、バイーア(サルヴァドール)、ペルナンブーコ(レシーフェ、オリンダ)、ブラジル三大カーニヴァルが3年ぶりに復活する。暦の上のカーニヴァルは2月24日だが、この日に向けて約1週間の祭典だ。