[2020.09]アドリアーナ・カルカニョット|ステイホーム中に「緊急」で完成させたアルバム『Só』を語る
アドリアーナ・カルカニョット●プロフィール
1965年10月3日、ブラジル・ポルトアレグレ生まれ。女性シンガー・ソングライター。1980年代半ばからプロとして歌い始め、1990年にデビューアルバム『Enguiço』を発表。その後もコンスタントに作品をリリースし、MPBを代表する女性シンガーとして活躍。“女性版カエターノ・ヴェローゾ”の異名をとり人気を集めた。アーティストからの評価も高く、サンバやボサ・ノヴァを昇華した現在進行形のブラジル音楽を描き出す才女として多くのリスペクトを集めている。近年は、ポルトガルのコインブラ大学で教鞭をとる。昨年、2008年の『Maré』から始まった海の3部作を『Margem』で完結させた。
最新作『Só』は、作曲開始から43日でミックスまで完成させ、5月29日に配信を開始した。
文●Diego Muniz(ヂエゴ・ムニス) 翻訳●花田勝暁
リオデジャネイロのマタ・アトランティカ(ブラジル大西洋岸森林)に建つ自宅の窓を眺めながら、アドリアーナ・カルカニョットは、ソーシャル・ディスタンスをアートに変化させた。
このブラジル人女性シンガーソングライターは、1日1曲、昼食前に必ず作曲するという課題を自分に課し、11日間でアルバム『Só』のレパートリーを準備した。「毎日パンを作るという使命を持っているかのようでした。でも、パンの作り方は知らないし、歌の作り方しか知らない」と、彼女は言った。
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