[2022.7]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㉔】 Jovem Dionisio 『Acorda, Pedrinho』
文:中原 仁
2022年上半期、ブラジル音楽シーン最大のサプライズ、そう言ってもいいだろう。ブラジル南部、パラナ州クリチーバの5人組ポップ・ロック・バンド、ジョーヴェン・ヂオニージオのファースト・アルバムのタイトル曲「ACORDA PEDRINHO」の大ヒットだ。
3月にデジタル・リリースした後、この曲はジワジワとストリーミング・サイトでの再生回数を伸ばし、5月下旬から6月初旬まで、Spotifyの「Top50 - Brasil」で1位になった。セルタネージョとファンキの、ソロやデュオや少人数のコラボがチャートを席巻し続けている中、バンドが1位になったのはリオの3兄妹、メリン(Melim)の「Meu Abrigo」(2018年8月)から約4年ぶり。ロック・バンドとなると、1位の前例がないのでは? しかも「ACORDA PEDRINHO」は、Spotifyの「Top50 - Global」にもランクインした。「Top50 - Brasil」では7月初頭も10位台にランクイン、トータルの再生回数は4,500万回を突破した。
「起きなよ、ペドロくん」という意味の「ACORDA PEDRINHO」はメンバー5人の共作。バンド名の源となったクリチーバ市内の古いバー、ヂオニージオに出入りし、いつも寝ているシヌーカ(ビリヤード)の名手、ペドリーニョことペドロを歌った、メンバーの実体験に基づく曲だ。ミュージック・ヴィデオは約10分に及ぶショート・ムーヴィー仕立てで、再生回数1,600万回を越えている。
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