[2020.08]【無料記事 聴きながら読めるよ!】最新ワールドミュージック・チャート一言紹介【Transglobal World Music Chart】2020年8月|20位→11位
ラティーナの編集長がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。
まずは、20位から11位までです。
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レーベル名の後の()は、先月の順位です。
「Transglobal World Music Chart」は、世界各地のワールドミュージック専門家の投票で決まっているワールドミュージックのチャートです。主な拠点がヨーロッパなので、ヨーロッパに入り込んだワールドミュージックが上位にランクインする傾向があります。
20位 Dembo Konte & Kausu Kuyateh · Kairaba Jabi
レーベル:Ghosts From The Basement (21)
ガンビア出身のデンボ・コンテとセネガル出身のカウス・クヤテの歌うコラ奏者2人の共演盤。2人とも故人。共演作は本作以外にも豊富。1998年作だが、再発されたのかランキングに入ってきています。バラケ・シソコらの現代のコラ奏者を通じて、コラという楽器が描き出すことができる美しい音世界が再評価され、本作の音源も再発見されたということでしょうか。
Dembo Konte(kora,vo)
Kausu Kuyateh(kora,vo)
19位 Nihiloxica · Kaloli
レーベル:Crammed Discs (33)
エッジーな審美眼で最注目され続けるワールドミュージック・レーベル《クラムド・ディスク》からリリースされるのは、ウガンダ出身のハイブリッド・エレクトロ・パーカッション・グループ「ニイロキシカ」。ウガンダ中南部の歴史的地域〈古代ブガンダ〉伝統の力強いリズムと、ず太いシンセサイザーのサウンドが一体となって、とんでもないダンス・ミュージックが生まれています。
国内盤あります↓
18位 Mehmet Polat · The Promise
レーベル:Aftab (-)
アムステルダムを中心に活動しているウード奏者。アフリカからインド、ペルシャからバルカン半島、現代音楽からジャズまで、様々なジャンルの音楽を、演奏する。彼がリーダーを務めるMehmet Polat Trioや、Mehmet Polat& Embracing Colours といったグループでのアルバムも多いが、本作は2作目となるソロ名義のアルバム。
17位 Bamba Wassoulou Groove · Dankélé
レーベル:Lusafrica (15)
マリで1969年に結成された伝説的グループ、SUPER DJATA BAND のメンバーだったバンバ・デンベレが率いるバンバ・ワスル・グルーヴの新作。ギター3本、ベース、ドラムス、パーカッション、ヴォーカルの7人バンド。マリ南西部のワスル地方の音楽をグルーヴ感に溢れた演奏できかせる。
16位 Santrofi · Alewa
レーベル:Outhere (12)
実力と経験のある若者音楽家たちが結集したガーナの大型新人バンド、サントロフィ。ガーナの伝統的なハイライフのリズムに、現代的なアクセントを加えた、世界に開かれた新しいグルーヴ。世界に向けた活動だけでなく、ハイライフを知らないガーナの若い世代にもハイライフを広めたいとローカルでの活動も大切にしている。
アルバムタイトルの「Alewa アレワ」は、地元でよく知られている黒と白の縞模様のスイーツのことで、人種の多様性を認め、受け入れることで、愛と一体感のある世界を築く必要性を象徴している。グループの中心人物は、ベーシストでプロデューサーのEmmanuel Ofori。
国内盤あります↓
15. Wu Fei & Abigail Washburn · Wu Fei & Abigail Washburn
レーベル:Smithsonian Folkways Recordings (3)
6月期の本チャートでは1位を獲得していた大注目の良作。驚きと感動に満ち溢れた作品。中国の琴、古筝(グーチェン)の奏者でシンガーのウー・フェイ(Wu Fei)と、アメリカのカントリーミュージックのバンジョー奏者でシンガーのアビゲイル・ウォッシュバーン (Abigail Washburn)の初共演作。異質にも思えるカントリーミュージックと中国の民謡は、自然な形で美しく融合した。10余年に渡る2人の友情の賜物だ。中国語と英語で歌われている。アビゲイルは、ヨーヨー・マーのシルクロード・アンサンブルに参加してる。
国内盤あります↓
14位 Transglobal Underground · Walls Have Ears
レーベル:Mule Satellite (7)
今年で活動30年周年を迎えたUKのワールド・フュージョン・ユニットの大御所、トランスグローバル・アンダーグラウンドが放つ待望の新作。ロンドンで結成されたトランスグローバル・アンダーグラウンドは、インド、アフリカ、中近東などをはじめとするワールドミュージックのエッセンスに、ダブ、ブレイク・ビーツなどの現在進行形のダンス・ビートを融合する作品を発表してきた。本作では、「エスニック・トランスの女王」ナターシャ・アトラスを筆頭に、過去にコラボレーションした音楽家が豪華に集結。ワールドミュージックと2020年のエレクトロニカが融合した心地よいグルーヴが響く。
国内盤あります↓
13. Tony Allen & Hugh Masekela · Rejoice
レーベル:World Circuit (20)
2人とも故人となってしまった。2018年に他界した南アフリカ出身の伝説的ジャズ・トランペッター、ヒュー・マセケラが生前にアフロビートの黎明期を支えた名ドラマー、トニー・アレンと2010年に録音していていた音源。 1970 年代に出会ってすぐ意気投合、それ以来2人でアルバムを作ることを夢見ていたが、イギリスでのツアースケジュールが重なった2010年に漸く実現した。クール極まりないアフロ・ジャズ。トランペットの音もドラムの音もかなり生々しく、録音も極上。
12. Joseph Tawadros · Live at the Sydney Opera House
ABC Classics (-)
ジャズ、ワールドミュージック、クラシックという広範な音楽を演奏してきたエジプト・カイロ出身、現在オーストリア在住のウード奏者、ジョセフ・タワドロス(Joseph Tawadros)。1983年生まれ。数々の賞も受賞してきた。
本作は、2019年の6月、シドニーのオペラハウスでのシドニー交響楽団とのコンサートを収録。ジョセフ・タワドロスがこのコンサートのために用意したウードとオーケストラのための協奏曲を初演。彼のキャリアを通した代表曲も演奏した。ジョセフ・タワドロスが、フル・シンフォニー・オーケストラとのアルバムを録音したのは本作が初めてであり、粒立って存在感のあるウードの音と、フル・シンフォニー・オーケストラの豊かで複雑な響きが、スリリングな音楽を作っていく。時に瞑想的に、時に爽快。東洋と西洋、伝統と革新の交差点に立つアルバムだ。
11. Shiran · Glsah Sanaanea with Shiran
レーベル:Batov (-)
2018年にアルバム『S H I R A N』でデビューした女性シンガーソングライターのシーラン(S H I R A N)の2作目。今も紛争が続くアラビア半島南端部の国、イエメン出身で、現在はイスラエルのテル・アヴィヴで活動する。本作では、イエメンとのつながりをさらに掘り下げ、ウード、カワラ、カヌンなどの弦楽器、管楽器、打楽器によるアコースティックな演奏をバックに、イエメンの伝統的な歌に親しみやすくも新しい命を吹き込んでいる。シンセサイザーや西洋のポップスを意識したプロダクションは影を潜め、前作よりも、アコースティックな響きが基調なアルバムとなった。リードシングル曲の「Ya Banat Al Yemen」は、イエメンの結婚式でよく聞かれる曲。疾走感のあるパーカッションのリズムに乗って、シーランが力強いコーラスと歌う。
10位→1位はこちら!
(ラティーナ2020年8月)