[2018.12]『ピアソラ 永遠のリベルタンゴ』(ダニエル・ローゼンフェルド監督作)偉大なる音楽家の真実と、父と子の儚い物語
文●圷 滋夫
text by SHIGEO AKUTSU
アストル・パンタレオン・ピアソラ。本誌読者であれば、彼の音楽については多くを語る迄もないだろう。タンゴの革命児にして、史上最高のバンドネオン奏者、そして偉大な作曲家でもある。しかしこの映画では、たとえ彼の熱心なファンでも驚くような真実を、様々な視点から見る事が出来る。
本作は没後25周年の昨年、母国アルゼンチンで開催された回顧展に合わせて制作されている。監督はブエノスアイレス生まれで幼い頃からピアソラの音楽に親しみ、ピアノと作曲も学んだダニエル・ローゼンフェルド。初長編作がやはりバンドネオン奏者でECMに諸作を残すディノ・サルーシについてのドキュメンタリーで、それを観たピアソラの息子ダニエル・ピアソラが、本作についての話を監督に持ちかけたのだ。
©Daniel Rosenfeld PHOTO:© Juan Pupeto Mastropasqua
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