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[2019.06]現代フォルクローレ界最高峰の女性歌手リリアナ・エレーロ最新作 『Canción Sobre Canción』はフィト・パエスの音楽への愛の結晶

文●宇戸裕紀
text by HIRONORI UTO

 フィト・パエス ── チャーリー・ガルシア、ルイス・アルベルト・スピネッタ、グスタボ・セラティらと肩を並べるアルゼンチンロック史における最重要人物。その盟友でアルゼンチンフォルクローレ界の重鎮リリアナ・エレーロによる新作はなんとフィト・パエス集。2年のプロセスを経て得られた深い解釈を元に紐解いていった大作には、全てのアルゼンチン人のフィト・パエスの音楽に対する愛が代弁されている。

── 間違いなくフィト・パエスはアルゼンチンそしてラテンアメリカ中で最も有名なアーティストの一人です。知られている分、彼の曲を歌うことは誰にとっても挑戦的なことだと思いますが、ご自身ではどう感じられましたか。

リリアナ・エレーロ もちろん、フィトの曲を歌うというのは大きな挑戦ですが、自分は演奏家であり、他のアーティストの作品と同じようにアプローチしていきました。曲の中に入り込み、オリジナルとは異なる音の地平線に置くようにしています。私のバージョンの方が優れているとかそういうわけではなく、作品の持つ力は強いものなので、こういった介入の道が開かれています。一方で演奏家はオリジナルをそのまま再生するだけに留まることはできず、他の道を模索しなければなりません。フィトの音楽にはそういった可能性が開かれていて、ハーモニーと曲の構造の間で冒険してみたいという強い衝動に駆られます。それこそが演奏家の仕事であり、全ての作品の中に介入してきました。

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── フィト・パエスをアルゼンチン音楽の中でどう位置付けていますか。

リリアナ・エレーロ フィトは1984年にファーストアルバムをリリースしたころからすでにアルゼンチン音楽の中で独自の音を作り上げてきました。アルゼンチンにとどまらず多くの国で重要な存在です。チャーリー・ガルシア、もちろんスピネッタを深く敬愛していますが、チャーリーのバンドにいたことが決定的だったようです。その後ソロとして活動する一方、フアン・カルロス・バグリエットのバンドのメンバーでもありました。『Del 63』をリリースした際にはアルゼンチンでフィーバーを巻き起こし、そのクリエイティブなスタイルと音楽へ捧げる姿勢は常に進化しています。チャーリーとスピネッタ同様に伝統を敬愛しつつ、新しい音を創り続けています。

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