【e-magazine LATINA】の編集長が今週聴いてほしい世界の新譜からの5曲[9/21更新]
[無料記事][2020.09.21]
文●花田勝暁
こんにちは〜! 連休真ん中ですが更新します! 新企画3回目!!!
連休後半のちょっとしたBGMにしていただけたら嬉しいです!
【e-magazine LATINA】 は、すでに情報量が多いと思うので、何を聴いていいかわからないという人のために、
編集長の花田が特に聴いて欲しいと思った曲を新譜を中心に毎週数曲紹介しています。
では、早速1曲目をば、お聴きください!
1曲目。Aziza Brahim 「Hada Jil」
アルバム『Sahari』収録
1曲目は、モロッコ、アルジェリア、モーリタニアに接している国「西サハラ」出身の女性歌手、アシサ・ブライム(Aziza Brahim )の最新アルバム『サハリ(Sahari)』に収録されているこの曲。このアルバムは、2019年末のリリースなんですが、先日発表されたワールド・ミュージック・チャートの年間ベスト的なやつ(※)で、2019年11月から2020年8月までのベスト1に選ばれました! 今のワールドミュージックを代表する音を聴いてみてください。
※先日発表されたTransglobal World Music Chartの「ベスト・オブ・ザ・シーズン」。「ベスト・オブ・ザ・イヤー(毎年1月発表)」から「ベスト・オブ・ザ・シーズン(毎年9月発表)」への以降中で、今回は2019年11月から2020年8月までの月刊チャートを考慮して選考された。「ベスト・オブ・ザ・シーズン」といっても年4回発表するようになるというわけではない。
アシサ・ブライムは、領土問題がいまだ解決しない「アフリカ最後の植民地」西サハラで生まれ、現在はスペインで活動をしている女性シンガー・ソングライター。本作では、西サハラの伝統的なパーカッションであるタバル・ドラムとエレクトロニックなパーカッションとの融合、過去と現在、アフリカとヨーロッパといった相反する要素を内包させる試みを行っている。近年、「砂漠のブルース」とは異なる系譜のサハラ砂漠周辺のポピュラーミュージックが紹介され始めていて、興味深いです。
↓国内盤あります!
2曲目。Tincho Acosta 「Para Brisa」
アルバム『Silencio』収録
先日、今月号の特集「人生を変えた3枚、1作、1冊」に寄稿してくれたアルゼンチン、ラ・プラタ在住のシンガーソングライターのティンチョ・アコスタ(Tincho Acosta)。
彼の美曲「Para Brisa(そよ風のために)」を2曲目目に選びました。クリップとCDに収録されている音源は違う音源ですが、クリップには、今年の2月にクリバスのメンバーとして来日したフェデリコ・アギーレ(Federico Aguirre、アコーディオン/Vo)の姿もあります! ラ・プラタの精鋭たちと才能を磨きあっているんですね。本曲は、ロドリゴ・カラソとの共作曲です。
↓国内盤あります!
3曲目。Adriana Calcanhotto「Meu Bonde(Ao Vivo)」
編集長は、先日、ブラジルのシンガーソングライター、アドリアーナ・カルカニョットの最新ロングインタビューを訳すときのBGMに1日中アドリアーナばっかり聴いていました↓
数日前、そのアドリアーナの最新シングルが配信されました! 近々リリースされるであろう、2019年に発表されたアルバム『Margem』のライヴ盤からの先行シングルです。
この曲のことを、アドリアーナは「BPM150のファンキ(※)」と呼んでいます。普通のファンキのBPMは130ということで、この曲は高速ファンキ。いっとき、彼女のことを「女性版カエターノ」と例えていましたが、この曲は、まさにそのイメージに近いエッヂーなパフォーマンスとなっています。バンドのメンバーも一新して若返っていますね。
※ファンキ:ファンキ・カリオカ、バイリ・ファンキとも呼ばれる。1980年代にマイアミ・ベースの影響をうけて生まれたのファヴェーラ発祥の音楽ジャンル。
4曲目。Coreyah 「Yellow Flower (feat.Samuel Seo)」
アルバム『Clap & Applause』収録
↓ライヴセッション動画
↓ビデオクリップ
4曲目は、韓国の新世代ワールドミュージック・バンドの「コレア(Coreyah)」。「韓国の伝統音楽と現代のポピュラー音楽の垣根を破る新しい音楽」を掲げ活動する6人組バンドで、3人が韓国の伝統音楽を演奏、1人はヴォーカルで、1人はギター、1人は世界中のパーカッションという楽器編成。
この曲でFeat. されている男性Voのサミュエル・セオ(Samuel Seo)は、2015年にデビューし、一躍音楽シーンで才能を認められた韓国人シンガーソングライター/プロデューサーで、日本のミュージシャンとの関わりも多くTENDREとコラボしたり、SKY-HIをプロデュースしたりもしている。
↓Coreyah は、こちらの記事で調べている時に気になったバンドでした。
5曲目。 Ludovico Einaudi, Ballaké Sissoko: Mali Sajio (Remastered 2020)
今週の最後、5曲目は、トリノ生まれのイタリア人作曲家/ピアニストのルドヴィコ・エイナウディ(Ludovico Einaudi)が先日発表した自選集『Undiscovered』からマリ共和国のコラ奏者、バラケ・シソコ(Ballaké Sissoko)と共演した、ひたすら美しい曲「Mali Sajio」を。
オリジナル録音は、2003年の2人の共演アルバム『Diario Mali』に収録されています。
ルドヴィコ・エイナウディは、ポスト・クラシカル界の巨匠で、是枝裕和監督からラヴコールを受けて『三度目の殺人』(2017年)の音楽も手がけています。
今週は、アフリカ(西サハラ)、アルゼンチン、ブラジル、韓国、ポスト・クラシカル系(イタリア)のワールドミュージックを紹介しました。では、また来週も聴いていただけたら嬉しいです。また来週〜!
(ラティーナ2020年9月)
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新しくなった世界の音楽情報誌「e-magazine LATINA」に興味を持っていただいたら、まず、こちらの記事をご覧ください。またお会いできるのを楽しみにしています!
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↑先週の「聴いて欲しい5曲」。
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