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[2020.08]【無料記事 聴きながら読めるよ!】最新ワールドミュージック・チャート一言紹介【Transglobal World Music Chart】2020年8月|10位→1位


20位から11位についての記事はこちら。

 ラティーナの編集長がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。
 10位から1位までの紹介です!

※この記事は、登録なしで全て読める無料記事です。

レーベル名の後の()は、先月の順位です。

「Transglobal World Music Chart」は、世界各地のワールドミュージック専門家の投票で決まっているワールドミュージックのチャートです。主な拠点がヨーロッパなので、ヨーロッパに入り込んだワールドミュージックが上位にランクインする傾向があります。

10位 Matthieu Saglio · El Camino de los Vientos

ACT Music (6)

 ドイツに本拠を置くヨーロッパを代表する重要ジャズレーベル「ACT」からのリリース。フランス生まれで、2002年よりバルセロナに拠点に活動するチェリストのマチュー・サグリオ(Matthieu Saglio)のソロ作は、コロナ禍の中、製作が進めたれたアルバムだ。マチューが録音したチェロの音源を、世界中の名手たちのところへ最低限の指示だけを添えて送り、様々な音楽家が演奏を重ねた。アルバム・タイトルの「風の道」が象徴するように、世界各地の風のそよぐ風景が立ち上がる。まるで、マチューがチェロ1つ持って旅をし、世界の音楽家と共演して録音したかのようだ。ゲスト一覧は下記に。
El Camino de los vientos With :
Nguyên Lê (guitar)
Nils Petter Molvaer (trumpet)
Carles Benavent (bass)
Vincent Peirani (accordion)
Steve Shehan (percussions, piano, bass)
Bijan Chemirani (percussions)
Léo Ullmann (violin)
Camille Saglio (voice)
Ricardo Esteve ( flamenco guitar)
Isabel Julve (voice)
Abdoulaye N'Diaye (voice)
Teo, Marco, Gael Saglio Pérez (vocals) 

 ↓musica-terraさんが、本作に関する詳細なレビュー記事を書かれています!


9位 Mulatu Astatke & Black Jesus Experience · To Know Without Knowing

レーベル:Agogo (-)

 アメリカに渡りバークレー音楽院でジャズをはじめとした様々な音楽の技法をマスターすることで、自らのルーツであるエチオピアを軸にした独自のスタイル “エチオ・ジャズ”を生み出した→生きる伝説、ムラトゥ・アスタトゥケ(MULATU ASTATKE、主な楽器はビブラフォンとコンガ)の7年ぶりの新作。
 本作では、「家族のようなお気に入りのバックバンド」ムラトゥが言っている、グローバルなファンクバンド「Black Jesus Experience」を迎えた。同バンドは、様々なバックグラウンドを持つ12人のメンバーにより、オーストリアで結成されたグループ。バンドの演奏はパワフルかつジャージー。官能とグルーヴに溢れる魔術的な新たなムラトゥ・アスタトゥケの世界が完成した。

↓国内盤あります。


8位 TootArd · Migrant Birds

レーベル:Glitterbeat (10)

 シリアとイスラエルの国境に位置するゴラン高原から登場し、アルバム毎に作品を大きく変化させる天才バンド、トゥートアルド(TOOTARD)。ゴラン高原は、国際社会の批判を受けながらも第四次中東戦争以降イスラエルが不法占拠し続けている地域。イスラエル法治下に置かれた同地の村落に住むシリア系ムスリムたちは国籍を持たず、パスポートを持つ事さえ許されていないという。
 1stアルバムではマウンテン・ロック・レゲエを奏で、2ndアラバムではアラビック・デザート・ブルース奏でたトゥートアルドは、3作目では80年代風アラビック・ディスコ・サウンドを披露する。エキゾチックな旋律と懐かしのディスコ・サウンドが絡み合い、聴く人の心を80年代中東の架空のダンスフロアへと誘う。

↓国内盤あります。


7位 Oumou Sangaré · Acoustic

レーベル:Nø Førmat! (-)

 女性歌手の宝庫といわれるマリのワスル地方出身のシンガー、ウム・サンガレ(1969年生まれ)。フランスの「 NO FORMAT」からリリースされた新作のタイトルは『ACOUSTIC』。演奏は、ギター、ンゴニ、鍵盤という極めてシンプルなアンサンブルの上で、サンガレがリード・ヴォーカルをとる。二人の女性バックヴォーカルの存在感も大きい。現代の一般的な録音と異なり、アンプなし、再録音なし、ヘッドフォンなしというスタイルで録音したことで、楽器の演奏者の人柄まで伝わってくるような温かなサウンドとなっている。


6位 Ghalia Benali & Romina Lischka · Call to Prayer

レーベル:Fuga Libera (8)

 チュニジア出身の女性シンガーソングライターのガリア・ベナリ(Ghalia Benali)と、スイスで学んだヴィオラ・ダ・ガンバの奏者のロミーナ・リシュカ(Romina Lischka)の共演作。ロミーナは、北インド古典歌唱も学んでいて、アルバムではガリアが中心ながら、2人とも歌声を披露している。
 楽曲はガリアのペンによるものだが、2人だけの演奏だからこそ、近代ヨーロッパ〜アラビア音楽〜インド音楽の音楽の要素が無限に広がり、音の粒子に引き込まれて時空を越えてしまうような気持ちになる。

(※ヴィオラ・ダ・ガンバ(イタリア語:viola da gamba)は、16世紀から18世紀にヨーロッパで用いられた擦弦楽器。「ヴィオラ・ダ・ガンバ」とは「脚のヴィオラ」の意味で、楽器を脚で支えることに由来する。18世紀後半にいったん完全に廃れてしまったが、19世紀末以来の古楽復興運動により復活を遂げた)


5位 Trio Tekke · Strovilos

レーベル:Riverboat / World Music Network (4)

 ジュラ奏者、アントニス・アントニウを中心に2005年末にロンドンで誕生したグループ、トリオ・テッケ(Trio Tekke)。地中海東部にあるキプロス共和国出身のメンバーにより結成され、通称〈ギリシャのブルース〉と呼ばれ、現在のギリシャ大衆音楽のルーツとも言われている〈レンベーティカ〉を独自のアレンジで刷新する。過去15年間の音楽の旅の中で、世界中を旅し、インスピレーションを受け続け、かつてないほどにカラフルなサウンドの新作が完成した。

↓国内盤あります。


4位 Mahsa Vahdat · Enlighten the Night

レーベル:Kirkelig Kulturverksted (-)

 2019年発表の前作は、クロノス・クァルテットとのアルバム『Placeless』。ペルシャ(イラン)出身、イランでよく知られたアーティストで、クラシックおよびワールドミュージックの範疇で活動する女性ヴォーカリストのマーシャ・ヴァダット(Mahsa Vahdat、1973年テヘラン生まれ)の新作『Enlighten the Night(夜を照らす)』。彼女が長年にわたって開発してきたペルシャ/イランの古い伝統的民俗音楽の唱法で、現代ペルシャの詩に合わせて作曲されたクラシカルなメロディーを、世界が暗闇に包まれている時代に、人類の希望を込め歌う。


3位 Damir Imamović · Singer of Tales

レーベル:Wrasse (1)

 ダミール・イマモヴィッチ(Damir Imamović、1978年サラエボ生まれ)は、「セヴダ」または「セヴダリンカ」と呼ばれるサラエヴォの大衆音楽の「王様」と呼ばれ、現在のバルカン音楽最高の歌声を持つヴォーカリスト。10年ぶりのソロ名義でのスタジオ録音作となる本作は、プロデューサーに〈英国フォーク・ロックを築いた男〉ジョー・ボイドをプロデューサーに迎えて、最高の布陣で制作された。ダミールの表現力豊かな歌声で紡がれるセヴダは、民衆の痛みと喜びを代弁をする。

↓国内盤あります。


2位 Danyèl Waro · Tinn Tout

レーベル:Buda Musique (5)

 1955年にインド洋レユニオン島で生まれたダニエル・ワロ(Danyèl Waro)は、レユニオン島の伝統音楽マロヤの台頭に貢献し続けてきてた非常に影響力のある音楽家、詩人。フランスでの人気も高い。 パーカッションのみの伴奏に、大編成のコーラスとダニエル・ワロとのコール・アンド・レスポンスが聴きどころ。御年65歳のワロの力強いヴォーカルが、心に迫ってくる。


1位 Bab L’ Bluz · Nayda!

レーベル:Real World (2)

 マグレブ(リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコなど北西アフリカ諸国の総称)の中心が脈打っているかのような重厚なグルーヴを奏でるパワーカルテット、バブ・ルブルーズ(Bab L' Bluz)。グナワ音楽(スーフィズムとイスラム以前のアフリカの伝統音楽を混ぜた音楽)をオマージュするために2018年にモロッコのマラケシュで結成されたバブ・ルブルーズの音楽は、古代と現代、ファンキーでリズミカルなアラビア語の歌詞、ソウルフルで舞い上がるようなボーカル、重厚なグルーヴが特徴。彼らの全く新しいサイケデリック・グナワ・ブルースロックは、ワールドミュージックの新たな扉を開いている。

(ラティーナ2020年8月)


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