[2015.12]カエターノ・ヴェローゾ/ジルベルト・ジル デビュー50周年を記念した歴史的共演コンサート
文●中原 仁 / 写真●本田大典
texto por JIN NAKAHARA / fotos por DAISUKE HONDA
大喝采に迎えられてステージに登場した2人は、拍手が静まるのを待つのももどかしげに、ギターを弾いて歌い始めた。
〝ロンドンにいた頃、僕は時々、ここからとても遠い自分を感じていた……〟
ジルベルト・ジルがロンドン亡命からの帰国直後に発表した「バック・イン・バイーア」。この曲でカエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルのコンサートがスタートした。
同郷で同い年(1942年生まれ)の2人がメジャー・レーベルからのデビュー50周年を記念して行なった〝声とギター〟 のデュオ・コンサート『2人の友人、音楽の1世紀』。2人のキャリアを合計すると100年、1世紀になる。
6月25日のアムステルダムを皮切りに、8月初頭までヨーロッパ10カ国以上をめぐり、国内ツアーは8月20日のサンパウロからスタート。途中にアルゼンチンとウルグアイ公演もはさみ、10月16日、2人の第二のホームタウンであるリオに到着した。
会場は、3000人以上を収容するバーハ・ダ・チジュッカの大ホール、メトロポリタン(シティバンク・ホール)。チケット代は高い席が440レアル(約14000円)。昨今のレアル安をふまえるとブラジル人にとっては極めて高額ながら2日間のチケットが早々と完売し、さらに2日間の追加公演が発表された。
ここから先は
2,562字
/
1画像
このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。
世界の音楽情報誌「ラティーナ」
¥900 / 月
「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…