[2017.04]「ラ・クンパルシータ」 100周年に寄せて -Ⅱ- 名曲を作った男 ヘラルド・マトス・ロドリゲスの悲喜こもごも
文●西村秀人
1917年「ラ・クンパルシータ」を作った学生ヘラルド・エルナン・マトス・ロドリゲスは、楽譜出版社に安く買いたたかれ、そこで得たわずかなお金も競馬で失い、レコードの印税を受け取ることもなく、失意にくれていた。一説によれば、ヘラルドは自らの運をもう一度試そうとコロラド党の勝利を祝ったマーチ「1月14日」、競馬馬に捧げたタンゴ「ラスパイル」、サッカーチームに捧げたタンゴ「ナシオナル・フォーエヴァー」の3曲を1917年に作曲したが、出版にも至らなかったという(なお1927年になってから「ラスパイル」は「黄金の馬」としてフランシスコ・カナロが、「ナシオナル…」は「青いミロンガ」としてカジェタノ・プグリッシが録音している)。
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