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[2018.05]連載 太平洋の向こう岸からの手紙 #11 『ヨーロッパへの旅』

文●フアン・フェルミン・フェラリス

 ヨーロッパで歌うという可能性が与えられた時、私が思い描いたのはかつてのホルヘ・ドレクスレルのように運を試すということでした。それでマドリードを歩いてLibertad 8のような伝説的なバルを探したのでした。そこはホルヘやペドロ・ゲーラといったシンガーソングライターが現れた場所です。

 そんな訳でマドリードでの初めてのコンサートを行ったのは9年前にリサンドロ・アリスティムーニョが演奏していたことで知られるSala Búho Realでした。この旅はパリに拠点を置くピアニスト、作曲家パブロ・ムルヒエルの助言によるものでした。彼から学んだことは、活動家であれ、ひとつから多くを学べ、いくつかのステップを超え続け運を試せ、ということ。基本的に、私の旅はそのためでした。アーティストとその周辺の人たちに出会い、クリバスの作品を広め、特に、可能な限り歌う場を得るということでした。

 あまり考えずに、知り合った人たち、何かを与えられた人たちについて書きます。偉大なギタリストでタンゴ作曲家のトマス・グビッチとパリでコーヒーを飲みました。たとえ彼のキャリアが広範囲に渡ろうと、まず思い出すのは彼がスピネッタの若い頃のギタリストであったことです。インビシブレの『El jardín de los presentes』を録音した頃の。また彼はアストル・ピアソラの八重奏団のヨーロッパツアーのメンバーでもありました。実際にはそのツアーから彼はそこに留まり続けています。一方でそれは76年のアルゼンチンの軍事政権の政治的迫害によるものでした。インビシブレのアルバムで彼の音をたくさん聴いていたことが記憶にありますが、しかし彼が亡命したフランスで彼が作り上げたものに興味があります。彼が見知らぬ地でキャリアの築き上げたことを理解しなくてはなりません。我々が共有したカフェと彼が過去に録音したスタジオまでの数ブロックの道がとても重要でした。それは私の旅にとって、とりわけ音楽家として仕事を見つけるという意味で。彼はポストタンゴの代表としてパリで生きています。

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