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最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2020年11月|20位→1位まで【無料記事 聴きながら読めるよ!】

 e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。

 ワールドミュージックをグローバルミュージックって呼ぶことにするって動きがありますね! それについては、またゆっくり考えたいと思います。

 先月はご紹介できませんでしたが、今月は頑張ります! 20位から1位まで一気に紹介します。

※この記事は、登録なしで全て読める無料記事です。

※レーベル名の後の()は、先月の順位です。

 「Transglobal World Music Chart」は、世界各地のワールドミュージック専門家の投票で決まっているワールドミュージックのチャートです。主な拠点がヨーロッパなので、ヨーロッパに入り込んだワールドミュージックが上位にランクインする傾向があります。


20位 Ceferina Banquez · ¡No me dejen sola! En vivo desde CDS, Concepción, Chile

レーベル:OM Producciones (-)

 コロンビアのカリブ海沿岸にあるボリーバル県のカルメン・デ・ボリーバルで、「カンタオラス」と呼ばれる伝統的な歌い手の家系に生まれたセフェリナ・バンケス。コロンビアの武力紛争が彼女の村にまで及んだため生まれた土地強制的に追放されていたが、18年間の避難生活を経て、生まれた村に戻り精力的に活動している。コロンビアのカリブ海沿いに伝わる伝統文化であるブジェレンゲを歌い続けてきた。
 現在、77歳(82歳説もあり!)にして多才なシンガーソングライターであり、2009年にはブジェレンゲの女王の称号を得て、2013年にはコロンビア文化省より「アフロ・コロンビア・コミュニティの先祖文化の充実に貢献するための国家賞」を受賞した。このアルバムは、チリのコンセプシオンでのライヴを録音したもの。年齢を感じさせない艶やかな伸びのある声は圧倒される。
 コロンビアの農民たちの窮状を世界に伝えるべく、彼女は歌い続けている。


19位 Nakany Kante · De Conakry a Barcelone

 レーベル:Kasba Music (-)

 ギニアのマリンケ族でコナクリ出身28歳のシンガーソングライター、ナカニー・カンテの4枚目のアルバム。8歳から作曲をしていたが、その才能が前面に出てきたのは2009年にスペイン・バルセロナに移住してから。
 ギニアの伝統的な音楽とポップ・マリンケを融合させた躍動感あふれるオリジナル作品で、2016年に発表されたソロアルバムも好評を得た。テーマが幅広く、伝統や宗教的、道徳的な問題、ジェンダーの不平等や育児放棄などの問題から、希望へのポジティブなメッセージまでを表現している。
今回のアルバムでは、コナクリとバルセロナそれぞれで録音し、それをミックスしている。タイトル通り、彼女自身のコナクリからバルセロナへの音楽活動を記録した作品といえる。
 チャーミングな姿の裏に芯の強さが感じられる歌声だ。

↓国内盤発売予定あり〼。(2020年12月6日発売)


18位 Las Áñez · Reflexión

 レーベル:Las Áñez (27)

 ラス・アニェス(Las Áñez)は、コロンビアのボゴタ出身の双子によるヴォーカル・デュオ。伝統的なフォルクローレと、電子楽器を、半ばアバンギャルドな自分たちの独自のやり方でミックスし、ラテンアメリカとヨーロッパで支持されてきた。ミニマルなパーカッションや、効果的に取り入れられる様々な小型な楽器、ループの使用が彼女たちの音楽の特徴。彼女たちの3rdアルバムとなる本作では、Kevin Johansenや、El Tuyero Ilustradoをゲストに迎た。楽曲は、より内省的に。アコースティックな音と電子音のバランスの良いサウンドで、聴くものを様々な文化や様々な土地へ運んでくれる。


17位 Mateus Aleluia · Olorum

 レーベル:Sesc (12)

 1943年9月生まれ。現在77歳になったブラジル、バイーア出身のSSW マテウス・アレルイア(Mateus Aleluia)が、Selo SESCからデジタルリリースした3作目のソロアルバム(今のところCD/LPはリリースされていないよう)。
 マテウス・アレルイアは、1970年代に活躍したバイーア出身のヴォーカル・トリオ「オス・チンコアンス(Os Tincoãs)」のメンバーだった。グループが活動を停止してから、マテウスは1983年から2003年までアンゴラに移住。ブラジルに戻り2009年と2017年にアルバムを発表している。
バイーアの海と大地を感じさせるビターな歌声で、慈愛に溢れる音楽を創出するのが彼の音楽の特徴だ。本作『Olorum』のプロデューサーはRonaldo Evangelistaで、SELO SESCならではの丁寧な作品な作りで、ゲストにも若い世代(Lenna Bahule、Thiago Françaら)とベテラン(João Donato)をバランス良く迎えている。
 アルバム・タイトルの「オロルン(Olorum)」とは、ヨルバの神話で、人類と神々を支配する存在の神のことである。

↑1時間20分ある、本格的ドキュメンタリー番組(ポルトガル語)。

↑自宅でのリリースライヴ!(ブラジル音楽ファンにとって驚くべきアーカイヴ!)


16位 Oumou Sangaré · Acoustic

 レーベル:Nø Førmat! (6)

 女性歌手の宝庫といわれるマリのワスル地方出身のシンガー、ウム・サンガレ(1969年生まれ)。フランスの「 NO FORMAT」からリリースされた新作のタイトルは『ACOUSTIC』。演奏は、ギター、ンゴニ、鍵盤という極めてシンプルなアンサンブルの上で、サンガレがリード・ヴォーカルをとる。二人の女性バックヴォーカルの存在感も大きい。現代の一般的な録音と異なり、アンプなし、再録音なし、ヘッドフォンなしというスタイルで録音したことで、楽器の演奏者の人柄まで伝わってくるような温かなサウンドとなっている。

↓こちらで購入できる。


15位 Kajsa Balto · Buot Eallá

 レーベル:DAT ( - )

 カイサ・バルト(Kajsa Balto)は、北欧ノルウェーの首都オスロで育ったサーミ人の女性歌手。サーミの伝統的な歌の形であるヨイク(Yoik)へアプローチして自身の音楽を形成してきた。
 自身のアイデンディディーを見つめる中で培った音楽感で、2017年にファーストアルバム『Sami soka(サーミの遺産)』をリリース。ノルウェーの古い民謡「Oppa fjellet」を、ヨイクにインスパイアされたverで歌い上げ、一躍有名になった。
 2020年にリリースされたセカンドアルバム『Buot alla(全ては生きている)』は、彼女の家族から集めたヨイクの歌と、サーミ人の伝統をベースにした新曲んでいます。が収録されている。「Buot alla」は、「すべての自然物には魂が宿っている」という古代サーミの信仰のことである。
 彼女のバンドは、ポップス、ワールドミュージック、フォークミュージックのパワフルなクロスオーバーに、土着のパワーと現代性を融合させる。カイサの強力なボーカルとパフォーマンスの魅力は、幅広いリスナーの心を掴んでいる。


14位 Harold López-Nussa · Te Lo Dije

レーベル:Mack Avenue (9)

 これまでに何度も日本公演も行っている。キューバン・モダン・ジャズ・ピアノの名匠エルナン・ロペス・ヌッサを叔父に持ち、今最も注目されるキューバ出身の若きピアニスト、アロルド・ロペス・ヌッサの通算9作目のアルバム。
 アロルド・ロペス・ヌッサは、8歳でハバナの音楽院に入学。数々のシンフォニー・オーケストラとの共演を経て、2005年、スイスで行なわれたモントルー・ジャズ・ソロ・ピアノ・コンペティションに入賞。チューチョ・ヴァルデス、クリスチャン・スコットなど数多くの鬼才との交流も重ねてきた。
 「私はあなたに言った」というタイトルも持つ本作は、変幻自在、スペクタクルなピアノ演奏で聴く者を虜にしてきたアロルドの、これまでのアルバム毎の様々な挑戦が、ハイブリッドに融合して、自由に弾けたような内容だ。


↓国内盤発売予定あり〼。(2020年11月下旬)


13位 Mulatu Astatke & Black Jesus Experience · To Know Without Knowing

レーベル:Agogo (9)

 アメリカに渡りバークレー音楽院でジャズをはじめとした様々な音楽の技法をマスターすることで、自らのルーツであるエチオピアを軸にした独自のスタイル “エチオ・ジャズ”を生み出した→生きる伝説、ムラトゥ・アスタトゥケ(MULATU ASTATKE、主な楽器はビブラフォンとコンガ)の7年ぶりの新作。
 本作では、「家族のようなお気に入りのバックバンド」ムラトゥが言っている、グローバルなファンクバンド「Black Jesus Experience」を迎えた。同バンドは、様々なバックグラウンドを持つ12人のメンバーにより、オーストリアで結成されたグループ。バンドの演奏はパワフルかつジャージー。官能とグルーヴに溢れる魔術的な新たなムラトゥ・アスタトゥケの世界が完成した。

↓国内盤あり。


12位 Selma Uamusse · Liwoningo

Ao Sul do Mundo (8)

 セルマ・ウアムセはモザンビーク出身の女性シンガー。1988年からポルトガルに住んでいる。
 18歳の頃からプロとして歌い、ゴスペルからロック、ソウル、アフロビート、ジャズに至るまでキャリアの中で様々な音楽を歌ってきた。
 ソロ・プロジェクトをスタートするにあたり、彼女は自身のモザンビークのルーツを探求し、あまり知られていないリズムを取り上げ、モザンビークのネイティブの言語での歌詞を書いた。ティンビラやムビラなどの伝統的な楽器を使い、また、サイケデリックな電子楽器のサウンドもミックスした。Jori Collignonのプロデュースで、デビューアルバム『Mati』は完成した。彼女のモザンビークへの旅と、彼女の内面への旅が、同時に行われているようなアルバムだった。聴くものを陶酔させる音の中に、伝統的なものと革新的なものが同居し、分類できない音楽を生み出した。
 2ndアルバムとなる本作『Liwoningo』は、グラミー・ラティーノ賞を受賞した経験のあるブラジル人音楽家/プロデューサーのGuiherme Kastrupがプロデュース。Tr.03では、ブラジル、サンパウロのアフロビートバンドのBixiga 70との共演もある。


11位 Bab L’ Bluz · Nayda! 

Real World (7)

(強い! 1位にもなったし、半年ほどずっと上位にランクインしています。) 

 マグレブ(リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコなど北西アフリカ諸国の総称)の中心が脈打っているかのような重厚なグルーヴを奏でるパワーカルテット、バブ・ルブルーズ(Bab L' Bluz)。グナワ音楽(スーフィズムとイスラム以前のアフリカの伝統音楽を混ぜた音楽)をオマージュするために2018年にモロッコのマラケシュで結成されたバブ・ルブルーズの音楽は、古代と現代、ファンキーでリズミカルなアラビア語の歌詞、ソウルフルで舞い上がるようなボーカル、重厚なグルーヴが特徴。彼らの全く新しいサイケデリック・グナワ・ブルースロックは、ワールドミュージックの新たな扉を開いている。


10位 Sandeep Das & The HUM Ensemble · Delhi to Damascus

In a Circle Records (-)

※試聴可能な音源は見つけられませんでした。
 サンディープ・ダスは、インド人タブラ奏者/作曲家で、現在はボストンを拠点に活動している。ヨーヨー・マーの率いるシルクロード・アンサンブルのメンバーとしても知られている。
「サンディープは楽器奏者の域を超越しています。彼がタブラを演奏するとき、彼は神話の創造者であり、コミュニケーションの達人であり、オーケストラであり、そのすべてが一体となっています。
彼は、私が世界中で何十年にもわたってコラボレーションしてきた中で、最も偉大なアーティストの一人です。また、私が出会った最高の教師の一人でもあります。彼がコラボレーションできない人はいないのでと思っています。」──ヨーヨー・マー


9位 47Soul · Semitics

Cooking Vinyl (13)

 ヨルダンで結成され、現在はパレスチナ、ロンドン、アメリカに散らばって住むメンバーで構成された47 SOULは、ヒップホップとエレクトロニカをアラブの影響を受けたメロディやスタイルに融合させた、シャムステップ(Shamstep)と呼ばれるユニークなスタイルを開拓してきた。
 彼らのシャムステップの中には、シャアビ(Shaabi:モ口ッコ、アルジェリアなど北アフリカの地中海沿岸一帯(マグレブと呼ばれる)で、民衆の歌、現代歌謡を指して幅広く使われる言葉)や伝統的なダブケ・ダンス、レバントのポップミュージックなどが含まれている。
 Tareq、Ramzy Suleiman、Alaa Baitで結成された47 SOULは、2年前にデビューアルバム『Balfron Promise』をリリース、中東と世界的に広がるアラブ人のディアスポラの間で大きく支持された。アルバム・リリースして以降、世界各地でツアーを行ってきた。
 2019年には、国際的に160回以上のライヴを行っていながら、NPRの「Tiny Desk Concert」、KEXPのセッション、Youtubeの「Dubai Space」に出演。
 セカンドアルバム『Semitics』は、アラビア語と英語の両方で歌われる、思慮深い歌詞を持つ、パワフルな新曲が収録されている。アルバムはロンドンでレコーディングされ、ドイツ-チリがルーツのMC Fedzilla、イギリス-イラクがルーツのラッパーLowkey、イギリス-パレスチナがルーツのラッパー&シンガーShadia Mansourなど、ロンドンを拠点に活動する世界中のアーティストが参加している。その他、ヒップホップ界のベテランでは、ヨルダンを拠点に活動するThe Synaptikは "ニュースクール "を代表するアーティスト、影響力のあるグループDAMの創設者の一人であるTamer Nafarが参加している。

↓こちらでCD入手可能です。


8位 Xabier Díaz & Adufeiras de Salitre · As Catedrais Silenciadas 

Músicas de Salitre (-)

 ガリシアを代表するグループ「ベログエト(BERROGUETTO)」のメンバーだったシャビエル・ディアスの5作目のソロ・アルバム。また、彼のグループ「アドゥフェイラス・デ・サリトレ」は、サンフォーナ奏者やダイアトニック・アコーディオン奏者、11名もの女性コーラスで構成される。
 ガリシアン・トラッドの素朴さとシャビエルの音楽的洗練が生む、優しさに溢れた唯一無二の音楽は、本作でも健在。落ち着いた中にも祝祭感もある。リズムの基本は、パンデイレタ(ガリシア独特のフレームドラム)のサウンドで、Vo陣は、パーカッションを叩きながら歌うのが、彼らのスタイルだ。


7位 Mahsa Vahdat · Enlighten the Night

Kirkelig Kulturverksted (3)

↑数日前に、録音風景がわかる最初のPV的なものがアップされていました。

(こちらのアルバムも半年ほどずっと上位にランクインしています)

 2019年発表の前作は、クロノス・クァルテットとのアルバム『Placeless』。ペルシャ(イラン)出身、イランでよく知られたアーティストで、クラシックおよびワールドミュージックの範疇で活動する女性ヴォーカリストのマーシャ・ヴァダット(Mahsa Vahdat、1973年テヘラン生まれ)の新作『Enlighten the Night(夜を照らす)』。彼女が長年にわたって開発してきたペルシャ/イランの古い伝統的民俗音楽の唱法で、現代ペルシャの詩に合わせて作曲されたクラシカルなメロディーを、世界が暗闇に包まれている時代に、人類の希望を込め、歌う。

Musicians: Tord Gustavsen (piano and electronics), Gjermund Silset (double bass), Kenneth Ekornes (drums).
Arrangement: Atabak Elyasi
Produced by Erik Hillestad and Atabak Elyasi. Sound Engineer: Martin Abrahamsen.



6位 A.G.A. Trio · Meeting

Naxos World (-)

 A.G.A.とは、アルメニア(Armenien)、グルジア(Georgien)、アナトリアの略(Anatolien.)。
 ミケイル・ヤクト(Mikail Yakut、グルジア人/アコーディオン)はベルリン在住、デニズ・マヒール・カルタル(Deniz Mahir Kartal、トルコ人/カヴァル、ギター)はベルリン在住、アルセン・ペトロシアン(Arsen Petrosya、アルメニア人/ドゥドゥーク)はエレバン近郊在住。
 A.G.A. Trioは、国境を越えて故郷の古いメロディーを再解釈し、演奏には地域の平和のための祈りが込められている。


5位 Khusugtun · Jangar

Buda Musique (5)

 楽器を演奏しながらホーミーでポリフォニックなコーラスを聴かせるのは、2009年にモンゴルで結成された男女6名のグループ、フスグトゥン(KHUSUGTUN)。モンゴル語で「フスグ(荷車)で移動する遊牧民」という意味を持つ彼らは、モリン・ホールやドンブラ、口琴といった伝統楽器を巧みに操りながら、複数のメンバーが喉歌ホーミーでコーラスを聴かせる。
 フランスのBUDA MUSIQUE からのリリースとなる本作が世界向けのデビュー作。モンゴル伝統音楽の新潮流を、奇跡のように一気に革新する要注目のグループだ。

↓国内盤あり〼。

4位 The Rheingans Sisters · Receiver

Bendigedig (24)

 2019年のBBCラジオ2・フォーク・アワードで「ベストバンド」にノミネートされたザ・ラインガンズ・シスターズ(The Rheingans Sisters)は、今日のイギリスのフォークシーンで最も将来が期待されるアクトの1つだ。ザ・ラインガンズ・シスターズは、フィドル奏者でシンガー/マルチ奏者の Anna Rheingans と Rowan Rheingans 姉妹によるデュオ。フォークの伝統に支えられながらも、遊び心たっぷりに完全に現代的な音楽を生み出しているラインガンズ・シスターズは、フィドル、声、バンジョー、バンシタール、タンブリン・ア・コードス(別名プサルテリウム、古代の弦楽器)、詩、パーカッションなどを駆使した冒険的でアイデアに溢れた演奏で観客を魅了している。
 ヨーロッパの伝統を深く学んできた2人は、それらの知識を常に新しい音楽を生み出すために再構築している。古い音楽風景が新しい曲を形作る。

↓こちらでCD購入可能です。(2020年11月下旬入荷予定)


3位 Bantu · Everybody Get Agenda

Soledad Productions (11)

 バントゥー(BANTU)は、ナイジェリアのラゴスを拠点に活動する13人組バンド。リーダーは、バンドのボーカルを務めるAde Bantuだが、リーダー牽引型のグループではなく、共同で音楽を作っているバンドだという意識が強いという。演奏するのは、アフロビート、ヒップホップ、アフロファンク、ハイライフ、ヨルバ音楽が融合した都会的でファンキーな音楽。
 最新作『Everybody Get Agenda』は、1999年のデビューアルバム『Fufu』から数えて、7枚目のアルバム。13人のアンサンブルは最高の状態。ゲストにシェウン・クティ(Seun Kuti)も参加しており、バントゥーがより広範に、より国際的に知られている布石となりそうなアルバムだ。


2位 Afel Bocoum · Lindé

World Circuit (1)

↑アフェル・ボクムの暮らしている地域の様子が伝わってくるPVです。

 国際的に活躍したマリの歌手/ギタリストのアリ・ファルカ・トゥーレのグループ「ASCO」に13歳で参加し音楽家としてのキャリアをスタートしたアフェル・ボクムは、1955年、マリのニアフンケ生まれた歌手/ギタリスト。アリ・ファルカ・トゥーレもニアフンケ生まれだった。ソロデビュー作は、1999年の『Alkibar』。
 本作は、エグゼクティブ・プロデューサーであるデーモン・アルバーン、ニック・ゴールドのサポートを得て録音。スタジオアルバムとしては2009年の『Tabital Pulaaku』以来11年ぶりのアルバムで、キャリア4作目となる。収録したのは、マリ南東部ニジェール川北部のニジェール・ベンドで古くから演奏される音楽。寡作なマリ音楽の至宝による、土着的で乾いた土の香りがする砂漠のブルースの傑作が誕生した。

追伸:アフェル・ボクムは、地元で暮らすために、農業関係で公務員をしている(or していた)という。もしかして、今、65歳前後なので、定年して音楽活動に集中できるようになったのかな……。

↓こちらで購入可能です。

↓音楽ブログの「サナコレ」でも詳しく取り上げられていました!


1位 Ammar 808 · Global Control / Invisible Invasion

Glitterbeat (2)

 今、最も勢いに乗っている若い才能、チュニジア人音楽家(シンセ奏者/プロデューサー)のソフィアン・ベン・ユーセフによるソロ・プロジェクト〈アマール808〉。マグレブ圏(チュニジア~アルジェリア~モロッコ)の音楽を、強靭なビートで最強のダンス・ミュージックに変えてきた〈アマール808〉の最新作は、南インド古典音楽〈カルナータカ音楽〉の現代化を目指した意欲作。以前から構想を温めてきたという。南インドの都市チェンナイの音楽家らと共に、当地の伝統音楽をデジタル・ビートを駆使して再構築。ラスボスみたいな存在感を放つ会心作が完成した。強い!
 ソフィアン・ベン・ユーセフは、アマール808の他にもケル・アスーフ(Kel Assouf)、バルグー08(Bargou 08)といったグループで並行して活動し作品を残しており、そのどれもが魅力的。

↓国内盤あり〼。


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(ラティーナ2020年11月)

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 新しくなった世界の音楽情報誌「e-magazine LATINA」に興味を持っていただいたら、まず、こちらの記事をご覧ください。またお会いできるのを楽しみにしています!

↓9月のランキング解説はこちら。

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