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壮大な音楽性が解き放たれた新作『Compass』 新たなフェーズに突入したSaigenji

文●中原 仁 text by JIN NAKAHARA

 全編、〝声とギター〟のソロ・アルバム『ONE VOICE, ONE GUITAR』から6年ぶり、バンド編成としては『Another Window』から8年ぶりとなる新作『Compass』を11月にリリースしたSaigenji (サイゲンジ)。長らく待たされただけのことはあり、CDデビューから15年目にして彼の音楽が新たなフェーズに突入したことを実感できる、入魂の力作だ。

 サイゲンジがまだ学生だった20年余り前からずっと、彼の音楽に触れ続けてきた。カシンがプロデュースしたリオ録音作『Acalanto』(2005年)の制作を手伝い、J-WAVE「サウージ!サウダージ」のカーニヴァル・イヴェントに17年連続で出演してもらうなど(今年も2月11日に開催)、現場を共にする機会は数多いが、インタビューという形で彼と対峙したのは今回が初めて。新作にこめた思い、そして自身の「今」をたっぷりと語ってもらった。

── 『Compass』を聴いた時に、新たな発見がたくさんあってね、ひとつめのポイントは、声。発声の幅が広がって、声の表情もスゴく豊かになった。

サイゲンジ わー、ありがとうございます。この6年の間にいろんなことが変わって、まず大きかったのが、趣味でフラメンコ・ギターを始めたことなんです。それまではジャズとかブラジル音楽とか、今までの自分のアルバムの文脈の中の音楽を家で弾いていたんだけど、フラメンコを弾くようになって、自分の生活の中に音楽の芯が出来た部分があって。と言うのは、フラメンコはスゴくストイックでハードルが高くて、ギタリストは常に、自分のフレーズを弾くのと同時にトラディショナルなフレーズを必ず混ぜないとフラメンコじゃない、というジャンルなんですよ。逆にブラジル音楽はスーパー自由な音楽だから、これをやらなきゃいけないという要素はない。ここが大きな差で、ブラジル音楽をベースにしている限りは創作の自由度を完全に守れる。自分がブラジル音楽をチョイスしたのも多分そこに理由があると思うんだけど、その対極にあるフラメンコを趣味として始めたことによって、フィジカリティの部分がスゴく充実してきたんですよ。体のバランスも良くなって、自信を持って人前でパフォーマンス出来るようになってきたので、多分そういう部分が反映されてるんじゃないかな、声に。

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