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[2024.5]8月の南米ツアー報告~③最終回サンパウロ編 『パンデミアを経た南米のウチナー社会』

文●宮沢和史
写真●Val Ferrer

 2023年8月初頭にサンパウロで行われたブラジルフェスティバルに2日間出演し、その後アルゼンチンのブエノスアイレス、ペルーのリマを周り、コンサート活動や学校での講演活動、記念式典への参加などを経て、再びサンパウロに戻ってきた。というのも、月初めにヴィラ・カロン沖縄県人会サンパウロ支部主催の沖縄フェスティバルに出演した際、3週間後にまたサンパウロに戻ってくる予定なので、その時に沖縄民謡のコンサートを開催させてもらえないか?と県人会に提案していたからである。以前、アルゼンチンの沖縄系日系人の方と話をしている時に「二世以降は沖縄民謡を聴く機会はあるけれど歌詞の意味までは深く理解できていない」と聞き、急遽、民謡のミニコンサートをしたところ大変評判が良かった。ただ民謡を歌うだけではなく、一曲一曲の歌詞の意味やその背景、歴史などを日本語で説明し、それをスペイン語に訳してもらいお客さんに伝えてから歌うと、明らかに伝わり方が違ったのである。その経験から沖縄系移民の多いサンパウロでも喜ばれるのではないか?と思い立ったわけである。南米の沖縄系日系人と話していると、沖縄ポップスは皆大好きだが、民謡は沖縄の言葉だから理解するのが難しいからだろう、自分からは進んでは聴かない傾向にあることを行くたびに実感する。沖縄ポップスだってある意味民謡(フォークソング・フォルクローレ)の範疇にあるわけだし、それを嗜好することは大いに結構なことだけど、過去から現在まで生き続いている歌三線の名曲たちから彼らが離れていってしまうのは見ていてどうにも忍びない。なんとか民謡の魅力を知ってもらいたくて、サンパウロでも民謡コンサートを開催したいと県人会会長さんに提案すると、それは皆が喜ぶだろう、面白いと賛同してくれ、宮沢がアルゼンチンとペルーを周っている間に準備をしておく。という運びとなり、安心してサンパウロを離れ、3週間後にまた戻ってきたという次第である。

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