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[2021.04]【沖縄・奄美の島々を彩る歌と踊り9】 歌がつなぐ奄美と八重山−騒ぎ歌《六調》の系譜−

文:久万田晋(くまだ・すすむ 沖縄県立芸術大学・教授)

 八重山には《六調節》(さまわ)という歌が伝わっている。これは、奄美諸島で盛んに歌い踊られる《六調》が伝わったものといわれている。奄美諸島北部の島々では、タネオロシ(餅貰い)などの祭や八月踊り、また様々な宴席の最後に必ずといっていいほど《六調》が踊られる。歌と三線、太鼓の伴奏に合わせて参加者が自由に乱舞するのである。これは沖縄のカチャーシーとよく似ている。奄美《六調》の三線の弾き方は、ギターのストローク奏法のように三線の全弦をバチのアップダウンによって跳ねるリズムでかき鳴らす。太鼓は、別の人が支える島太鼓を二本のバチで即興的に叩く。歌、三線、太鼓いずれも演奏者によって唱法・奏法が異なっている。歌われる歌詞は、奄美・沖縄に特有な琉歌形式ではなく、次のような大和風(7775調)の歌詞が歌われる。

・ひとつ唄(うた)いましょう 憚(はばか)りながら 唄ぬあやまり 御免(ごめん)なされ

・踊(うどぅ)りするなら はよ出て踊れ 踊り習(なら)わば 今(なま)習お

・立てば芍薬(しゃくやく) 座れば牡丹(ぼたん) 歩(あゆ)む姿は 百合(ゆり)の花

図1

奄美大島・笠利町の六調(1986年) 撮影:久万田晋

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