フアン・フェルミン・フェラリス(Juan Fermín Ferraris)[from Cribas]の音楽的影響を知るためのアンケート
[月刊ラティーナ2016年5月号「新しい世界の作曲家」特集より]
12月11日AM9時〜 Cribas + Diego Schissi Quinteto 初の共演コンサート
▼
▼
Q1.どういう音楽を聴いて育ったんですか。特に好きだった作曲家や演奏家はいますか。
Juan Fermín Ferraris 家族の影響で常に聴いていました。子どもの頃から父のカセットやLPを見つけたり、ウォークマンを手にとっては同じアルバムを繰り返し聴いていました。ルイス・アルベルト・スピネッタとチャーリー・ガルシアは最も多く聴いていましたね。CDを聴くことが習慣になり、今日までその探索は続いています。音楽を聴くようになってから多くの年月が経っていますし、未だに新しい音楽を発見していることもあって、ジャンルや作曲家を分ける作業は難しいのですが、子どもの頃はロックやクンビアといったアーバンミュージックを聴いていて、その後優れた作曲家の作品を知るようになりました。特にアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、チリといったラテンアメリカの作曲家には大きな影響を受けました。インターネットのおかげもあってジャズの影響も受けましたし、世界中の音楽を知るようになりました。自分の声を持って誠実に表現する作曲家には特に惹かれますね。
Q2.(1)どんな楽器が演奏できますか。(2)作曲に使う楽器はなんですか。(3)どんなことが作曲のインスピレーションになりますか。(4)どんな時に作曲しますか。
Juan Fermín Ferraris 最初に始めたのが歌で、子供の頃から歌を歌っています。その後人生の中にピアノが表れ、キーボードと対峙する時間が多くなりました。そのためもあってか、音楽に対する考え方はピアノとヴォーカルを通して最も明瞭に反映されると思います。ギターも習い、アコーディオンとパーカッションも少し弾くことができます。
作曲に際しては自分に最も近いもの、つまりヴォーカルを先に考えます。歌の場合は詩と連動させて組み合わせていき、ギターを伴奏させていきます。ピアノも用いますが、研究に多くの時間を費やす、地図のような存在です。もっと複雑なものや、他の楽器のアレンジを考える際に用いています。新しい音楽を作っていく上でインスピレーションは聴くことから受け、ミックスされたものの中から新しいものをとりだし、自分のアイデンティティを加えていきます。自分にはそれを他の人に還元する必要があります。音楽を手段としてとらえていますし、年を重ねるたびに多くのことを学んできています。作詞においても同じで、自分には伝えたいことがあり、自分が学んだ人への感謝の思いがあります。作曲は家ですることもありますが、数時間椅子に座るようなまとまった時間がない際は街中やバスの中でもやることもあります。
Q3.(1)初めて曲を書いた時のことを覚えていますか。(2)それは何がきっかけでしたか。
Juan Fermín Ferraris 自分でまず作曲したのは歌でした。学校に行っていて、友人と好きな曲を何時間も歌っていて、その後自分の曲を作ってみようと思ったんです。ギターを持って座り、メロディーを口ずさみ、歌詞を書いてみようと思いました。大きな影響を感じたのでその後遊ぶようになりました。
Q4.音楽家としてキャリアを積んていく中で、特に大きな影響を受けた人はいますか。
Juan Fermín Ferraris 全てに影響を受けているのでここ数年の動きを一人やひとつのジャンルにまとめることはできません。身の回りに起こること、考えているものを伝えるコミュニケーションの手段として歌を捉えている作曲家には多くの影響を受けています。ラテンアメリカのフォルクローレ、タンゴ、アルゼンチン・ロックなどのポピュラー音楽ではこの現象が最も如実に現れ、音楽との一体感をリスナーが感じるのでしょうね。
Q5.同時代の作曲家で注目している人はいますか? それは誰ですか?
Juan Fermín Ferraris 歌を含む作曲家は カエターノ・ヴェローゾ、フェルナンド・カブレラ、ビクトル・ハラ、エドゥアルド・マテオといった近隣国で大きなキャリアを残している音楽家を最近聴き直しています。現在でも活躍し、新作を出し続けている新しい作曲家に関してはエドガルド・カルドーソ、ウーゴ・ファトルーソ、マルセロ・モギレフスキーといったユニークで、内容のある音楽を聴いています。インストゥルメンタルではマリオ・ラジーニャ、アンドレ・マルケス、レア・フレイレ、モノ・フォンタナ、フェデリコ・アレセイゴルなどで、ピアノの前に座るときになると彼らの大きな影響を感じます。
Q6.優れた作曲家には何か共通する点があると思いますか? それはどんなところですか?
Juan Fermín Ferraris 上記で名前を挙げた作曲家は音楽家としての声をより広げることができている人達です。音楽的に多大なキャリアを残していますし、自身の手段で言葉を残しています。多くの作品を残してきたことは大変価値があることで、多大な努力が裏にあったと思います。そのメッセージを受け取るたびに感動しますし、それも他の人から感動を受けた結果です。
Q7.(1)作曲家としてのあなたのチャーム・ポイント、他の人と違う点はどんなところにあると思いますか。(2)これから生まれてくる曲を楽しみにしていますか。
Juan Fermín Ferraris 自分にとって重要なのが音楽が常に動きの中にあるととらえているということです。常に聴き方を変えていくことで新しいものを発見するだけではなく、音の記憶を貯えることができています。作曲する時になれば、音楽を聴いてきた年月と今まで用いてきた手法が想起され、まだコンセプトを得ていないものが創造されてきます。
Q8.これまでの人生で、最も数多く聴いたアルバムを5枚挙げてください。
Juan Fermín Ferraris
●Almendra『Almendra』
●Madre Atómica『Madre Atómica』
●Luis Alberto Spinetta『Peluson of Milk』
●Charly García 『Clics Modernos』
●Charly García『Piano Bar』
Q9.今後の予定について教えてください。
Juan Fermín Ferraris インスト曲だけのアルバムを作成予定で、ソロアルバムになります。ピアノをベースに作曲していますが、ピアノ、コントラバス、ドラム、クラリネットのクアルテートで演奏されることを想定してアレンジしています。このアルバムは数ヶ月後に作成予定で、自分の中の優先事項になっています。
(月刊ラティーナ2016年5月号掲載)
ここから先は
世界の音楽情報誌「ラティーナ」
「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…