
[2019.07]ますますおもしろいブラジル音楽新世代 MINAS GERAES
選・文●花田勝暁(編集部)
ミルトン・ナシメント、ロー・ボルジェス、トニーニョ・オルタらを輩出した1960年代末の「クルビ・ダ・エスキーナ」。その再来として現代のミナス・ジェライス州の音楽シーンが注目されている。本誌でも、2014年5月号で、「ミナス新世代」の特集を行なった。
それから3年ほどたち、再び「ミナス新世代」が多方面から大きな注目を浴びているが、同特集号が売り切れで紹介できないことにもどかしさを感じていたことも、本号で新世代ブラジル音楽のシーンをまとめて紹介したいと思ったきっかけであった。
選盤にあたり、前回取り上げたものは取り上げないという考えもできたが、そういう経緯があるので、アレシャンドリ・アンドレス、ハファエル・マルチニ、クリストフ・シルヴァのアルバムについては、特に重要な作品として、再度取り上げることにした。
この3年にも素晴らしい作品が数多く届けられたが、ミナスで活躍する女性歌手/女性シンガーソングライターの共同体「コレチーヴォ・アナ」に参加する女性たちの作品がとりわけ輝いていた。レオノラ・ヴァイスマン、イレーニ・ベルタシーニ、ルイーザ・ブリーナ、デー・ムッスリーニらの作品である。
同特集では、ミナス新世代にも2世代あり、第一新世代が生まれたのは2000年代初頭で、「ヘシクロ・ジェラル」というライヴ・ハウスに集まる若い音楽家たちが1つの連帯を作っていった。マケリー・カー、クリストフ・シルヴァ、セルジオ・ペレレ、チターニといった音楽家たちである。
彼らに続く第二新世代は、ミナス連邦大学で音楽を学ぶ学生たちが、第一新世代の音楽家との共演や、学生間の連帯を経て成長した面々で、ハファエル・マルチニ、アントニオ・ロウレイロ、アレシャンドリ・アンドレスが活躍している。
この第二新世代周辺の音楽家は、器楽と歌の境界を超えていくような高度な音楽楽理を踏まえた音楽性が特徴だが、よりバンド・サウンド志向の音楽家たちが形成するインディー・シーンからも、ミナス特有の歌心を備えた魅力的な作品が生み出されている。
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