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[2018.06]特集:ぼくらの音楽 TENDRE〜流れに身を任せるか、抗うように泳ぐか

文●若杉 実 text by MINORU WAKASUGI

 小田急線の上りに揺られて取材場所まで向かう。とちゅう多摩川にかかった橋を通過しているとき、遠くまで見渡せる景色を見ながらTENDRE(テンダー)の〝SOFTLY〟(新曲)が耳元にふいと現れた。

 空は明るいのに厚い雲が横たわっている。そんな空色を見ていると、TENDREの歌が薄陽に寄り添うように聞こえてくるからふしぎだ。歌詞もこんな感じにはじまる。

「柔らかに生きていたい 行く先の愛、確かめて 力を抜けば、ほら 君の元へ行けるかな」

 自然体でいながら、意識はどこか先のほうに進んでいる。まるで自分の魂がある場所へと向かっていくのを見届けるように。

 昨年末のミニ・アルバム『Red Focus』以来の第二弾(シングル)〝SOFTLY - RIDE〟について、いろいろと尋ねてみる。TENDREこと河原太朗は、うたっているときの声とおなじく鷹揚に語りはじめた。

「自分ですべてできる。いちばんの魅力はそこですよね。バンドでも自分が作曲してメンバーに指示したりするけど、その段階で(相手に)気を使わないかと言えばうそになる」

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