［2020.09］映画『mid90s ミッドナインティーズ』『行き止まりの世界に生まれて』｜このストリートが家で、仲間が家族で、過去でも未来でもない、この瞬間を生きる。

2020年9月9日 13:00

文●圷滋夫（あくつしげお／映画・音楽ライター）

　今、スケートボードで繋がる少年たちを描いた、まるで二卵性双生児のような２本の青春映画が公開されている。

　１本は『mid90s ミッドナインティーズ』。いつもスケートボードを抱えてタムロしている悪ガキグループの仲間に入った13歳の少年スティーヴィーの成長と、彼らの青春群像を鮮やかに活写した劇映画だ。監督は『40歳の童貞男』などのジャド・アパトー作品でコメディー・イメージが強いが、『マネーボール』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でアカデミー賞助演男優賞にも二度ノミネートされ、人気も実力も兼ね備えた俳優ジョナ・ヒルだ。彼の自伝的要素が強い初監督作品で、脚本も自らオリジナルで書いている。