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[2017.02]連載 小松亮太のタンゴ場外乱闘 #9 疑心暗鬼はシンコパから始まる

文●小松亮太 text by RYOTA KOMATSU

 僕が紹介される際、「小松さんは異ジャンルのアーティストとの共演も多く……」といった文言がよく使われるが、その音楽的成果の度合いはともかく、演奏家がジャンル超え(のようなもの)に挑む姿というのは何かしら魅力的に映るのだろう。しかしポップスやジャズやクラシックなどの演奏家とのコラボの要請に次々に応えるのは、やはり慣れるまでは中々に大変であった。共演者のジャンルに歩み寄る場合は自分がそれなりの準備をして臨めばまあ何とかなるのだが、向こうがこちらへ来る場合、つまり異ジャンルの演奏家のタンゴ初体験にお付き合いする場合には何かと気苦労が絶えなかったのである。

 実は世の多くの音楽家はタンゴというものを決して畏怖してはいない。ピアソラの曲はあくまでファッション感覚で扱われているし、さらに「ピアソラ以外のタンゴ」ともなれば、要するにアルフレッド・ハウゼの様なものなのだろう、と本気で考えている人さえ少なくない。だからタンゴ特有の奏法や感覚を彼らに要求した場合、気まずいムードになったり、最悪の場合は反発される危険もある。これはアルゼンチン以外を本拠地とするバンドネオン奏者は皆、多少なりとも経験することで、つまり必要最低限の音楽的要求が、上から目線の無理難題のように聞こえてしまう。彼らにしてみれば「何故そんな弾き方しなきゃならないんだ!」というわけだが、こちらとしては「そんな風に弾いてくれないと演奏が成立しないよ!」という話になるわけだ。

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