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Web版 2022年6月

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#奄美

[2022.6]【琉球音楽周遊❹】 鹿児島県 奄美諸島のシマ唄① | 宮沢和史

文●宮沢和史 *以下敬称略  “シマウタ” という言葉はそもそも奄美大島で使われていた言葉だという。“シマ” とはIslandではなく、その人の生活圏=村落、集落を指している。任侠映画のせりふにある「うちのシマ」というやつはその組織の縄張りという意味で、それと同じ意味合いの使われ方だと言っていい。我が集落ではこういう言い方をする、同じ歌であっても我が集落ではこう歌う、といったように相対的に自分のテリトリーを誇示する意味でシマという言葉は言い勝手が良いのだと思う。沖縄でも「

[2022.6]【沖縄・奄美の島々を彩る歌と踊り23】 奄美に伝わる世界創成の叙事歌謡 −沖永良部島の「島建シンゴ」−

文:久万田晋(沖縄県立芸術大学・教授)  沖縄の北方に位置する奄美諸島の南から二番目の沖永良部島には、「島建シンゴ」という特異な歌謡が伝承されてきた。これは沖永良部島の南西端、知名町屋子母集落のユタ(奄美沖縄の民間巫者)の家系である高田家に代々伝承されてきた長編歌謡である。それを島在住の民俗研究者先田光演氏が、1960年代半ばに高田カネ氏から聞き取り、学会に報告したことで奄美・沖縄文化研究の世界に大きな衝撃を与えた。この成果は『沖永良部島のユタ』(海風社 1989年)として