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[2022.6]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ㉓】 「スカウトソング」になったニュージーランド先住民マオリの歌 ―「ユポイ ヤイヤ エーヤ」の伝播の軌跡―
文●小西 潤子(沖縄県立芸術大学教授) ボーイスカウトやガールスカウトをご存じでしょうか?街頭での募金活動、国民祭典や国体などでのパレードで見かけたり、もしかしてご自身が(元)スカウトだったりするかも知れませんね。1908年1月、ロンドンにボーイスカウト英国本部を設置しスカウト運動を始動したのは、イギリスの退役将軍ロバート・スティーヴンソン・スミス・ベーデン=パウエル Robert S. S. Baden-Powell (1857-1941)。日本では1922 年4 月1
[2015.10]今一番見たかったブラジルの若手女性歌手 最高の表現力と技術を持つチャーミングな歌姫 Tatiana Parra タチアナ・パーハ
[月刊ラティーナ2015年10月掲載記事] 文●ヂエゴ・ムニス texto por DIEGO MUNIZ ブラジルポピュラー音楽界は、ここ数十年、様々な女性歌手を輩出してきた。ヴァネッサ・ダ・マタ、ホベルタ・サー、マリアナ・アイダールなどはそのなかでもブラジル音楽の伝統を再確認させた歌手たちである。 多様性豊かで競争率の高いこのシーンで、そのパーソナリティと音づくりの丁寧さが評判を得たのが、タチアナ・パーハだ。クリスタルのように透き通った声の持ち主で、数年のキャリア
[2015.4]ホドリゴ・マラニャォンにおけるブラジル的混血 ⎯ A MISTURA BRASILEIRA DE RODRIGO MARANHÃO ⎯
[月刊ラティーナ2015年4月掲載記事] 文●ヂエゴ・ムニス texto por DIEGO MUNIZ ホドリゴ・マラニャォン。今のブラジル若手アーティストのなかで最良の表現者のひとりと見なされていると言っても過言ではないだろう。作曲者、歌手、奏者、編者そしてプロデューサーであるカリオカは、ブラジルの音楽的多様性に賭けた音作りをする。 2014に発表された最新作である『Itinerário(「道程」の意)』は、バイアォン、サンバ・ヂ・ホーダ、マシーシ、サンバなどの要
[2022.6]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2022年6月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】
e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Black Mango · Quicksandレーベル:Gusstaff [22] 19位 Iberi · Supraレーベル:Naxos World Music [21] 18位 Somi ·
[2022.6]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉕ 】後からボサノヴァに仲間入りした、叶わぬ恋と孤独の歌 ⎯ 《Outra vez (またしても)》
文と訳詞 : 中村 安志 texto por Yasushi Nakamura ジョビンの作品には、ボサノヴァ黎明のタイミングよりも前のものが結構あり、その一部が、当初は、伝統的なスタイルで演奏されていたものの、後年になって新しいアレンジを施され、いつの間にかボサノヴァの一員として世に受け止められているケースがあることを、前回の「Dindi」などを含め、垣間見てきました。今回は、その1つに数えられ、コンパクトで多くの人の記憶に残っている歌、「Outra vez(またしても
[2022.6]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉗】独裁に刃向かったはずが最初取り締まられなかった歌 ⎯ 《Apesar de você》
文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura この連載では、シコ・ブアルキが巧みな言葉の芸術を用い、一見そう見えない別な内容を歌っているようで、実は鋭い政治批判が込められているといった例を、何度かご紹介してきました。特に、1964年から20年以上続いたブラジルでの軍政を糾弾した作品が多く残されています。 そうした中で今回ご紹介する作品は、「あなたがどうであれ、人々は承服していないし、朝日が昇ることをあなたが止められな
[2022.6]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉔】別荘を囲む自然を仰ぎ浮かんだ歌 ⎯ 《Dindi(ジンジ)》《Correnteza(水の流れ)》
文と訳詞 : 中村 安志 texto por Yasushi Nakamura ジョビンにとって、静かで豊かな自然に囲まれたリオ郊外の地、ポッソ・フンドにある別荘で過ごす時間は、とても貴重な時間であったようです。ここで着想し練り上げたとされる作品には、例えばこの連載の15回目でご紹介した「大西洋岸の森林を守れ」と叫ぶ「Borzeguim」など、自然を讃える作品などが多数挙げられるほか、「3月の水」、「マチータ・ペレー」など、ボサノヴァ成功以後の時期においてジョビンの作風の
[2022.6] 【映画評】『イントロダクション』『あなたの顔の前に』 ⎯ホン・サンス作品を観ることの豊かさとそこに描かれる人生の深さと機微について。
『イントロダクション』『あなたの顔の前に』 ホン・サンス作品を観ることの豊かさと そこに描かれる人生の深さと機微について。 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター) 世界三大映画祭の一つであるベルリン国際映画祭で、一昨年の『逃げた女』、昨年の『イントロダクション』、そして今年の『小説家の映画(仮題)』(2023年日本公開予定)と三年連続受賞の快挙を成し遂げ、しかもそれが監督賞、脚本賞、審査員大賞という主要部門で、あらためて “世界の巨匠” であることを知らしめた韓国のホン・