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Web版 2024年9月

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記事一覧

[2024.9]【タンゴ界隈そぞろ歩き⑰】現代タンゴを作ったのはピアソラだけではないのだ

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 前回の記事の結びで と書いた。 では実際にどのような人が現代タンゴを創ってきたのかについて、今回は書いてみたい。とはいえ、そこはあくまでそぞろ歩き。筆者が個人的に気になる人を紹介する程度にとどめたい。年代的にも今回は1960年代頃までに登場した人に限ることにする。 ピアソラのその後他の人の話に入る前にまずはアストル・ピアソラ(1921-1992)。前回の記事で1955年にパリ留学から帰国してスタート

[2024.9]生誕130年記念 北川民次展 メキシコから日本へ〜 世田谷美術館で開催!(9/21〜11/17)

文●編集部 北川民次という画家をご存知だろうか? 1914年(大正3年)に20歳で渡米、ニューヨークやマイアミなどで働きながら絵を学び、1923年(大正12年)にメキシコへ行く。 当時のメキシコは革命後の壁画運動に沸いていた。壁画運動とは、革命の意義やメキシコ人としてのアイデンティティーを、わかりやすく印象的に民衆に伝えることを目的とし、その媒体として誰でも見れる壁が選ばれた。 メキシコでは、新進画家、美術教員として活動、1936年に日本に帰国した後は、東京・池袋を経て

[2024.9]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2024年9月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Carla Pires · VaiVemレーベル:Ocarina [-] 19位 Maré · Maréレーベル:Sons Vadios [-] 18位 Ali Doğan Gönültaş ·

[2024.9]ジルベルト・ジル、16年ぶりに来日!〜おそらく日本では最後のツアーとなる、3公演を実施〜

文●編集部  ブラジル音楽の歴史を作り出してきた音楽家、ジルベルト・ジル。今月末に16年ぶりに来日し、日本で3公演を行う。(東京公演は残念ながらすでに完売で、京都、高崎公演はまだ購入可能!)  ジルは今年8月に、来年(2025年)3月から開始するツアーが、キャリア最後のツアーとなることを発表した。ブラジル9都市とアメリカ、ヨーロッパでの公演が予定されている。その中には日本は含まれていないので、今回の公演が、おそらく日本での最後の公演となるであろう。  今回の来日は、ジル

[2024.9]【追悼】セルジオ・メンデス〜セレンディピティな人生を振り返る〜

文●岡本郁生  セルジオ・メンデスが亡くなったことを知ってすぐに思い出したのは、数々のヒット曲の中でも中学生のころに初めて聞いて衝撃を受けた「フール・オン・ザ・ヒル」のクールでソフト・ロックなサウンドと、当時の “中二な” (笑)日々のあれこれだったが(70年代初頭なのでリアルタイムではなくリリースからは少しあとになります)、驚いたのは、83歳というその年齢である。  「マシュ・ケ・ナダ」が大ブレークしたのが60年代半ば。それ以前にブラジルでもある程度のキャリアを積んでい

[2024.9]【映画評】日本映画の明るい光『ぼくのお日さま』『ナミビアの砂漠』  

日本映画の明るい光 『ぼくのお日さま』『ナミビアの砂漠』 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  2024年は『夜明けのすべて』(三宅唱監督)『悪は存在しない』(濱口竜介監督)『ミッシング』(吉田恵輔監督)など、日本を代表する中堅監督のキャリアハイ・レベルの作品が既に公開され、この後も呉美保監督『ぼくが生きてる、ふたつの世界』や石井裕也監督『本心』などの期待作が公開を控えている。そんな邦画が充実した今年の中でも9月6日は、日本映画界の未来を明るく照らすであろう二人の新鋭監督

[2024.9]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 ㊿】 Liniker 『Caju』

文:中原 仁  現代ブラジルのLGBTQ+アーティスト・パワーを代表する存在の、リニケル。2021年に発表した初ソロ名義のサード・アルバム『Indigo Borboleta Anil』が大ヒットし、2022年発表のラテン・グラミーで「ベストMPBアルバム」を受賞した。  日本でも「2021年ブラジル・ディスク大賞」音楽関係者投票部門で、マリーザ・モンチの『Portas』(一般投票1位)、カエターノ・ヴェローゾの『Meu Coco』(一般投票2位)といった強豪を抑えて第1位に

[2024.9]新しいモビスター・アレーナでの感動の再始動!!!アジア勢も大活躍!!!新チャンピオン決定!!!

レポート●本田 健治  今年のタンゴダンス世界選手権は、なかなかファイナルの場所も発表されず、今まで準決勝までやっていた USINA DEL ARTE で、小さく行われてしまうのか、と案じていたが、日本出発の直前になって凄いニュースが飛び込んできた。巨匠プグリエーセの出身地、ブエノスアイレス、ビジャ・クレスポ地区のモビスター・アレーナ・スタジアムで開催と発表があった。  世界の大都市に見るスーパー・アリーナ並、最大16,000人収容のまだ完成4,5年の新しい会場だ。クラブ