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世界の音楽情報誌「ラティーナ」

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2021年8月の記事一覧

[2021.08]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ⑬】 ソロモン諸島のパンパイプ・アウ ’au の現代的合奏 ―「呪術性」の継承―

文●小西 潤子(沖縄県立芸術大学教授)  「あのパンパイプ合奏をもう一度聴きたい」― 期待を胸に、私は2012年ソロモン諸島国ホニアラ空港に降り立ちました。目的は、オリンピックと同年に太平洋諸島各地持ち回りで開催される、第11回太平洋芸術祭 The Festival of Pacific Artsに参加するため。事の発端は、さらにその4年前。第10回太平洋芸術祭主催国のアメリカ領サモアには、次期開催をアピールするためにソロモン諸島国代表団111人が参加し、若い男性グループが

[2021.08]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑤】寄せては引く波を見つめながら -《Wave》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura 本エントリーは、9/1(水)からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。 お知らせ●中村安志氏の執筆による好評連載「シコ・ブアルキの作品との出会い」については、まだ今後素晴らしい記事が続きますが、今回からまた、一旦、この連載「アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い」の方を掲載していきます。今後も、何回かずつ交互に掲載して行きます。両連載と

[2021.08]【連載 アルゼンチンの沖縄移民史⑦】もうひとつの戦争体験

文●月野楓子  オリンピックが終わった。言いたいことは色々あるけれど、ひとまず置いておくとして。  沖縄では、空手の喜友名諒選手が沖縄に初めてのオリンピック金メダルをもたらしたことに沸いた。喜友名選手の行きつけという食堂のおばぁが嬉しさで踊っている様子がテレビで流れ、見ているこちらまで嬉しい気持ちになった。  喜友名選手の母校は沖縄国際大学だ。大学のwebサイトにも早速お祝いのメッセージが掲載された。そこで同時に目に入るのは、8月13日「普天間基地の閉鎖を求め、平和の尊さ

[2021.08]本日はウィルソン・ダス・ネヴィスの命日【ブラジル音楽の365曲】[8/23〜8/29]

文:花田勝暁(編集部)  8月27日「O Samba É Meu Dom」  8月27日は、ドラマー / 作曲家 / 歌手として、皆に、特に音楽家から愛された音楽家、ウィルソン・ダス・ネヴィス(Wilson das Neves|1936年6月14日 - 2017年8月27日)の命日です。4周忌です。エスコーラ・ヂ・サンバ、インペリオ・セハーノのメンバーとして、サンバ・シーンの名手たちとも、活動を共にしました。  プロのドラマーたちからドラムを学び、音楽理論の授業も受け、

[2021.08]【沖縄・奄美の島々を彩る歌と踊り13】 八重山のアンガマ −帰還する祖先神との交流−

文:久万田晋(くまだ・すすむ 沖縄県立芸術大学・教授)  沖縄県の南端に位置する八重山の島々では、旧盆(盂蘭盆)のことをソーロン(精霊)と呼ぶ。島によっては、この時期にアンガマといって顔を笠や手拭いで覆い隠した青年男女の一行が集落の家々を歌い踊りながら巡り廻るのである。一行の先頭にはウシュマイ(爺)とンミ(婆)と呼ばれる老人の面を付けた存在がいて、各家で人々と数々の問答を行う。この老人は旧盆にムラに還ってきた先祖の代表すなわち祖先神であり、それに続く一行は祖先神に従う精霊た

[2021.08]映画評『ドライブ・マイ・カー』

カンヌ脚本賞を受賞した濱口竜介監督の集大成にして最新型。 二つの孤独な魂がつかんだ真実の言葉の先に見たものは? 文●圷 滋夫(あくつしげお / 映画・音楽ライター)  濱口竜介監督は乗り物が好きだ。キャリア初期の頃から、多くの作品でバスや電車の中での会話が生き生きと写し撮られている。例えば『親密さ』(2012)のラストでは、別々の電車に乗った男女の感情が切なく重なり合う奇跡的な瞬間が捉えられ、世界に自身の名を知らしめ日本でも一気に知名度を上げた『ハッピーアワー』(2015

[2021.08]ハウル・セイシャスの「Metamorfose ambulante(終わりなきメタモルフォーゼ)」を紹介【ブラジル音楽の365曲】[8/16〜8/22]

文:花田勝暁(編集部)  前回の投稿で、 ※7月はじめの自社主催イベントの準備が本格化してきているため、毎日更新するのが難しくなってきました。7月初旬まで更新頻度が少なくなります。  と書いてから、7月初旬どころか、8月中旬まですっとんでしまいました!「ブラジル音楽の365曲」を再開したいと思います。 8月21日「Metamorfose ambulante(終わりなきメタモルフォーゼ)」 8月21日は、バイーア生まれのブラジリアン・ロックの革命家、ハウル・セイシャス(

[2021.08]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い⑦】2言語をまたぐ作詞 — シコ・ブアルキ作《Joana francesa》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura 本エントリーは、8/22(日)からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。 お知らせ●中村安志氏の執筆による好評連載「アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い」についても、今後素晴らしい記事が続きますが、今回も一旦、この連載「シコ・ブアルキの作品との出会い」の方を掲載しています。今後も、何回かずつ交互に掲載して行きます。両連載とも、まだまだ

[2021.08]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」⑬】 Melim『Deixa Vir do Coração』

文●中原 仁 ───── 中原仁の「勝手にライナーノーツ」───── 近年、日本盤の発売が減少し、日本における洋楽文化の特徴である解説(ライナーノーツ)を通じて、そのアルバムや楽曲や音楽家についての情報を得られる機会がめっきり減った。 また、盤を発売しない、サブスクリプションのみのリリースが増えたことで、音楽と容易に接することが出来る反面、情報の飢えはさらに進んでいる。 ならば、やってしまえ!ということで始める、タイトルどおりの連載。 リンクを通じて実際に音楽を聴き、楽しむ

[2021.08]【島々百景 第63回】黒島|沖縄【文と写真 宮沢和史】

文と写真●宮沢和史  沖縄を旅するようになった1990年代初頭の那覇空港は今よりいいもずっとこぢんまりとしていた。空港に着いてから離島行きの便に乗り換えるには、一旦ターミナルから出て、徒歩で離島行きの別のターミナルまで歩かなければならなかったのも今思えばユニークな思い出だが、その数百メートルの間に沖縄の暑さを直接肌で感じ、離島への旅に想いを馳せるのにちょうどいい時間だった。八重山の島々を旅したいのならまずそこから石垣島へと向かう。日本最西端の与那国島へは那覇からも空路で渡れ

[2021.08]ラティーナ流 おいしいワールド・レシピ⑬ 暑い夏を乗り越える沖縄料理~スブイ汁(シブイ汁)

レシピ提供と写真●宮沢和史  今月は、旬の野菜である冬瓜を使った沖縄料理を宮沢さんにご紹介いただきます。冬瓜はカリウムを多く含む夏野菜です。夏、汗をかいて失われたカリウムを補う効果もあり、ビタミンCも含まれているので、夏バテ対策にはピッタリです。  店頭で売られている冬瓜は大きいものが多いかもしれませんが、余ったものは皮をむいて使い易いサイズにカットして冷凍できますので、暑い期間に何度か作れると思います。(編集部) 材料(3〜4人前): 冬瓜 4分の1個 鶏肉 200g程

[2021.08]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2021年8月|20位→1位まで【無料記事 聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 ※レーベル名の後の()は、先月の順位です。 「Transglobal World Music Chart」は、世界各地のワールドミュージック専門家の投票で決まっているワールドミュージックのチャートです。主な

[2021.08]「ラ米乱反射」電子版 第10回 ペルーにカスティージョ左翼政権誕生|民族主義政策実施のため改憲目指す|国会少数派で前途は多難

「ラ米乱反射」電子版 第10回 ペルーにカスティージョ左翼政権誕生 民族主義政策実施のため改憲目指す 国会少数派で前途は多難 文 ● 伊高浩昭(ジャーナリスト) ※こちらの記事は、8/11からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。  ペルーのペドロ・カスティージョ新大統領(51)が2021年7月28日就任した。任期は26年までの5年。準備、人材、政治的経験の不足や視野の狭さ、さらには政権党が国会で少数派であるため発足早々、不安定な政権運

[2021.08]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い⑥】慎ましく生きる人に向ける眼差し — シコ・ブアルキ作《Pedro pedreiro》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura 本エントリーは、8/11(水)からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。 お知らせ●中村安志氏の執筆による好評連載「アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い」についても、今後素晴らしい記事が続きますが、今は一旦、この連載「シコ・ブアルキの作品との出会い」の方を掲載しています。今後は、何回かずつ交互に掲載して行きます。両連載とも、まだまだ凄