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Web版 2024年6月

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2024年6月に新規にアップした記事のみが収められているマガジンです。こちらでアーカイブ記事は読めませんので、アーカイブ記事も購読するには定期購読マガジンの「ラティーナ」(月額9…
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記事一覧

[2024.6]【境界線上の蟻(アリ)~Ants On The Border Line〜20】カーボ・ヴェルデ音楽の未来を拡張する2人の才媛~ナンシー・ヴィエイラとカヴィータ・シャー

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  アフリカ大陸西端のセネガルからさらに約500km沖合の大西洋上に浮かぶ大小15の島からなる火山群島国のカーボ・ヴェルデは、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカの三大陸にアクセスが容易な中継地として、1975年に独立するまでポルトガルの支配を受けながら独自の文化を育んできた。ポピュラー音楽では、ブラジル音楽におけるサウダージに相当する〝ソダーデ〟と呼ばれる郷愁の感覚を根底に持ち、ポルトガルのファドにも通じる哀愁味の強いメロディが

[2024.6]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2024年6月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Céu · Novelaレーベル:Urban Jungle / ONErpm [-] 19位 Marjan Vahdat · The Eagle of My Heartレーベル:Kirkelig

[2024.6]【タンゴ界隈そぞろ歩き⑮】G7サミット開催記念、プーリアゆかりのタンゴ人

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 6月13日~15日にイタリアのプーリアでG7サミットが開催されたことは皆様ご存じかと思う。プーリア (Puglia) というのはイタリア南部の州の一つで、イタリアをブーツになぞらえるとかかとの部分に相当する地域である。平地が多くイタリアの穀倉地帯に相当し、ワインの生産も盛んだ。州都はバーリ。 ミラノの人をミラネーゼと言うように、プーリアの人を表す言葉はプーリエーゼで、puglieseと綴る。これをスペイ

[2024.6]カリブ海へ旅する映画祭〜CARIBBEAN FILM FESTIVAL 2024〜開催決定!(読者プレゼントあり!締切7/8)

編集部  今年は、日本とジャマイカ及びトリニダード・トバゴ共和国との国交樹立60周年、日本とカリブ共同体(カリコム:CARICOM)が事務レベル協議開始から30年が経過した年です。それを記念し、2024年は「日・カリブ交流年2024」として、日本とカリブ共同体諸国の交流を深めることを目的とした様々な記念事業が行われます。  その一つとして「LIME records presents カリブ海へ旅する映画祭 〜CARIBBEAN FILM FESTIVAL 2024〜 」が開

[2024.6]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 ㊼】 Moreno Veloso 『Mundo Paralelo』

文:中原 仁  2011年の来日時、東京で嶺川貴子、高野寛と録音した曲を含むリーダー・アルバム『Coisa Boa』(2014年発売)から10年。モレーノ・ヴェローゾが新作を発売した……、と書いたが、実はこの間、もう1枚のアルバムがある。パンデミック期間の2020年、ギターの弾き語りで録音し、USAのアート・ギャラリーのレーベルからCDでリリースされた『Every Single Night』(サブスクでは聴けない)。新作『Mundo Paralelo』は、多彩な共演者と作っ

[2024.6] 【映画評】アウシュビッツが照射する現代の非情 『関心領域』そして『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』と『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』

アウシュビッツが照射する現代の非情 『関心領域』そして『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』と 『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  現在公開中の『関心領域』は、昨年のカンヌ国際映画祭でグランプリ、今年のアカデミー賞で国際長編映画賞と音響賞を受賞している。そしてアウシュビッツを描いた作品として、これまでにない画期的な表現によって映画史にその名を残す傑作になったと言えるだろう。  カメラは強制収容所内で行われていた行為を一