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[2023.11]8月の南米ツアー報告~①サンパウロ編 『パンデミアを経た南米のウチナー社会』

文●宮沢和史
写真●Val Ferrer、宮沢和史

 新型コロナウイルスが世界を占拠した間、海外渡航はおろか、緊急事態宣言や、蔓延防止法などというものが発出されると、都内からも出られず、公園や河川敷などを散歩して運動不足の解消をしたりしていたものだ。都内はそういった場所ほど混雑していたことがが思い出される。考える事はみな同じなのだ。

 当時、世界の感染者数をチェックしてみたら、自分がよく行く国、もしくは行ったことがある国がワーストランキングの上位の多くを占めていて、自分が関心を持っている音楽が素晴らしい国々というのは、歴史的にみると人の出入りが激しく、貧富の差や人種や民族の多様性がみられ、今回のような形の有事には事態が複雑化するのだなと再認識させられた。ブラジルは前大統領の失策により凄まじい数の感染者数を出してしまったが、しかし、今思えば誰が大統領であれ、避けられなかった事態だった事は間違いない。上手に回避できた国などひとつもないのだから。

 自分も2019年に往訪して以来、彼の地の土を踏んでいない。あれから4年が経ちサンパウロから不意にひとつのメールが届いた。毎年サンパウロで行われてきた『Okinawa Featival』を二日間開催するので出演しないか?という出演依頼だった。去年の2022年にはcovid-19が落ち着きを見せてから久しぶりの『第18回 沖縄フェスチヴァウ』が行われたようだが、例年よりは手探りな規模だったと聞いていた。今年は日系ブラジル移民115周年ということもあり、満を辞して日本からも出演者を招集して大規模に開催するとのこと。この依頼を断る理由はひとつもない。県人会から出演依頼を受けた、アルベルト城間君、大城クラウディアさん、と宮沢の三者と、サンパウロで沖縄民謡と沖縄ポップスを演奏する人気バンド、トントンミーが合体し、沖縄・ペルー・アルゼンチン・日本・ブラジルのチャンプルーシンカヌチャーグループが結成された。

宮沢・大城クラウディア・アルベルト城間・トントンミーによる
シンカヌチャー チャンプルーグループ

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