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[2020.09]【島々百景 第52回】伊江島(沖縄)

 「ビールはご当地で飲むのが一番美味い! 自宅で飲んでもイマイチなんだよね」という発言をよく聞く。特に南国の銘柄は都会で飲んでも美味しく感じない、という主張をみなさんも耳にすることが多いだろうし、実際そう思っている方も少なくないだろう。タイやシンガポール、ベトナムなどのビールはどちらかというと軽めで飲みやすいイメージがある。熱帯の屋台街や海辺で大汗をかきながら辛めの食事と合わせて飲むビールはすっきりしている方が良いように思う。こういったビールを例えば、エアコンの効いた東京のレストランや自宅で冷静に飲んだ時に何か物足りなさを感じるのは確かだ。刺さるような日中の暑さや、不快指数の高い熱帯夜の屋台で飲んだから軽い印象持っているのかもしれない。それに加え、虫や犬の鳴き声、クラクションなど雑踏、波の音、スピーカーから流れるご当地のヒット曲やレゲエミュージック、様々な音に加えて、料理、オイルや排気ガス、排水の匂いなどが混じり合い、混沌とした中で “自分の存在を確かめる” にはスキッとした身体に入りやすいビールがいい。喉を通過し、食道から胃へと向かう時間、大げさに言えば、生きていることを大いに実感する。

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