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[2021.12]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ⑰】 真珠採りダイバーと癒しの音楽 ―トレス海峡・木曜島―
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[2021.12]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ⑰】 真珠採りダイバーと癒しの音楽 ―トレス海峡・木曜島―

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文●小西 潤子(沖縄県立芸術大学教授)

 「健康、長寿、富、無垢」といった意味が込められた真珠は、フォーマルな場での定番アイテムですよね。太平洋の島々の美しさも、しばしばその輝きにたとえられます(2021年3月号参照)。

 真珠の存在は、紀元前3200年頃エジプトで知られていたらしく、クレオパトラが世界最大の真珠を酢に溶かして飲んでみせたとか。王権を象徴する宝石として、大航海時代から帝国主義時代にかけて、中東のバハレーン島、南インドのマンナール湾、セイロン島、ベネズエラからヨーロッパに流出し、江戸時代には大村湾、鹿児島湾、英虞湾からオランダや中国に輸出されたそうです。

 フランスのジョルジュ・ビゼー(1838-1875)のオペラ『真珠採り』の舞台は、セイロン島でした。このアリア「耳に残るは君の歌声(ナディールのロマンス)」を原曲として生まれたのが、「真珠採りのタンゴ」です。

ビゼー:歌劇「真珠採り」より"耳に残るは君の歌声" 
志摩大喜 Taiki Shima

「真珠採りのタンゴ」 アルフレッド・ハウゼ

 当時は、海に潜って1粒ずつ採取されていたのですから、ネックレスになるまでにはたくさんの人々の途方もない労力が費やされました。色の判別ができない海底では、真珠貝を見分けるのも至難の業。ダイバーは常に命がけで、命綱を預けるテンダーと1組になり、ロープを引く回数で「上昇する」「もっと空気を送れ」などの交信をしました。

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