[2021.09]【シリーズ:ブラジル音楽の新しい才能②】 マリア・ルイーザ・ジョビン(Maria Luiza Jobim)
e-magazine LATINA によるブラジルのポピュラー音楽の中で頭角を現し始めた新しい才能を紹介するシリーズです。レポートは、ブラジル人音楽ジャーナリストのヂエゴ・ムニス。まずは、ブラジル音楽史に名を刻む偉大な音楽家の遺伝子を受け継ぐ才能から数名紹介します。
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ジョアン・ジルベルト、カエターノ・ヴェローゾ、マリーザ・モンチ、シコ・セザールなど才能を持つ数多くのアーティストが国際的な成功を収めた後も、ブラジリアンポピュラーミュージックは新たな声を獲得し続けています。 ポップな世界と伝統的な音楽の間を行き来する若い世代の音楽家は、過去を参考にしながらも、現代的な視点で表現しています。
初回のレポートでは、シコ・ブラウン、マリア・ルイーザ・ジョビン、チン・ベルナルヂス、ドーラ・モレレンバウムといった、伝統的なブラジル音楽のDNAを持ちながら、日本の音楽までも参照するアーティストたちとその作品を紹介します。(チン・ベルナルヂスとドラ・モレレンバウムについては来週掲載予定)
文●ヂエゴ・ムニス(Diego Muniz)
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ブラジルのポピュラー音楽界で最も偉大な人物の一人とされるトム・ジョビンは、何世代にもわたって影響を与えてきました。マエストロ、トム・ジョビンから影響を受けたアーティストの一人が、マエストロの末娘のマリア・ルイーザ・ジョビン(Maria Luiza Jobim|1987年3月20日 - )です。
「私はとても音楽的な家庭で育ち、幸運なことに、ドリヴァル・カイミやシコ・ブアルキなど、父と一緒にリハーサルやレコーディングをした多くの重要なアーティストの象徴的な瞬間を目にすることができました。私がよく言うのは、私にとって音楽は常に存在していて、音楽が先にあって私は後から来たのだ、ということです」(マリア・ルイーザ・ジョビン)
音楽の道に進むのは自然な道筋のように思えますが、マリア・ルイーザ・ジョビンは、建築と文学を専攻しました。
「音楽はとても神聖な場所にあったので、それを仕事にしたくはありませんでした。そう思いながらも、大学に通いながら、ずっとバンド活動をしていて、その2つを両立させようとしました。しかし、その両立があまり意味のないことをしていたことに気づきました」(マリア・ルイーザ・ジョビン)
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