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[2022.11]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㊱】キューバで親交を持った盟友の歌 — Yolanda

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

  中村安志氏の好評連載「シコ・ブアルキの作品との出会い」と「アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い」とは、毎週交互に掲載していますが、今回は、ついこの間の11月22日に届いたキューバの至宝パブロ・ミラネス逝去の報せに合わせて、そのパブロ・ミラネスとシコの深い友情についての「シコ・ブアルキの作品との出会い」の方に変更させていただきます。南米がまだ軍事政権が続いていた時代にもかかわらず、シコは、堂々とこのアーティストたちをブラジルに招き、大きなコンサートもおこなっていましたが、その友情についてのお話です。
 
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編集部

 この連載の第17回目の記事では、映画の主人公の心の中で蠢めく欲望を示すかのような歌詞が続く中で、「頭の中や口の中で蠢めく何か」など、表現の自由を奪われている当時の時代の人々の本音を間接的に表しているとされる、O que seráという歌を扱いました。

 この歌をめぐって、作者のシコ・ブアルキは、革命後のキューバの様子を伝えるカメラマンのフェルナンド・モライスが見せてくれた写真から着想したとシコが述べており、シコ自身が、ブラジルとの国交が途絶えたキューバに夫婦で渡航するなど、大胆な行動をとっていたことなどもご紹介しました。

 シコが、こうしたキューバ訪問を通じ親交を深めたキューバの重鎮アーティストの1人が、シンガー・ソングライターのパブロ・ミラネスです。ミラネスは、つい先日11月22日に、79歳でこの世を去りました。今回は、彼を偲びつつ、シコ・ブアルキとパブロ・ミラネスの共作についてご紹介することにします。

シコ・ブアルキとパブロ・ミラネスのほか、ジャヴァン、
カエターノ・ヴェローゾが一緒に歌っている姿

 パブロ・ミラネスは、支配者への抵抗を旗印とするヌエバ・トローバと呼ばれる運動が中南米諸国に広まっていく中での主導者の1人であり、多くの若者に影響を及ぼしたとされるアーティストです。もともと、ハバナのコンセルバトワールで音楽を学ぶという恵まれた地位にあった上に、キューバ革命を支持していたにも関わらず、1965年に強制収容所に送られ、過酷な労働を強いられた受難の人としても知られています。

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