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[2025.1]Best Albums 2024 ①

2024年のベストアルバムを選んでいただきました!第一弾です。
第二弾は来週公開予定です!
(カタカナ表記のものは国内盤として発売されています)


●おおしまゆたか

翻訳屋。
デッドヘッド。ジャズとグレイトフル・デッドの沼にずぶずぶとはまってゆく今日この頃。

 何と言ってもすずめのティアーズと長野友美に仰天。津山篤もこういう人だったのね。紅龍に涙し、《七つの月》に集うたうたい手たちに興奮した。Frankie Archer にも仰天。イングランドの歌謡伝統はついにこんな人を生みだした。Sue Rynhart がアイルランドからジャズ歌謡を定義しなおせば、Cathy Jordan はアイルランド32州を歌で言祝ぐ。年末のシリアでの大きな動きが Sanam にも幸をもたらしますように。クリス・ポッターをとりこんでハンガリーのセンデレゲーは一回り大きくなった。そしてロンドンのフォーク・クラブ黎明期の豊饒を今に伝える貴重な労作。となると、やはり歌が何よりも好きということが、今年も証明されたのだった。人間はどこでもいつでも歌ってきたし、これからも歌ってゆくだろう。

(リリース順)
① Les Cousins / The Soundtrack of Soho's Legendary Folk & Blues Club; Compiled and annotated by Ian A. Anderson

② すずめのティアーズ / Sparrow's Arrows Fly So High

③ 津山篤&長野友美トラッド・ソングス・デュオ / 農夫の娘

津山篤&長野友美トラッド・ソングス・デュオ / 農夫の娘 La Filha D’un Paisan

④ Sanam /  Live At Café Oto

⑤ Söndörgö / Gyezz

⑥ 紅龍 / Radio Manchuria

⑦ Cathy Jordan / The Crankie Island Song Project

⑧ Frankie Archer / Pressure and Persuasion (EP)

⑨ Sue Rynhart / Say Pluto

⑩ shezoo / Moons -七つの月-

●田方春樹(lessthanpanda)

IT業界人/週末ギタリスト。大手メディアでは取り上げられない世界中の優れた音楽を紹介する情報サイト「Música Terra(ムジカテーハ)」を主宰。

今年も様々な国のアーティストたちから、たくさんの音楽の楽しみを分け与えていただきました。
①はイスラエルのバンドの6年ぶりの新作。彼の地の混乱がアーティストにも大きな影響を与える中で、音楽という逃げ道に見出した純粋な創作表現への欲求が爆発したとんでもない作品。②はカタルーニャ出身の女性ギタリスト/SSWが世界中の超一流アーティストと1曲ずつコラボした傑作。マイケル・リーグがプロデュースしたインド出身歌手の作品③は、未知なる音への好奇心をくすぐられる。母なる大地アフリカを讃える美しい④、ますます個性的となったスペインのトロンボーン奏者/歌手の⑤、ユーロビジョン・アルメニア代表の⑥、戦禍に抗うディストピア・ポップ⑦、オリエンタル・ジャズをアップデートする⑧、歌とピアノの表現力凄まじいデュオ作⑨、大西洋〜中南米を旅する気分のジャズ⑩。

① What will be the end with us / Pinhas & Sons

② A Dos / Lau Noah

③ Vari / Varijashree Venugopal

④ Terre Rouge / Lubiana

⑤ De camino al camino / Rita Payes

⑥ Ladaniva / Ladaniva

⑦ THE VANDALIST / Noga Erez

⑧ Shams / Amin Al Aiedy

⑨ Algodão / Maria João & André Mehmari

⑩ Small Variations of the Previous Day / Louis Matute

●山口詩織

リスボンの音楽シーンに浸かったライター兼DJ。ポルトガル音楽の多様性を紹介すべく活動中。

ポルトガルもので10枚、アルファベット順。
中堅〜ベテラン勢の期待を裏切らない良作や、実験的意欲作も多かった2024年。
それだけに、ポルトガル伝統音楽とエレクトロ・ミュージックの融合、フォークトロニカ決定打として燦然と現れたアナ・ルア・カイアーノのデビューアルバムがひときわ輝いて見えた。
それ以外にも、伝統民謡に着想を得て現代的アレンジを施した多重録音や混成コーラス作品に印象的なものが多く、ポルトガル音楽シーンも新しいフェーズに入った感。2025年も楽しみです。

(アルファベット順)
● Afonso Cabral / Demorar

● アナ・ルア・カイアーノ/ヴォウ・フィカール・ネステ・クァドラード

● Capital da Bulgária / Contei e Deixei Que Tu Me Julgasses

● Capitão Fausto / Subida Infinita

● Cara de Espelho / Cara de Espelho

 ● Club Makumba / Sulitânia Beat

● Emmy Curl / Pastoral

● Ligados às Máquinas / Amor Dimensional

● Maquina / Prata

● Rafael Tonal / Spectral Evolution

●山本幸洋

アメリカス音楽ファン
『レコード・コレクターズ』『ミュージック・マガジン』などでラテン全般を執筆。

 新譜の紹介はなるべくディスクになってから、、、と思っていると、あらら配信だけなのが多くなっている。しかも、1~2曲ずつとかになってたりして、アルバムという概念が変わりつつあることを実感。というわけで、原則としてCDになっているラテン・ジャズ~サルサの、ABC順とした。オルケスタ・アラゴーンだけ配信のみ。
 コンラッド・ハーウィグとジョナサン・パウエルはエディ・パルミエーリ楽団のメンバーであり、各々のリーダー作では独自のラテン・ジャズを追及している。コンラッドは言わばライフ・ワークであるジャズ・ジャイアンツのワークスをラテン・ジャズとしてリメイクしており、今回はマコーイ・タイナー。マコーイは若い日のエディに大きな影響を与えたピアニストであるから、本作は師と、師の師にささげた作品ということになる。
 キューバ系ではファミリア・ミランダ出身のキキ・バレーラのUS録音。ごく普通のコンフントなんだけど、そのしっかりした演奏ぶりがいい。そのレーベル主催者はダグ・ビーヴァーズ、エディ楽団のメンバーである。フランスを中心に活動しているロベルト・フォンセーカの華やかでゴージャスなサウンドはどこか異世界のイメージ。名流オルケスタ・アラゴーンはわずかにティンバ風味を取り入れながらアラゴーンのエレガンスを保っているのがさすが。オルケスタ・アコカーンのピアニスト:マイケル・エクロートは久しぶりの自己名義作。
 USウェスト・コーストでは、父ピートのアンソロジー、娘シーラの初サルサ・アルバム、エスコヴィード・ファミリー健在でだ。後者はヒルベルト・サンタ・ローサらサルサ歌手とのコラボだけでなく、なんといってもグローリア・エステファンとのコラボに拍手喝采だ。
 ザッカイ・カーティスは、ビ・バップからファンキーに至るジャズ名曲の数々をラテン・ジャズにどどっとリメイク。
 選外だが、1972年のコローン劇場でのタンゴ/フォルクローレの一大コンサートで一番人気だったセステート・タンゴのライヴ音源、パコ・デ・ルシア13歳のライヴ(兄ペペと)など、貴重なレコーディングの初出しも嬉しかった。

(アルファベット順)
● Conrad Herwig / The Latin Side of McCoy Tyner / Savant SCD2216, USA

● Jonathan Powell / Mambo Jazz Party / Circle9 C90010, USA

● Kiki Valera / Vacilón Santiaguero / Circle9, C90007, USA

● Michael Eckroth Group / Human Geography / Truth Revolution TRRC078, USA

● Orquesta Aragón / 85 Años de la Orquesta Aragón / ディジタルのみ

● Pete Escovedo / Lifetime Anthology / ESCO, USA

● Roberto Fonseca / La Gran Diversión / Bureau/Wagram 3442992, U.E.フランス

● Sheila E. / Bailar / sony latin 19764402411, USA

● Spanish Harlem Orchestra / Swing Forever / Ovation OV-SHO-02, USA

● Zaccai Curtis / Cubop Lives / Truth Revolution TRRC072, USA


(ラティーナ2025年1月)


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