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[2019.07]ミナス音楽を聴こう!〜ミナス音楽を作り上げたアーティスト達〜

 ブラジルの内陸部の州、ミナス・ジェライス。日本語にすると「鉱山一般」となり、その州名からも分かるように、さまざまな鉱物資源が豊富に産出される地域である。植民地時代の州都=オウロ・プレットで17世紀末に金鉱が発見され、18世紀には繁栄を極めた。また教会も非常に多い土地柄である。

 そういう土地から生まれてきたのが、ミルトン・ナシメントを代表とするミナスの音楽だ。

 教会音楽に強い影響を受けたハーモニーやメロディー、フォルクローレにも近い土の匂いのする素朴な感覚、ビートルズに通じる洗練されたポップなメロディー、それらが一体となって醸し出す一種独特の浮遊感覚に特徴がある。

 1970年代に入るとミルトン・ナシメントは「クルビ・ダ・エスキーナ(街角クラブ)」と呼ぶひとつの音楽コミュニティーを提示した。それは、同じミナスで一緒にやっていた音楽仲間や、またミルトンの音楽に共鳴した他の地域の音楽家たちも、その中に入っていくことのできる自由な集まりだった。ロー・ボルジェスやトニーニョ・オルタなどミナス・サウンドを生み出す巨頭を輩出し、後世に大きな影響を与えた。

 2000年代初頭には、自分たちのミナスの音楽シーンをスタートしようとする若い音楽家が集まり出す。クリストフ・シルヴァ、マケリー・カー、パブロ・カストロといった面々だ。さらに、2000年代後半になるとミナスジェライス連邦大学(UFMG)の音楽学部の出身者を中心とする新しい世代が生まれ、ミナス・サウンドを更に進化させている。アレシャンドリ・アンドレス、アントニオ・ロウレイロ、ハファエル・マルチニらがその中心にいる。

 本特集では、「クルビ・ダ・エスキーナ」世代と、2000年以降の新世代のミナスの音楽家を中心に、ミナス音楽の魅力を紹介したい。

「ミナス音楽」の雄、ミルトン・ナシメントの待望の評伝が翻訳されました。

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「ミルトン・ナシメント〜“ブラジルの声”の航海」 
マリア・ドロレス 著、荒井めぐみ 訳(DU BOOKS)

■ 今まで日本語で紹介されてこなかったミナス音楽やMPBに纏わる様々なエピソードがたくさん詰まっている一冊です。その他、アメリカでのジャズ界を代表する人たちとのレコーディングの様子や、アイルトン・セナとの交流、軍事独裁政権下の様子なども描かれ、文字数と比例した内容の濃さですので、一人でも多くの方の手に取っていただければ嬉しいです。(荒井めぐみ)


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