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[2020.11]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」④】Paulinho da Viola 『Sempre Se Pude Sonhar』

文●中原 仁

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Paulinho da Viola 『Sempre Se Pude Sonhar』
───── 中原仁の「勝手にライナーノーツ」─────
近年、日本盤の発売が減少し、日本における洋楽文化の特徴である解説(ライナーノーツ)を通じて、そのアルバムや楽曲や音楽家についての情報を得られる機会がめっきり減った。
また、盤を発売しない、サブスクリプションのみのリリースが増えたことで、音楽と容易に接することが出来る反面、情報の飢えはさらに進んでいる。
ならば、やってしまえ!ということで始める、タイトルどおりの連載。
リンクを通じて実際に音楽を聴き、楽しむ上での参考としていただきたい。


 11月12日で78歳。ジルベルト・ジル、カエターノ・ヴェローゾ、ミルトン・ナシメントと同い年、1942年生まれのパウリーニョ・ダ・ヴィオラ。
カエターノは著書「熱帯の真実」の中で、自身がバイーアからリオに出てきた当時のパウリーニョとの交流に触れ、「僕は彼を熱烈に尊敬していた」と記していた。

 僕がパウリーニョの生の歌声を聴いたのは、最近では2017年のサンパウロ公演。70代半ばを迎えても、ソフトでまろやかな美声に衰えは全くなかった。僕は昔から、彼が歌うときの滑舌の良さ、中でも語尾が "R" で終わる言葉を、"R" を飲み込むのではなく、例えは悪いが咳払いするように "カッ" と鋭敏に歌い終えるスタイルが昔から大好きで、その部分でも変わらぬ味を発揮していた。

 衰えを知らない万年貴公子は、寡作の人でもある。スタジオ録音のオリジナル・アルバムは『Bebadosamba』(96年)を最後に四半世紀、作っておらず、今世紀に入ってからは自叙伝のドキュメンタリー映画『Meu Tempo É Hoje』のサントラ盤(2003年)があるのみ。ライヴ盤も、DVD『Acústico MTV』(2007年)以降、ずっとご無沙汰だった。

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