[2023.1]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㉚】 Moa Vive 『Moa Vive』
文:中原 仁
「2022年ブラジル・ディスク大賞」の関係者投票で僕が3位に選んだのが、亡きバイーアの偉人、メストリ・モア・ド・カテンデー(Mestre Môa do Katendê)の『Raiz Afro Mãe』だった。SpoifyやApple Musicにはシングル扱いで12曲アップされているが、実質的にはアルバムになる。
2022年11月には『Raiz Afro Mãe』の続編にあたる『Moa Vive』がデジタル・リリースされた。このアルバムを紹介しよう。
まず、モア・ド・カテンデーのプロフィールから。本名は Romualdo Rosario da Costa(1954~2018)。8歳から始めたカポエイラ・アンゴラのメストリとなり、打楽器もマスター。レチエレス・レイチにアフロ・ブラジルの打楽器を教えた。70年代中盤にアフロ・バイーア伝統音楽の打楽器グループ、ヴィヴァ・バイーアの中心メンバーとなり、ヨーロッパをツアー。77年、ブロコ・アフロ、イエ・アイェのソング・フェスティヴァルに自作の曲「Bloco Beleza」でエントリー、優勝した。もう1曲、イレ・アイェに提供した曲「Badauê」を、イレは25周年記念アルバム『25 Anos』(1999。プロデューサーはアート・リンゼイ)で録音した。
ここから先は
1,704字
このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。
世界の音楽情報誌「ラティーナ」
¥900 / 月
「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…