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クリバスのリーダー、フアン・フェルミン・フェラリス(Juan Fermín Ferraris)の2ndソロ『Jogo』が間も無くリリース!

Juan Fermín Ferraris 2ndソロアルバム『Jogo』

曲目
①Cucina ②Driana ③Sacoa ④Luigi ⑤Vientito
⑥Lina ⑦Poncho ⑧El Brujo ⑨Festa ⑩Miyagi

録音メンバー
Juan Fermín Ferraris - ピアノ
Diego Amerise – コントラバス
Pablo Bianchetto - ドラム

作曲、アレンジ、プロデュース:Juan Fermín Ferraris
レーベル:Yunta

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 日本で今、最も受け入れられている現代アルゼンチンのグループの1つは、2014年にデビューしたクリバス(Cribas)ではないだろうか。その中心人物、フアン・フェルミン・フェラリス(Juan Fermín Ferraris|ピアノ)の『35mm』に続くソロ名義2作目となるアルバムは、伝統的ジャズ・トリオ編成でのオリジナル曲集となった。

 ピアニスト兼作曲家であるフアン・フェルミン・フェラリス以外のトリオの他のメンバーは、クリバスでも一緒に活動するディエゴ・アメリセ(Diego Amerise|コントラバス)と、セッション・ドラマーのパブロ・ビアンチェット(Pablo Bianchetto|ドラム)。

 ブラッド・メルドー(Brad Mehldau)、マリオ・ラジーニャ(Mário Laginha)、アビシャイ・コーエン(Avishai Cohen)、シャイ・マエストロ(Shai Maestro)など、ここ数年で発表された世界のモダン・ジャズ・トリオの音楽に大きな影響を受けつつも、このトリオは、ラテンアメリカ民族音楽、ロック、現代音楽、ワールドミュージックと強くリンクし、またジャズ史におけるスタンダード楽曲とは曲の構造、アコースティック楽器の音色、即興演奏という要素において一線を画したアプローチとなっている。

 本作のタイトルは、「遊び」を意味するポルトガル語の「Jogo」であり、遊びの中で生まれる音楽に新たな価値を見出すという試みを行っている。このトリオは、繊細さ、親密さを損なわず、絶妙な遊び心を、演奏に内包している。ラテン・ジャズの新しいアプローチを披露した極めて良質なアルバムが届けられた。

左から、パブロ・ビアンチェット(Pablo Bianchetto|ドラム)、フアン・フェルミン・フェラリス(Juan Fermín Ferraris|ピアノ)、ディエゴ・アメリセ(Diego Amerise|コントラバス)

以下は、スペイン語のリリースを元に、一部改訂したテキストです。

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 フアン・フェルミン・フェラリス(Juan Fermín Ferraris)の新作ソロアルバムは、ジャズ・トリオのスタイル。ピアノが奏でる力強いメロディーが、私たちを子供時代の最も遊び心に満ちた世界に導いてくれる。
アルゼンチン、ラ・プラタ出身の音楽家の成長が感じられる2作目となるソロアルバム。
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 素晴らしいデビュー・ソロアルバム『35mm』に続く、フアン・フェルミン・フェラリス(Juan Fermín Ferraris)によるセカンド・ソロアルバム。フアン・フェルミン・フェラリスは、現代アルゼンチン音楽のシーンで、最も注目されているグループ、クリバス(Cribas)のリーダーでもある。
 ピアニスト兼作曲家であるフアン・フェルミン・フェラリスは、アルゼンチン、ラ・プラタ在住。本作のトリオの他の2人のメンバー、ディエゴ・アメリセ(Diego Amerise|コントラバス|ラ・ラ・プラタ出身)とパブロ・ビアンチェット(Pablo Bianchetto|ドラム|イスタンブール出身)もラ・プラタで活動している。

 フェルミンは、ジャズの基本であるトリオ編成の上で、メロディーの響きを尊重したリスニングしやすいスタイルで、インストゥルメント曲のみの10曲をアルバムに収録した。自由で即興的な部分ももちろんあるが、ジャズの愛好家は、この音楽をジャズと呼ぶのは疑問だと言うかもしれない。でも、それはそれ。

 その一方で、多くの人は、『Jogo』をアルゼンチンのジャズ・シーンの中の1作として位置付けるだろう。
 ロサリオ出身の同世代のピアニストのパブロ・フアレス(Pablo Juárez)と関連づける人もいれば、もっとベテランのエステバン・セインクマン(Esteban Sehinkman)やマルコ・サンギネッティ(Marco Sanguinetti)を連想する人もいるだろう。後者の2人は、ポップスのリズムとロジックを取り入れて自身の音楽のアイデアを構築し、時にはビートルズ(The Beatles)やキュアー(The Cure)、レディオヘッド(Radiohead)、グスタボ・セラティ(Gustavo Cerati)をカバーして、ジャズに限らない音楽からインスピレーションを得ていたピアニストだった。
 もっと視野を広く言えば、このアルバムは、過去約20年間に、世界中で強力に更新されたジャズ・トリオの伝統の流れにおける、最新の1作でもある。

 子供の頃の遊び心を呼び起こすということは、曲名の付け方にも反映されている。また、アルバムのアートワークとして、トリオの3人のミュージシャンが子供の頃に楽器を持っている姿が写されたポストカードが封入されている。でも、本作は決して子供向けの音楽ではないし、とりわけメランコリックというわけでもない。本作は、子供時代の最も純粋な部分である「遊び(Jogo)」を呼び起こしてくれる、幸福な「呼び声」に他ならない。

 クリバスでは、五重奏を率いるフェルミンだが、本作はより小編成なため、ピアノは更に前に出て、表現豊かなプレイのタッチの1音1音がよくわかる。録音状態は非常に良くて、コントラバスやドラムの繊細な表現も隅々まで聴き取ることができる。

 フアン・フェルミン・フェラリスは何度も何度も聴きたいアルバムを届けてくれた。フアン・フェルミン・フェラリスの強力な音楽的個性は、最初の数秒から明らかで、世界の他の才能あるピアニストとも一線を画している。お聴き逃しなく!

(ラティーナ2022年2月)


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