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[2018.01]【連載 TÚ SOLO TÚ #213】すずきあゆみの『桜花月歌』にも参加した元NGラ・バンダのドラム ジミー・ブランリー

文●岡本郁生

 マルチ・パーカッショニストのすずきあゆみがリーダーとなったユニット、「すずきあゆみ&あゆマニア(Ayumi “Azucar” Suzuki & AYUMANIA)」によるアルバム『桜花月歌(オウカゲッカ)』(2017年7月リリース)はなかなか不思議な作品だ。

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 純和風…… というよりは、どこか、外国人から見た日本をイメージさせるようなジャケットからしてそうなのだが、1曲目の「桜 Cerezo ~Sakura~」から「リボンの指環 Anillo de Lazo」「雨 La Lluvia」…… と順に聞いていくと、ベーシックにはラテン・ジャズがあるのだろうな、とは感じながらも、やはりどこかに、日本ならではのしっとりとした湿り気や、柔肌の感触を思わせるのだ。途中、たしかに、ティンバやルンバといったアフロ・キューバンやカリブの匂いも漂っては来る。しかしそれは、心地よく音の中に潜り込んではいるものの、その下の部分には、否応なくこの日本の土が敷き詰められているのを実感するのである。

 いや。「日本」というのが何なのか、実は筆者自身わかっていないのだ。だから、それは何なんだろう? と考えていたときに、なんとなく思い出していたのが、故・松岡直也だった。例えば、ニューヨークでレイ・バレットはじめ現地の一流ミュージシャンとともに録音した名盤『見知らぬ街で』を聞いてみても、技術的に彼らに近づけば近づくほど、微妙だが絶対に超えることのない感覚の違いをより大きく感じることになる。その差が何なのか? と敢えて問うたときに、苦し紛れで出てくるのが「日本」というような言葉なのではないか……?

 そんなことを考えながらアルバムを聞き進めていたら、最後の曲がなんと、松岡の作編曲によるレコード大賞受賞曲「ミ・アモーレ」だったのでビックリしてしまったのである。

 すずきあゆみは、東京音楽大学打楽器科卒業。クラシックを中心に打楽器を本格的に学び、オーケストラ、吹奏楽、ミュージカル、オペラのピット演奏に参加、マーチングや室内楽、様々なアンサンブル経験を積む一方、在学中からラテン・パーカッション、ドラムスでのライヴ、コンサート・サポート活動を開始したという。ラテン・ポップス・ユニットやサルサ・バンドで活動。キューバやニューヨークで現地のさまざまなミュージシャンたちと交流を深め、現在は「あゆマニア/AYUMANIA」を率いてライヴを行っている。

「ニューヨークに行ったときは、ほんとに自分のやってるのがこれで合ってるのかな? って思いながら行って……。それで、いろいろセッションとか混ぜてもらって、ガンバレガンバレ! って応援してもらえたのが、すごく自信になってアルバムを作ろうと思いました」

…… という経緯で誕生した今回のアルバム。彼女自身は、ヴィブラフォンを中心に、マリンバ、グロッケン、ティンバレスなどを演奏し、9曲中7曲の作曲を担当、すべてのアレンジも手掛けている。メンバーは、松岡直也グループでも活躍した津垣博通(ピアノ/キーボード)をはじめ、澁谷和利(ベース)、中里たかし(パーカッション)、斎藤千穂(ヴァイオリン/ヴィオラ)、さらにキューバ人のルーウィ・エステバン・ヌニェス(ドラムス)といった、腕利きの音楽家たちが固めているが、そんな中で興味をひかれたのは、ドラムス/パーカッションに加えて、ミキシングとマスタリングを手がけたジミー・ブランリーという名前であった。そんな彼が11月末、松居慶子 アコースティック・プロジェクトのメンバーとして、丸の内のコットンクラブに登場。この機に話をきいた。

 キューバ出身で現在はロサンゼルスに拠点を置くというジミー・ブランリー。キューバでブランリーという苗字は珍しいですよね? と訊いたら、イングランドからの移民なんだ、という答えである。1972年生まれで現在45歳。最初に日本に来たのは95年。NGラ・バンダのメンバーとしてだったという。その後98年に米国に亡命した直後にカナダ出身のピアニスト、キャロル・ウェルスマンのクァルテットで来日。以後、何度も来日しているそうだ。

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